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「仏教語源散策(中村元編)」Ⅳ仏教にとり入れられたヒンズー教の神々④韋駄天・鬼子母神・人非人
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「仏教語源散策(中村元編)」Ⅳ仏教にとり入れられたヒンズー教の神々④韋駄天・鬼子母神・人非人

2021-05-15 19:00


    ・韋駄天
     サンスクリット語のSkandaスカンダの訳が置き換えられて韋駄天に落ち着いたという。
     仏教では増長天の八代将軍ということになっている。モデルは疾風のごとく西インドを襲い、すぐに去ったアレキサンダー大王だという説もあるにはあるらしい。
     リグ・ヴェーダには神としては登場しないとかでマハーバラタ、ラーマーヤナ、プラーナなどのヒンズー教の聖典では神として登場する。

     「クマーラの誕生」という叙事詩によれば(クマーラはスカンダの別名とのこと)

     山の王ヒマーラヤにはパールヴァティーという美しい娘がおり、神々に愛されていた。
    ターラカという強力な悪魔が現れて神々を打ち破り、梵天はターラカを倒すのはシヴァとパールヴァティーの間に生まれる息子だと予言する。
     だがシヴァは堅物で苦行以外に興味はなく、女も退けている。ヒマーラヤはシヴァこそ娘の夫にふさわしいと判断して彼女をシヴァのもとに行かせ、一方で神々は二人が結ばれるように愛の神カーマ(ギリシャ神話でいえばキューピットのような役割)に愛の矢を討たせようとするが、あと一歩のところでシヴァに見つかって修行の邪魔だ!と焼き殺されてしまう。カーマの妻で快楽の神ラティは深く悲しむ。シヴァは世話をしていたパールヴァティーを置き去りにして姿をくらませてしまう。

     父の元に戻ったパールヴァティーは行方知れずとなったシヴァは苦行の神なので、自分が誰よりも激しい苦行を行えばシヴァと再会できると考えて苦行を続ける。
     長い時が過ぎ、一人のバラモンが若く美しいそなたは何故そこまで苦行を続けるのかと尋ねるのでシヴァと逢いたいからだと答える。
     バラモンはシヴァの欠点を次々にあげて彼女を思いとどまらせようとするが、彼女は怒って反論する。するとバラモンの姿はシヴァに変わり、二人は結婚する。

     叙事詩はここで作者が死んだらしく終わってしまってクマーラの誕生までいかないらしいが、その後の話として誕生したクマーラが悪魔ターラカを打ち破ることになっているらしい。
     だがクマーラはパールヴァティーの子ではなく、シヴァと彼女がイチャイチャしていた時にたまたま鳩に姿を変えてやってきた火神アグニにシヴァの流れ弾が当たり、アグニはこれを受け止めきれずにクリッティカーという六人の娘に移す。六人の娘は全員妊娠して六人の男子が生まれ、これが融合して六面十二腕のスカンダことクマーラが生まれたのだという。

     途中まで純愛っぽいいい話だったのに何故こうなったという感じ。殺されたカーマとその妻が気の毒すぎる。

    ・鬼子母神 
     サンスクリット語でHariti(aとiの上に-)ハーリーティー。訶利帝、訶利底と書かれたりもする。

     ビンビサーラ王の支配下で幼い子供たちが殺される事件が起き、鬼女ハーリーティーが子供を食っていたことがわかる。王はゴータマ・ブッダの助けを求める。
     ブッダは彼女の溺愛する息子プリヤンカラを隠してこれを探し回る彼女を諭し、仏教に帰依するのと引き換えに息子を返す。
     ハーリーティーは前世では不用意にダンスを踊ったために流産した母親で、そのために鬼女に転生したのだが生前に善行もしていてブッダと出会うことになったのだという。
     一説にはザクロの実を持っていてこれを子供の代わりに食べるようブッダに与えられたとも。
     仏教では日蓮宗と真言密教で重要視されているという。

    ・人非人
     サンスクリット語kimnara(mの下に・)キンナラの訳で緊那羅とも。もともとは猿のことだという説もあり、インド神話では毘沙門天に仕える半神で音楽を奏で人間の身体に馬の首を持つという。
     観音経では天、竜、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽を天竜八部衆と呼び、まとめて非人(人にあらざるもの)と呼んだという。
     乾闥婆は半神で神酒ソーマの番人。水の妖精アプサラスたちを妻に持つ。結婚の守護神であり天上の音楽師であるとも。
     摩睺羅伽は大蛇のことだという。その他はこれまでに説明してきている。
     人非人という時は、人とこれら人でないものたちをまとめて呼んでいるのだという。つまり神とその眷属のことを言っているわけで本来は差別用語ではないようなのだが。

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