「心の鏡(ダニエル・キイス著)」
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「心の鏡(ダニエル・キイス著)」

2020-07-16 19:00


    ・エルモにおまかせ
     エルモは重大問題を解決するために作られた巨大人工知能、エレクトリック・モニターの愛称。建造されてから数々の難問を解決してきた。
     5年にわたる旱魃に終止符をうち、周期的に発生する暴風雨を解消させ、飢餓の危機を乗り越え、今は大気中に発生したコバルト放射能問題に取り組んでいる。
     旱魃の解決が暴風雨を生み、暴風雨の解決が飢餓を呼び、飢餓の解決がコバルト放射能を呼んだりもしているのだが・・・
     そのためにエルモは既に予定の稼働期間を大幅に超過したにもかかわらずいまだに現役で、年間2千万ドルの経費を浪費し続けている。
     エルモを建造した科学者たちは全員鬼籍に入り、一番若い助手だったジェイク・バズビー2等兵が46歳になっても一人残ってメンテナンスを担当している。エルモを解体せよ、という命令をバズビーが拒否し続けているような格好になってしまい、一等曹長だった彼は降格され続けている。だが未解決問題がある状況で解体するわけにはいかないのだ。
     上院議員からコバルトの件が解決したら即解体だ、と迫られて、彼と一緒にエルモのある施設を訪れる。そこでエルモの示した回答は、大気中のコバルトを処理するためにプロクシマ・ケンタウリのエイリアンと契約を結んだというもの。その代償はアジア大陸(とはあまり言わないが)を彼らに引き渡すことだという。アジアの住民は世界中に移さねばならない。
     激怒する上院議員。だが契約を破棄すればエイリアンとの戦争は必至で勝ち目はない。
     エイリアンと交渉して、何かアジア大陸ではないものに報酬を変更させろと無茶振りされたバズビーはある解決法を思いつく。それははたして?という話。

    ・限りなき慈悲
     ディスパッチャーというものが世の中を支配しているような世界。資源の公平な再配分を行うようなシステムで、人間の健康状態を常にモニターしていつ自然死または病死するかを予測する。そしてもうすぐ死ぬ人間を回収にやってきて、健康な臓器を資源として回収して若い健康な人間に移植するのだ。
     公平を期すために同じ臓器は一度しか交換できない。だがディスパッチャーはミスを犯す。
    右足と左足を間違えて移植したり、手の指を全部親指にしてしまったり。それでも規則でやり直しはできない。
     このためにディスパッチャー排斥グループが生まれ、破壊活動を行っている。
     ディスパッチャーの心臓部であるシンクロ・コンピューターを開発したのはアイザック・ドーンという人物で英雄として扱われているが、不治の病に冒された自分の妻がディスパッチャによって回収・解体され、直後にその病気の治療法が発見されたという出来事があってからは鬱屈した状態になって事故死した。彼には二人の息子があって、兄はディスパッチャーを守る管理側におり、弟は排斥グループにいる。兄は病に冒されており、測定機器をごまかして自分が回収されるのを逃れている。
     そんな状態の中、弟はディスパッチャーの破壊を試みて成功する。だがこれが本当の地獄のはじまりだった。

    ・ロウエル教授の生活と意見
     尊大で退屈な人物として同僚や学生から軽蔑されているロウエル教授は、ある講義で口をすべらせたことから世間の注目を浴びることになる。
     彼は コンピューターは知性を持つ と言ってしまったのだ。実は彼は趣味で知性のあるコンピューターを作り上げていた。本当のことを言っただけなのだがこのニュージャーシー州では労働問題の関係でこれはタブでありー、州法でもこのような発言をすることは禁じられている。彼は糾弾され失職する流れになるのだが、他の州にはロウエル教授は正しいと応援する人々が大勢いて、腕利きの弁護士を送り込んでくる。ロウエル教授は真実を告白した勇気ある英雄と祭り上げられていく。
     裁判では証人として、ロウエル教授が作った卓上コンピューターが証人として出廷する。
    ロウエル教授を無罪放免とする切り札だったのだが、コンピューターの証言は意外なものだった。

    ・アルジャーノンに花束を
     あまりにも有名な作品。中編版と長編版があるけどその中編の方。

    ・心の鏡
     主人公は超能力を持つ子供を発見して、彼らが安心して過ごせる世界に送り込む一種のエージェント。これで高い報酬を得て生活している。 
     だが今ターゲットにしているクレイジー・マロは色を嗅ぎ取り、声や電波を見きわめ、においを聞き分けるという能力者。暴力沙汰で何度もつかまっている不良少年だ。
     マロは相手の心の中の悪意や嘘もその超感覚で見破ってしまう。胸襟を開かないと説得できない。だが自分が胸襟を開いたつもりでもマロはそれは本心じゃないだろ、と打ち解けない。
     主人公はやがてマロにはもう一つの能力があることを知る。彼はいわば鏡だったのだ。

    ・呪縛
     子供たちから魔女と呼ばれて気持ち悪がられている食料品店主の老女を、子供の一人が父親の治療のために呼びに行く。彼女は吸角療法の名人らしい。
     ちょっとオチがわからなかった。

    ・ママ人形
     生まれつき目が見えず耳が聞こえず口のきけない女の子。でも実は彼女にはテレパシーがあって両親の考えは全部わかる。自分の意思を他者に伝える手段を持たない彼女は、仲の悪い両親が喧嘩になるたびに心を痛めている。
     これもちょっとオチがわからなかった。
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