「ロケットガール(野尻抱介著)」2巻 天使は結果オーライ 第三章 ACT1~4
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「ロケットガール(野尻抱介著)」2巻 天使は結果オーライ 第三章 ACT1~4

2020-10-28 19:00


    ・第三章 オルフェウス救出ミッション
     
     作品執筆当時はまだスペースシャトルが活躍していた時代。今もシャトルから当時は惑星だった冥王星探査機・オルフェウスを発進させようとしている。シャトルの運用計画は1986年のチャレンジャー爆発事故によって大きく見直し・削減されていて、シャトルで低軌道まで運んでアンテナ類の展開と点検を終えて惑星間に送り出す大型探査機のオルフェウスはちょっと前の設計思想に基づいた積み残しみたいな計画になっている。打ち上げを控えて予定が大幅に伸び、これ以上スケジュールが遅延すればミッション中に部品の耐用期限が来てしまう。それがようやく日の目を見たのだ。

     だがここで探査機の姿勢制御スラスターのセンサーが異常を検知。宇宙飛行士は船外作業をしてバルブを取り外し、点検のためにシャトル内に持ち帰ろうとする。宇宙服の手袋でビスを外して部品を取り外すのはたいへんな忍耐を必要とする作業だが、彼はやり遂げる。だがここでちょっとしたトラブルがあってバルブが手から離れ、探査機のエンジンと連結部分にある隙間に入ってしまう。ゴワゴワしてかさばる宇宙服では入って行けず、とても取り出せない狭い隙間に。ここから部品を取り出すには身体が小さな人間でなければ無理だし、指先も細かく動かないといけない。例えばスキンタイト宇宙服を着た女子高生のような。

     NASAは様々な手段を講じてこの部品を隙間から取り出そうとするが万策尽きてソロモン宇宙協会に協力を要請してくる・・・わけはなくて、所長が強引に破格の料金で売り込んでこの仕事をもぎ取ってくる。さっそく二人乗りオービター・マンゴスティンが緊急ミッション体制として打ち上げ準備に入り、宇宙飛行士が招集される。
     オービター船長は姉・妹は地上でバックアップ。部品を回収するミッション・スペシャリストは、その後ひと月ほど訓練を重ねて8Gにようやく5秒間だけ耐えられるようになった満点娘。本来はあと5カ月訓練を経てから初飛行の予定だったが大幅に繰り上がってしまった。

     故障したパーツの交換部品を持って宇宙に飛び、これを取り付けるとともに、隙間に入った旧パーツを回収する。ソロモン宇宙協会としてはNASAに恩を着せ、いろいろとアピールするチャンスだ。日本にもミッションスペシャリストがいるんだぞ、と見せつけてもやりたい。女子高生宇宙飛行士というアイデアをパクったフランスに負けてられるかというのもあるだろう。だが満点娘本人は心の準備もできていないし、身体もまだ宇宙に行けるところまでは耐G的に準備できていない。所長は妹を部品交換任務につけてもいいが、最適なのは満点娘だと主張してロケットガールたちに意見を求める。だが姉はGOを出す。なにかと控えめな満点娘を宇宙に出すにはこのくらいの荒療治が必要かもしれないし、彼女が早く一人前になれば自分がちょっと楽になるという正直な気持ちもある。
     満点娘はCGシュミレーションで部品の取り付けや回収の手順を叩きこまれ、翌日にはシャトルに向けて発進することに。
     これを迎えるスペースシャトル・アトランティスの宇宙飛行士たちは内心複雑である。彼らができなかったことを日本の少女が成功させたら、彼らは敗者になってしまう。
     だが、冥王星探査機の開発責任者である博士の落胆する顔を見るよりは、自分たちが敗者になった方がましだ。
     博士のためにも、彼らは日本のガールズの到着を待っている。
     
    ーーーーーー

     第三章は長いのでとりあえずここまで。アニメ第10話にほぼ対応する。
     アニメではまずスペースシャトル・アトランティス上での冥王星探査機オルフェウスのバルブ修理の様子が紹介される。このへんは映像があるとどのような作業でどのような手違いが生じたのかわかりやすい。
     探査機オルフェウスの巨大さもよくわかる。
     宇宙服を着て小さなビスを回すのはボトルシップを組み立てるようだと宇宙飛行士は言う。
    アーム操作係が方向を間違え、それで回避動作を行った拍子に持っていた部品が探査機の隙間に入ってしまう。

     ソロモン基地では原作には無いが三人の宇宙飛行士が揃って記者会見。満点娘は先の二人以上にスキンタイト宇宙服を恥ずかしがり、恥ずかしがって身をよじらせると余計エッチに見えてしまう。すると本来気にしていなかったはずの姉もなんとなく恥ずかしく感じてしまう。妹はいつも通り。
     記者会見では日本初のミッション・スペシャリスト少女にボーイフレンドはいますか?みたいな質問が飛ぶ。

     アニメ放送時には冥王星はもう惑星で無くなっているので、アニメ内ではそのことを登場人物の口を借りて説明している。冥王星でが惑星で無くなってもこのミッションは重要だみたいな。

     オルフェウスの事故に所長はうちなら回収できます、と赤字覚悟で売り込んで、仕事をもぎ取る。突然呼び出された三人の宇宙飛行士は二日後の打ち上げ予定を聞く。
     ミッションの詳細を聞く三人。ミッションスペシャリストに指名された満点娘はできません、私なんか足を引っ張るだけです、と辞退しようとするが、姉はこんなちっこい団体いつ潰れるかわからない、宇宙に行けるうちに行った方がいい、あんたは足なんか引っ張らないよ、と背中を押す。
     アニメでは原作のように同じ歳では無くて姉は満点娘あこがれの先輩なので、こう言われるとその気になる。

     オルフェウス計画に22年かけてきたオレアリー博士は管制室を訪れてミッションディレクターを激励。シャトル乗組員たちは明日やって来るというガールズの噂をする。自分たちのプライドよりも博士の期待に応えたい。博士はシャトル乗組員たちに事故の無いよう、ガールズたちに協力してほしいと呼びかける。

     満点娘のシュミレーションの様子は原作よりも映像によって詳しく紹介される。部品がある位置はヘリウムタンクの裏で、三人の中で最も小柄な彼女でもすんなり接近できない込み入った場所にある。

     アニメではわずか二日でオービター・マンゴスチンのセッティングを行う作業員たちと職長の小野田という人物が原作よりも詳しく描写されている。小野田はあの子なら大丈夫だ、と言うので若い作業員たちは孫娘とでも思っているのか、と噂する。
     原作では満点娘はフライト前夜でも熟睡する図太いところを見せるが、アニメでは眠れずに水槽の熱帯魚と、水槽越しに見える月を見つめている。
     思い立って実家に電話し弟と話す。原作では電話するのは朝だがアニメでは夜遅く。両親は原作同様神社に娘の無事を祈ってお参りに行っている。原作では一応両親の許可も取って宇宙飛行士になっているが、アニメでは無許可で出奔してきた様子。

     姉妹は同室だが、妹が室内でドリアンを切るものだから姉は思わず廊下に出る。そこで満点娘と会う。彼女は大切にしていた熱帯魚を海に逃がしに行くところだった。三人で連れ立って海へ。満点娘はもっと広いところに帰してやろうと思って、そして私ももっと広いところに行きます、と姉に頼みます、船長と呼びかける。

     これまでがプロローグのようなもので、ようやく三人の女子高生(に該当する年齢)の宇宙飛行士が揃い、彼女たちの任務を書けるようになった。
     原作ではシャトルに何人の飛行士がいるかはこの時点ではまだ判然としないが、アニメでは4名が確認できる。

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