「風の海 迷宮の岸(小野不由美著)」
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「風の海 迷宮の岸(小野不由美著)」

2019-11-15 19:00




    ・18年ぶりの新刊「白銀の墟 玄の月」を久々に読んで、十二国記の過去作を読み直そうとしているところ。
     新刊は戴(たい)の話なので戴が出て来る話をとりあえず。

    この作品の世界は不自然に幾何学的で、平面上にある。虚海の果てには蓬莱とも倭とも呼ばれる日本があるというが、人間はあっちから流れてきてしまうことはあっても十二国側からあちらに行くことはできない。
     今回は右上の戴の国の話だけど実際の舞台は中央の黄海の中央にある蓬山になる。黄海というけど海ではなく陸地の名前。ここでは女仙が麒麟を育て、育った麒麟は十二国のどこかに旅立つ事になる。自分の王を選んで。



     戴には泰麒(たいき)という麒麟がいて、新刊では一方の主役みたいになっている。この「風の海 迷宮の岸」ではこの泰麒が生まれ、生まれたとたんにというかまだ卵というか果物のうちに十二国から見れば別世界である蓬莱、現代の日本に飛ばされて10歳までそこで育ち、延台輔(台輔というのはこの作品での麒麟に対する尊称で、延台輔なら雁の国の麒麟、蓮台輔なら漣の国の麒麟、みたいに呼ばれる)に発見されて蓮台輔の宝具でもともと彼が生れ落ちた黄海の五山のひとつ、蓬山の宮殿に引き戻される。
     だが幼い時期を蓬莱で過ごしたためか、麒麟であれば自然に身についている能力が泰麒には備わっていない。人間の姿から獣の姿に変身すること(この作品では転変という)ができない。妖魔を精神の力で屈服させ、使令という身を守ってくれる存在に変えることができない。
     普通なら金色の髪の毛~麒麟の姿になるとたてがみになる~が黒い。いろいろと規格外のところがあり、彼自身が自分は本当に麒麟なのかと疑いを持ち不安になる。
     だから麒麟の最大の使命である、天啓を受けて王を選ぶ、ということが自分にできるのか自信が無い。宮殿には彼の世話をする女仙たちがいて、彼女たちは大丈夫ですよ、と励ましてくれるのだが。

     この作品はそんな泰麒が自分の王を選び、麒麟として覚醒するまでの話みたいな。

     著者のインタビューによると泰麒のキャラクターには小公子のセドリックが影響しているらしい。10歳くらいの心やさしい少年として登場する。それが今回の新刊ではかなり成長して、性格には芯の強さが現われていると同時に陰影のようなものも生じている。

     他の国の麒麟が二人登場する。慶の国の景麒は蓬莱帰りで自分に自信が持てない泰麒に麒麟の心得みたいなものを教えてくれるすぐ上のお兄さんみたいな。
     左下の漣(れん)という国の蓮麟は蓬莱に流されてしまった泰麒を連れ戻すのに力を貸してくれる。
     また、名前だけだけど泰麒が蓬莱のどこにいるのかを発見したのは雁(えん)の国の延麒だと書かれている。
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