「中国56民族手帖(松岡格 文 ワタナベマキコ イラスト)」
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「中国56民族手帖(松岡格 文 ワタナベマキコ イラスト)」

2020-10-26 19:00


     中国・台湾地域に住むという56の民族の特徴を、女性の民族衣装のイラストをつけて簡潔に紹介した本。上の表紙イラストは満族。ありそうで無さそうな、その手に軽く興味がある人には便利な本かもしれない。
     目次はこんな感じ。


     本文は一民族につき女性の民族衣装のイラスト1ぺージ、解説1ページの構成。
     民族的なルーツや産業、料理や祭りなどについて記述されている。
     以下無理やり1行に要約してみる。もっと詳しく知りたい人は元の本で。

    ・漢族 11億3738万人 中国全土
     中国の全人口13億のうち11億を占める。日本人が思う中国はほとんどが漢族文化。

    ・ヤオ族 263万人 広西チワン族自治区 広東 雲南
     狩りと焼き畑農業をしながら産地を渡り歩き、先祖は神の犬だったとか。

    ・トゥジア族 802万人 湖南 湖北 貴州 重慶市
     仙人境と呼ばれるような森林・丘陵地帯に住み動植物に詳しいとのこと。

    ・チワン族 1671万人 広西チワン族自治区
     フルーツが豊富な亜熱帯の平原に暮らし歌を好む。

    ・高山族 大陸に4461人 台湾に50万人 
     台湾に古くから住み、狩猟中心の生活を営む。歌手やスポーツ選手となった有名人多し。

    ・リー族 124万人 海南
     海南島に居住。南方文化とつながりが深く、おおらかで寛容な性質。

    ・ショー族 70万人 福建 浙江
     神の犬が先祖だという伝説を持つ。手先が器用で手工芸品に優れる。

    ・マオナン族 10万人 広西チワン族自治区
     農耕民族で竹細工も得意。純朴な農家のイメージ。

    ・ムーラオ族 20万人 広西チワン族自治区
     農業の他炭鉱の仕事を古くから行い、言い伝えられたタブーが多い。

    ・キン族 2万2千人 広西チワン族自治区
     漁を生業とする海の民。ベトナムとの交流が盛ん。

    ・ジンポー族 13万人 雲南
     雲南地域に住みミャンマーのカチン族とルーツが同じ。夫より妻の家が格上という習慣。

    ・アチャン族 3万3千人 雲南
     鍛冶と彫刻に優れる。戸撒(フサ)刀と呼ばれる鉈のような刀が有名。

    ・ドアン族 1万7千人 雲南
     先祖は天女だったのか、女性は腰に金属の輪をつける。濃茶と呼ばれる独特な茶を好む。

    ・ワ族 39万人 雲南
     自家製の酒と占いを好む。

    ・ハニ族 143万人 雲南
     先祖代々山地に棚田を作ってきた。苗字を持たず双子が多い。

    ・ラフ族 45万人 雲南
     ラフの「ラ」は虎を意味するとか。猛々しい狩猟民族から茶を愛する農耕民族に移行。

    ・ジノー族 2万人 雲南
     熱帯雨林地域に居住。太陽を崇拝し太鼓を愛する。文字を持たず昆虫食文化を持つ。

    ・ドゥローン族 7426人 雲南
     独龍(ドゥローン)江流域の秘境に住む。素朴な生活様式と信仰を持つ。

    ・リス族 63万人 雲南
     信心深い山の民。刀のハシゴを登る儀式で有名。

    ・ヌー族 2万8千人 雲南
     怒(ヌー)江の大峡谷に暮らす。弓に優れる狩猟民。女子供も峡谷をロープで渡る。

    ・イ族 776万人 四川 雲南 貴州
     松の木を信仰し、火祭りを行う。日本のなまはげのような習慣や、独自の文字を持つ。

    ・ナシ族 30万人 雲南 四川
     トンパ文字という独特の文字を持つ。カエルを崇拝してこれを模した肩掛けをはおる。

    ・ペー族 185万人 雲南
     大理という町はかつての大理国の中心地。独自の宗教と文字を持ち、日本と文化が似る。

    ・プミ族 3万3千人 雲南
     カエルを大切にし山神を信仰する素朴な部族。小人数だが祖先を大切にして結束が固い。

    ・タイ族 115万人 雲南
     タイ人とほぼ同じルーツ。仏教を信仰し男性は三年出家。水かけ祭りも伝統。

    ・プーラン族 9万1千人 雲南
     雲南省南端・亜熱帯の山岳地帯に住む。ミツバチに助けられた神話を持ち花で着飾る。

    ・プイ族 297万人 貴州
     ベトナムと関係の深い一族。奥ゆかしくシャイで誠実と評価される。

    ・スイ族 40万人 貴州 広西チワン族自治区
     川のほとりに暮らす一族。水暦という独特の暦、水書と呼ばれる独特の文字を持つ。

    ・ミャオ族 894万人 貴州 湖南 雲南
     銀細工に優れ衣装にも組み込む。医薬の知識にも優れる。

    ・トン族 296万人 広西チワン族自治区
     広大な杉林を守り続けてきた木の民。鼓楼や風雨橋などの木造建築でも有名。

    ・グラオ族 557万人 貴州
     高原で様々な産業を行う。野菜やお茶、銀杏などを育て養蚕も行う。鉱山資源も持つ。

    ・チベット族 541万人 チベット自治区及び周辺の各省
     チベット仏教を深く信仰し中心地ラサには大招(ジョカン)寺がある。独特の風習を持つ。

    ・ロパ族 2965人 チベット自治区
     ヒマラヤの麓の亜熱帯地域に住む。狩猟民族で毒矢も使う。

    ・モンパ族 8923人 チベット自治区
     ブータンやインドと隣接する亜熱帯地域に住み農業や野草、薬草、山菜などを採る。

    ・チャン族 30万人 四川
     中国で最も古い歴史を持つと言われる。四川省の長江の支流に沿った一帯に住む。

    ・トンシャン族 51万人 甘粛
     甘粛省に居住。乾燥した山岳地帯でイスラムの戒律を守って暮らす。

    ・回族 981万人 寧夏回族自治区
     元はアラビア・ペルシャの貿易商人。清真寺と呼ばれるイスラム寺院を生活の中心とする。

    ・トゥー族 24万人 青海
     遊牧民がルーツだが道教やチベット仏教も信仰。人なつこく陽気。

    ・ヨグル族 1万3千人 甘粛
     遊牧を生業として季節により住居を変える。天(テングリ)信仰で鳥を食べない一派も。

    ・サラール族 10万人 青海
     サマルカンドからやって来た一族。もと遊牧民だが乾燥した土地で果樹や穀物を育てる。

    ・ボウナン族 1万6千人 甘粛
     イスラム教を信仰し酒を飲まない。鍛冶技術に優れる。小麦の麺を主食とする。

    ・キルギス族 16万人 新疆ウイグル自治区
     騎馬民族で赤色や9という数字を尊ぶ。世界最長の口承の英雄叙事詩マナスを持つ。

    ・ウイグル族 839万人 新疆ウイグル自治区
     遊牧民から定住生活に。イスラム教を信仰。独自の新疆時間を採用。

    ・タジク族 4万1千人 新疆ウイグル自治区
     中国最西端の高地に暮らす。冬は農業、夏は放牧の半農半牧。鷹を英雄の象徴とする。

    ・ウズベク族 1万2千人 新疆ウイグル自治区
     「ドタール」「ラワープ」「タンブーラ」「カルン」など独特の楽器を持つ。

    ・タタール族 4890人 新疆ウイグル自治区
     蒙古軍の末裔で韃靼とも呼ばれた。武を重んじる。ロシアとも関係が深い。

    ・カザフ族 125万人 新疆ウイグル自治区
     騎馬民族で馬を使うゲームを多く持つ。現在も遊牧で暮らしイリ馬という頑丈な馬に乗る。

    ・オロス族 1万5千人 新疆ウイグル自治区
     ロシア革命から逃れた人々がルーツ。礼儀を重んじロシア正教を信仰。Xマスも祝う。

    ・シベ族 18万人 遼寧 新疆ウイグル自治区
     中国の西と東に分かれて住む。清朝で辺境警備に新疆に送られたため。語学力に長ける。

    ・モンゴル族 581万人 内モンゴル自治区
     モンゴル帝国末裔の騎馬民族。大地を傷付けないために靴を履く。

    ・エヴェンキ族 3万人 内モンゴル自治区
     中国北部のタイガの森に暮らす。トナカイを放牧し彫刻や革細工に優れる。スキーも得意。

    ・ダゴール族 13万人 内モンゴル自治区 黒龍江
     元狩猟民族。刺繍・切り絵など得意。自然崇拝に近い多神教。グランドホッケーでも有名。

    ・満族 1068万人 遼寧 河北 吉林
     かつては漢族と並ぶ有力部族。近年は漢族と文化融合が進み満語を話す者も減りつつある。

    ・オロチョン族 8196人 内モンゴル自治区 黒龍江
     狩猟民族で鹿と関連が深い。鹿の毛皮を使った民族衣装を持つ。熊を神聖視する。

    ・ホジェン族 4474人 黒龍江
     川や湖での漁業を生業とする。鮫の皮を糸や衣装に使うという。犬を大切にする。

    ・朝鮮族 192万人 吉林 黒龍江 遼寧
     半島とルーツは同じ。教育熱心でスポーツ好き。女性の社会進出が顕著。

     以上。政治的なことは書いてないのだけど ウイグルとかチベットとか聞くと自治区とは名ばかりのようでもありその生活や文化は守られているのかと心配になる。少数民族には独自の宗教や信仰を持つところも多いようだけど、宗教を否定弾圧する今の中国指導部で今後どうなるのかとも。
     そうしたものとは別に、3000人とかくらいしかいない本当に少数の部族の存続や文化継承も気になる。これは2000年の中国での国勢調査みたいな数字らしいので今はもっと変化しているだろう。ホジェン族、オロチョン族、タタール族、モンパ族、ロパ族、ドゥローン族といった1万人に満たない部族の動向はどうなっているんだろう。中国内には少なくても、インドやロシアなどに同族が大勢いる場合もあるみたいだけど。
     中国は広いな、と漠然と思っているのだけど、その土地土地には独自の生活様式を持った人が暮らしていて、その人たちにとってはその土地しか無いみたいな場合もあるのだなとも。

     どこかで聞いたことがある民族もいれば、初めて聞く民族名もあり。こうしたものが今後どんどん同化してしまうのか、存在感を保つのか。数十年後にこの本の改版が出たとして、56民族残っているだろうかとか思ってしまう。



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