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「仏教語源散策(中村元編)」Ⅳ仏教にとり入れられたヒンズー教の神々①竜・阿修羅 ・帝釈天
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「仏教語源散策(中村元編)」Ⅳ仏教にとり入れられたヒンズー教の神々①竜・阿修羅 ・帝釈天

2021-05-09 19:00


    ・冒頭に中村元さんの紹介文。
     仏教にはインドの神々が取り入れられて、仏や菩薩と一緒に日本に渡来してきている。
    A インド原住民に由来する神々
    B ヴェーダ聖典に由来する神
    C ヒンズー教に由来する神

     に大別される。インドにはもともとドラヴィダ人、ムンダ人などがいて独自の信仰を持っていたがやがて西北から西洋人と同じ起源を持つアーリヤ人がやってきて主流となっていく。
     彼らはバラモン教を信仰し、ヴェーダという聖典によって儀式を行った。
     バラモン教が民間の俗信をさかんに取り入れてヒンズー教が発生する。

    ・竜
     サンスクリット語のnaga(前のaの上に‐)ナーガを竜と訳したのだが、中国にはもともと古来日本人もよく知る竜の話があったらしい。実はナーガは蛇の意味で、コブラのようなものらしく、ここで竜と蛇が混ざってしまう。
     ナーガ竜実は蛇族は上記の分類でAに該当する起源らしく、パーターラと呼ばれる地下世界に住む。ここには様々な種類の蛇がモデルらしい竜王たちがいて、ナーガ・ラージャはキングコブラがモデルらしい。他に大蛇らしいマホーラガやヴァースキという竜王もいるとのこと。
     竜王は頭部にかさ状のふくらみ(コブラのあれ)を持ち、猛毒を持つ。地底世界パーターラはこれら竜王たちが支配するが、最下層に原初の蛇(アーディ・シューシャ)であるアナンタ
    というものがいて、これが全ての竜王の上に君臨している。美しい竜王の娘たちがこれに奉仕しているという。アナンタは世界を支える役割も持っている。
     蛇族ナーガには天敵がいてガルダもしくは迦楼羅という鳥に食われてしまう。そうなったいきさつはカドゥルーとヴィナターという姉妹の争いが原因で、ナーガはカドゥルーの子、ガルダはヴィナターの子なのだという。
     蛇族にはジームタヴァーハナという英雄が出てナーガがガルダに滅ぼされるのを防ぎ、このいきさつが「ナーガーナンダ(竜の喜び)」という戯曲になっているという。

     こうしたインドにおける蛇族の物語は訳語が竜とされたこともあって中国では竜の話になってしまった。日本でももともとは蛇族の話だったものが竜や竜王の話として伝わっているという。

    ・阿修羅
     サンスクリット語asuraアスラが阿修羅と訳された。漢字はほかにも様々で修羅と訳された例もあるという。アーリア人がインドに侵入する前から持っていた神話上の存在らしい。
     それが有名な「リグ・ヴェーダ」で、これはイランに入ったアーリア人の聖典「アヴェスタ」と元々は一つだったのが東西に分かれて伝わったのだという。
     強力で恐ろしい神に対する畏敬の念を示すような言葉だったようで、「リグ・ヴェーダ」ではそうした神々を「アスラ」と呼び「アヴェスタ」では「アフラ」と呼んでいるらしい。
    (ゾロアスター教のアフラ・マズダーらしい)

     もともと神を意味したはずの言葉だったのが、語源解釈としてaは否定、suraは神みたいな説が出て来るとアスラは神ではないもの、つまり悪魔であって神の敵みたいに解釈されるようになってしまったらしい。

     このアスラが阿修羅として仏教に取り入れられると神にさえ挑戦する恐ろしい存在みたいなイメージも伴って、輪廻の中での生存状態を示す六道の一つになったり八部衆という仏教の守護者の一員になったりする。神の敵が仏教の味方・守護者としてまた見直された感じ。
     漢訳では無酒神という訳もあるらしいけど著者はこれは誤訳だろうと書いている。

    ・帝釈天
     サンスクリット語でSakro devanam indrah(devaのaの上に-、mの下に・)サッコー・デーヴァーナム・インドー もしくはサンスクリット語は省略するけどシャクロー・デーヴァーナーム・インドラハというインドの神で、「神々の支配者であるサッカ(シャクロー)」みたいな意味だという。このサッカは漢字では釈と置き換えられ、支配者である帝と神の一員であることから天をつけて帝釈天とされた。

     でもこの神の名はインドー(インドラハ)の方で、リグ・ヴェーダではインドラとして登場する人気キャラだとのこと。黄金の戦車を二頭の馬に引かせて空中を行き、ヴァジュラという雷のような武器をふるってヴリトラという悪魔を倒す。ギリシャ神話のヘラクレスとヒュドラみたいな感じらしい。

     インド神話では絶対的な英雄だったけど、仏教ではその後転生して解脱に到れず、ブッダに教えを乞う神としてあらわれたりするらしい。と同時に仏教の守護者でもあって、寅さんの帝釈天みたいに日本では信仰の対象になっている。

     インドラのナントカという言葉が多く、インドラの網と言えば魔術、インドラの弓と言えば虹、インドラの青と言えばサファイアのことだという。
     

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