「蛇女」
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「蛇女」

2019-11-14 19:00






    ・佐伯日菜子さん主演のホラー映画。楳図かずおさん原作というわけではない。

     名作と言えるかどうかわからないけど、佐伯日菜子さんのホラー映画としてはエコエコアザラクⅢよりもこっちの方が完成度は高いように思う。

     決して夜のシーンばかりではないのだけど、どこか水の底に沈んだような静かーなどよーんとした薄暗い印象が残る。それがこの作品には合っている。

     佐伯さんの役はモデル。身長が低めなのでファッションショーみたいな仕事はとれずにカタログ雑誌みたいな仕事が中心だが、仕事が途切れることはない売れっ子の様子。けっこういい部屋に住んでいる。自分が使われた宣伝ポスターなども少なくないようで、部屋に貼っている。お肌の健康には気をつかっていて、23時30分には寝るようにしている。

     ある日の仕事は大学のバイオ関係の研究発表会みたいな。若いイケメン研究者がマイクロスコープみたいので彼女の顔の皮膚を拡大して会場に映し出し、細胞の寿命についてみたいなことを話す。発表の途中で彼女の出番は終わり、ロビーの公衆電話でこういう仕事はもう入れないで、晒し者みたいで恥ずかしい、とマネージャーに抗議の電話を入れているといつの間にか後ろにその研究者がいて、話を聞いている。嫌な思いをさせて申し訳ない、おわびに食事でも、ということから時々会うようになり、彼の研究室に遊びに行ったりもするようになる。彼の研究室では蛇がたくさん飼われている。蛇の皮膚が人間の皮膚と似ているところがあって、実験材料にちょうどいいとかなんとか。

     彼の研究テーマは細胞の寿命をいかに伸ばすか、みたいな。美容関係に応用できそうで、彼女の仕事とも関係あると言えば関係ある。ある程度まとまれば巨万の富につながる可能性もあるみたい。彼女はそこまでは知らないのだが彼の控えめで誠実な人柄に惹かれていく。彼は大学の近所に住んでいるようで、彼女は貴方の家に行きたいわ、行ってもいいのよ、というサインを出すのだがなかなか実現しない。

     だがある日デート中にいい雰囲気になり、ひと気の無い坂道でキスしたところ突然彼女が苦しみ出す。彼女の脚を蛇が噛んだらしい。すぐに手当てを、と彼は自宅に彼女を連れて行く。するとそこには若い女性がいる。幸い大事には至らず毒蛇でもなかったようだがその晩彼女は彼の家に泊まることになる。彼の家は古くて広い日本家屋で、ちょっと不気味な雰囲気もある。
     玄関で会った若い女性は彼の妹だというが、挨拶もせず彼女に何か敵意があるように睨み付ける。愛想が無い妹ですいません、と彼は謝る。
     広い和室を与えられてそこで一人休むのだが、悪夢を見て夜中に目覚める。蛇のような女に襲われる夢。枕元の水を飲むと、喉にからまるものがあって激しく咳き込む。長い女の髪の毛が出て来る。家の中をさ迷うと、人の声が。そして彼女は、彼と妹がまぐわっているのを見てしまう。どうもこれは妹がわざと見せ付けようとした様子もあるのだが。
     彼女はすぐに彼の家を離れるのだが、きちんと説明したいと彼から電話が入る。迷った末に出かけていくと、またしても妹が立ちふさがり、彼女の家や仕事場にも妹は現われて敵意を示すようになる。わたさないよ、と。彼は離れられないんだ、抜け出すのを助けてくれ、みたいなメッセージを送って来る。

     そうこうするうちに彼女は探偵みたいな男と知り合う。犯罪調査などではなく彼の研究が実を結べばどれだけ利益が出るかみたいな経済調査関係なのだが、探偵の部下の女性が彼の身辺調査中に性格が変わって行き、行方不明になっているらしい。観客にはこの女性が妹に殺されたことが示される。言われてみれば彼女も最近仕事中にいらついてカメラマンに怒りをぶつけたりしている。
     探偵はもう彼には近付かない方がいいですよ、と忠告し、彼女もそのつもりですと答えて立ち去ろうとするのだが、探偵に 原因はあの妹さんでしょう?と言い残す。すると探偵は、彼は独り息子ですよ、姉妹はおりません、と答える。

     彼はあの家を出た、と連絡して来るが、彼女が訪ねていくと研究室からも姿を消してしまっている。研究室は荒らされて実験動物も死んでいる様子。

     彼女は自宅で「妹」に襲われ、拉致される。彼の家の地下室に連れ込まれた彼女がそこで見たものは・・・というクライマックス。

    「妹」の正体は彼の研究と関係があるのだけどここでは書かないでおく。

     ラストは超展開というか、これまでの雰囲気がある意味台無しみたいな感じになるんだけど、本当にコワイのは「妹」ではなくて佐伯さんの方?みたいな狂気を感じたりもする。
     全然きれいにまとまってもいなくてオチもついてもいないんだけど、印象は鮮烈だった。

     水底に沈んだような雰囲気はなかなか貴重だなと思う。佐伯日菜子さんの存在感あっての作品だった。
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