「ル・パスタン(池波正太郎著)」Ⅱ
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「ル・パスタン(池波正太郎著)」Ⅱ

2020-08-01 19:00


    ・第二章は映画演劇関係みたいな。

    女に征服された劇場
     帝劇で上演されたミュージカル「シカゴ」の感想。出演は鳳蘭、麻美れい、若林豪とある。
    池波さんにとっては外れだった様子。役者の体格が揃っていなかったらしい。
     観客は女性ばかりだったとのこと。

    作家の工房
     「推理作家の発想工房」(南川三治郎著)という本を読んだ池波さんの感想。

     欧米の推理作家のお宅拝見みたいな写真集らしい。大邸宅に住む彼ら彼女らに同業者でもある池波さんは瞠目するが、共感するのは自分と同じような簡素な生活をする人。
     一人はスイス・イタリア国境で隠遁生活をするパトリシア・ハイスミス。


     もう一人は生まれ育ったブルックリンのアパートに70になっても危険を顧みず暮らし続けるスタンリイ・エリン。特に池波さんはエリンに共感した様子。


    ・贅沢の味
     1932年制作の映画「グランド・ホテル」について。池波さんは小学生の時にこの映画を見ているがその時は感銘を受けなかったらしい。60を超えて観ると思わず嘆声が出ると書いてある。


    ・八十五歳のブレッソン
     ロベール・ブレッソンというフランスの映画監督について。簡潔無頼なスタイルに、元気をもらえる思いがするとのこと。85歳での新作「ラルジャン」を見てあらためてそう思う。
    「スリ」「抵抗」という作品にも言及している。


    ・ビリヤード
     「ハスラー」「ハスラー2」と、池波さん自身のビリヤード・撞球に関する思い出。


    ・アーヴィング・バーリン
     ロシアからアメリカにやって来て、すぐ父親を亡くして苦学してミュージカルや映画の作詞・作曲家として活躍したバーリンはアメリカのシューベルトだ、などと評価された人とのこと。池波さんはこの人の曲を聞くと力が出るという。




    ・市川崑
     市川監督の新作「映画女優」の感想。近来の見ものであると褒めている。


    ・歌曲と時代
     ミュージカルの名作「南太平洋」をオペラ歌手キリ・テ・カナワとホセ・カレーラスが組んでレコーディングした盤について。常盤新平氏の「遠いアメリカ」についても言及。
     アメリカは情感によって人と人が理解できる時代から理屈でケジメで時代に入ったのだと書いている。



    ・マルサの女
     ため込んだ金を使う暇さえない、虚しい日本の民主共産主義とでもいうべき不思議な生態をまざまざと見せつけてくれたと褒めている。監督の好色さが実にうまく出ているとも。


    ・中村富十郎
     国立劇場で演じられた「鳴神」について。富樫を演じた「勧進帳」についても触れている。


    ・ガルボの近況
     引退後45年を過ぎ、81歳になったグレタ・ガルボはニューヨークに住んでいて、謎めいた生活を送っているという。時折り望遠レンズで隠し撮りした写真が日本の週刊誌に載り、目をそむけたくなる思いがするが サム・グリーンという男性がエスコートするようになって笑顔の写真が出た。笑顔を取り戻せたならいい、と池波さんは思う。

    ・ふたりの星
     「ジョン・フォード伝」を読んでの感想。フォード監督とキャサリン・ヘプバーンが一時期交際していて、フォードの死の床ではフォードの奥さんとジョークを飛ばしつつ一週間一緒に過ごしたという。


    ・カルメンの悲劇
     ピーター・ブルック演出の「カルメンの悲劇」について。最前列だと砂ぼこりや焚火の煙を感じられる演出だとか。でも池波さんは銀座セゾン劇場も含めて辛口の評価。

    ・ジョージの恋人
     鳳蘭と草刈正雄の「ジョージの恋人」という舞台の感想。脚本や二人の演技は褒めつつも、芝居全体については否定的な評価。

    ・九紫火星
     尾上辰之助急死の報に星まわりについて。

    ・元禄忠臣蔵
     真山青果の元禄忠臣蔵は長広舌が特徴で、今の役者にはこれを観客にセリフが聞こえるように演じとおせないという話。今は演劇でもマイク使用が当たり前になったけど。

    ・ジュリオの当惑
     ナンニ・モレッティ原作・監督・脚本・主演の映画「ジュリオの当惑」について。思い出を持たぬ人間の不幸みたいなテーマらしい。


    ・平井澄子の世界
     邦楽の泰斗、平井澄子さんの会で「全盛操花車 ぜんせいみさおはなぐるま」という珍しい曲を聞き、邦楽の良さを思う。


    ・タンゴ・アルゼンチーノ
     「タンゴ・アルゼンチーノ」の来日公演について。内容は良かったが高価で大仰なプログラムには苦言。検索すると宝塚の劇としてヒットするけど池波さんが観たのはそれとは異なり、あちらの人がダンスを踊るようなものだったらしい。

    ・フレッド・アステア
     アステアの死去の報に接して、その思い出。ジンジャー・ロジャースとのコンビが良かったが、一度引退して復帰してから若いダンサーと組んでからも秀作を生んだという。


    ・ギャルソン
     イブ・モンタンが主演のフランス映画「ギャルソン」について。一日一日に生き甲斐を感じながら生きている男たちの友情みたいな話らしい。


    ・ラジオ・デイズ
     ウッディ・アレンが監督・脚本の映画「ラジオ・デイズ」について。家庭と世界を結ぶ唯一の媒体がラジオだった時代のある一家の話みたいな。


    ・フラワーズ
     リンゼイ・ケンプ・カンパニーという団体の「フラワーズ」という芝居について。原作はジャン・ジュネの「花のノートルダム」とのこと。

    ・竹取物語
     市川崑監督の「竹取物語」について。いろいろと優れた点もあるがラストの宇宙船で台無し、みたいな感想。


    ・或日の観劇
     ある盛況の舞台について、たいくつきわまる4時間、ドラマになってないと手厳しい。


    ・勧進帳
     中村富十郎氏の勧進帳について。演ずる方も疲れるだろうが見る方も見逃すまじと力が入って疲れてしまうとのこと。

    ・サイレント・ボイス
     核問題を扱った「サイレント・ボイス」という映画について。レイチェル・カーソンの「沈黙の春」についても言及。


    ・ロビンソナーダ
     グルジアの映画「ロビンソナーダ」について。


    ・帝都物語
     前半の東京の風景は素晴らしかったが関東大震災以降はいまいちだったみたいな評価。


    ・黒い瞳
     ソ連の監督がつくったイタリア映画で原作はチェホフとのこと。男のほろ苦い人生を描いた馥郁たる映画とある。


    ・宇野重吉
     池波さんはこれからの人生がどうなるかわからない頃に「雪晴れ」という脚本が懸賞小説の佳作に入り、これが自分の作品がはじめて舞台にのる。これに出演していた宇野重吉さんと飲んだ思い出。

    ・スイート・スイート・ビレッジ
     チェコの映画。暗さと明るさは紙一重みたいな。


    ・フルメタル・ジャケット
     キューブリックの映画芸術家の一人として贖罪の祈りをこめた映画と評している。


    ・美男三人
     池波さんの心に残る美男子は、十五代目市村羽右衛門、二代目市川左團次、志賀直哉の三人だという。

    ・殺陣師・宮本曠二郎
     新国劇の殺陣師であり名脇役だった宮本氏について。晩年は世を捨てて姿を隠してしまったが重病である病院にいることがわかり花を贈ったという。

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