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「為朝二十八騎(佐野絵里子著)」1話~3話
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「為朝二十八騎(佐野絵里子著)」1話~3話

2021-06-17 19:00


    ・著者は源平時代大好きとのこと。この作品は平家物語のちょっと前の時代。源義経の叔父にあたる源為朝(ためとも)が主人公。
     大河ドラマなどの主人公にならず歴史マニアじゃないと知らない為朝は鎮西八郎とも呼ばれた弓の名手。2メートルを超える大男で左手が右手よりも12センチ長く、五人張と呼ばれる五人がかりでないと弦を張れない大弓をやすやすと引いたという。
     元ネタが豊富とは言えず、「保元物語(ほうげんものがたり)」という古典で主人公扱いされている他は同時代の古典にちらちらと顔が見えている程度で、保元物語を元ネタにした「椿説弓張月」という曲亭馬琴のヒット作で名が知られ、さらに浄瑠璃や歌舞伎にもなった。三島由紀夫も創作歌舞伎の脚本を書いているとのこと。
     もっと漫画のネタになってもいいくらいの超人的な強さを持った人間だったらしい。この作品はめずらしくその為朝を主役にした作品。私は元ネタの方はちゃんと読んでないので、この漫画でようやくどんなあらましだったのか知ったけど漫画なのでもちろん作者の脚色がいろいろある様子。二十八騎とあるけどこれは保元物語の記述で為朝に影のように付き従った郎党があったらしい。
     ただ全員の名前が出るわけではなく、為朝を含めて二十八騎なのか含めず二十八騎なのかもよくわからないみたいな。

     とにかく漫画の筋を追ってみる。

    第1話 泣き虫武将
     平安時代の終わる頃、当時の日本の中心である朝廷の九州支社みたいな役所である大宰府(太宰府表記もあるそうだけど本では大宰府。歴史書では大宰府らしい)に源為朝という若武者がいる。上司から戦いに行けと言われても戦場は怖い、となかなか出て行かない弱虫なのだが、味方の砦が奇襲で落とされたと聞くと出陣を決める。
     為朝の強弓で味方のものだった砦に立てこもる敵を次々と射貫いて味方を有利とし、敵の別動隊に馬を飛ばして立ち向かう。縦横無尽に馬を走らせては敵を射抜いて退散させ、味方は砦を奪還する。為朝は戦場に出るのを嫌がっていたが強いのである。
     だが為朝の乗馬は酷使がたたって死んでしまう。2メートルを超える巨体の為朝を乗せて全力疾走できる馬はほとんどおらず。彼は何頭も馬を乗り潰している。いま乗っている天龍はまれにみる相性のいい馬だったのだが、戦いに夢中になるうちに馬に対する配慮を忘れてしまったのだ。彼が戦場に出たがらないのはこのせいもあったらしい。彼は愛馬の死に号泣する。

    第2話 天高く馬肥ゆる秋
     第1話の後の話か前の話か判然としないが為朝の九州生活の一コマ。天龍らしき馬の姿があるので前かも。
     普段彼がいるのは大宰府から少し離れた出城のようなところ。平安時代なので幕府というものはまだ無く、天皇と公家が中心となった朝廷から命じられて京から大宰府に送られてきたらしい。これは左遷の様子。京に戻れば名門の子供らしく御曹司と呼ばれている。
     この出城にいる為朝の部下は、都から一緒に来た乳兄弟の須藤家季(いえすえ)を除けば地元の名もなき若者ばかり。為朝がこちらに来てから親しくなった様子。彼らに馬術や弓術を教えるのが日課になっている。為朝は教え方がうまく、一人一人の欠点をよく見抜いて的確な指導をしている。左仲二(さちゅうじ)という若者にはちょっと傾いた乗り癖を直すように指示している。
     そこに都から長田の爺という老人がやってくる。父親の使いで様子を見に来たらしい。為朝は爺を歓待し、五人張と呼ばれる巨大な弓を使って高空の鴨を射落としてみせる。
     どうも為朝は勘当されて僻地に追いやられた様子。兄の義朝(よしとも)ともうまくいっていないらしい。彼は京にいる時によっぽどひどいことをやったらしいが、爺は彼がここで人心を把握して自分の郎党を作り上げている様子を見て成長を認めた様子で去っていく。
     左仲二はじめ地元で為朝と知り合った郎党たちは、御曹司がいつか都に帰るのか、と寂しく思っている。

    ・鼻つまみ八郎
     さらに遡って都に為朝がいた時代の話。この頃は八郎と呼ばれている。八郎である為朝は当時の源氏の棟梁つまり源氏一族で一番の実力者であった源為義(ためよし)の八男。
     為義は八幡太郎義家と呼ばれたこれもマニアしか知らない英雄の息子だったが、当時の都では武士の身分は低くパッとしない。
     ライバルの平家一族からも押されている感じで、子供の頃から身体が大きく乱暴者の八郎は面白くなく、平の御曹司元盛(もともり)を見かければ喧嘩を売り、そのため父親の肩身がさらに狭くなるという親孝行のつもりの親不孝を繰り返している。この元盛は作者の創作なのか実在なのかよくわからない。
     ちょっと気位が高いが線が細くヒステリックな感じの元盛が自分が乗りこなせない馬を鞭打っているのを見て思わず間に入り、乗りこなしてみせた上でお前の馬の扱いがへたくそなんだと罵倒した上に馬を連れ帰ってしまう。当然馬泥棒と糾弾され、漫画の画面では六人いる兄たちからも罵倒される。日頃から兄たちからも鼻つまみ者扱いされている様子。
     これを乳兄弟で付き人みたいな須藤家季(いえすえ)がかばう。武士にとって大切な馬を理不尽な暴力から庇ったまでで八郎に非はないと言い切る。家季は冷静で的確な判断力を持つ八郎のブレーキ役。いつも苦労しているが締めるところは締めるタイプで、彼の意見には八郎やその兄や父親も一目置いている様子。
     父親の為義は馬がいじめられるのを黙って見ていられなかったのだとわかっていて、交渉してこの馬を買い取り八郎に与えてくれる。
     これが第一話で死んでしまった天龍である。
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