「おとうと(樹村みのり著)」
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「おとうと(樹村みのり著)」

2019-11-20 19:00


    ・ちょっとおっとりした姉と、活発で問題児っぽい弟の交流みたいな。

     二つ年下の弟は、年上の女の子に混じって遊ぶと何かと損な役回り、カンけりの鬼とか縄跳びを回す係とかを当てられてしまう姉を気遣って文句を言いにくる。姉はさほど気にしていなかったりするのだが。

     中学になって物静かな姉は読書を好み、ストリンドベルヒとかシェンキィウィッツなんかを読むようになる(私は知らない人だけど)が弟はミステリばかり。だけど学校の先生に読書傾向にイヤミを言われると背伸びしてムズかしいもの(タデウシュボロフスキーと書いてあるけど私は知らない)を読んだりもする。

     ガサツなのかと思うと、姉が泣いているのに気付いてこまやかな心配りを見せたりもする。

     高校に入ると登山をはじめ、野生児ぶりに拍車がかかる。

     彼女が大学に進学し、東京に発つ日におとうとは登山に出かけるとのことで、彼女が起きる頃にはもう家を出てしまう。駅まで送りたかったのだがさっさと出かけてしまう。背中に声をかけただけ。

     薄情なやつめ、と電車の中で荷物を開くと、おとうとの書いた手紙がはいっている。妙に哲学的でむずかしい言葉を使った手紙が。

     彼女はどんな返事を書こうかしら、と思いながら東京に向う。

     これは文庫版の「菜の花畑のむこうとこちら」に収録されていた作品で、これだけ発表が1960年代と早い。掲載誌はCOMだった様子。
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