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「宇宙怪獣ゾーン(バン=ボクト作)」③イクストル
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「宇宙怪獣ゾーン(バン=ボクト作)」③イクストル

2021-06-24 19:00


    ・第三の宇宙生命はイクストル。これもケアルやリーム人同様知性がある怪物で、真空でも生きられ、何千年もの寿命を持つ。数光年の距離なら一気に飛ぶこともでき、自分の身体分子構造を変えて金属の壁を通り抜けることもできるし、人間を捕まえてその人間までも壁抜けをさせることもできてしまう。胎内にいくつも卵を持っており、この卵を人間の体内に産み付ける。子供は寄生バチのように人間の身体を食べて育つのだ。
     ケアル・リーム人より危険で狂暴な相手である。映画エイリアンのモデルにされたとも言われて、裁判では示談になってアイデア料みたいのを受け取った様子。

    ・暗黒宇宙の魔もの
     ケアル・リーム人と続けざまに宇宙生物の脅威にさらされたビーグル号は、しばらく余計なトラブルを避けようと星の無い暗黒宇宙を飛ぶことにする。だがこの暗黒の世界にイクストルがいる。もともとはグロルという星に生まれ、この周辺の星々の支配種族だったのだが宇宙規模の爆発が起きて星々もろともイクストルの仲間も滅びてしまった。
     たった一匹だけが宇宙に放り出されて生き残った。イクストルは光でも原子力でも何でもエネルギー源にできるが、弱々しい星の光だけでは身動きもままならずただ真空中に浮かんで緩慢に死を待っていた。
     そこにエネルギーの塊であるビーグル号が飛んできたのを感知して、イクストルは数千年ぶりに動き出す。

    ・すいとられたエネルギー
     ビーグル号は1日に12光年を飛ぶ。50年間補給なしでとび続けるだけの燃料の備蓄がある。イクストルはさすがにそこまでの速度で飛び痛づけることはできないので、なんとかビーグル号に追いすがってエネルギーを吸い取ろうとする。
     ペノンズ機関長が原子力タンクに穴が開いてエネルギーが洪水のように流れ出していることを発見し、警報を出す。ビーグル号は緊急停止。モートンはリース船長に防御スクリーンを張るように指示を出し、非常用の予備原子力で修理にかからせる。
     その頃にはイクストルはビーグル号の間近まで来ているが防御スクリーンに阻まれ、人間たちが宇宙船に開いた穴を修理しているのを見ると、自分が力加減を誤って穴を開けてしまったことを悟る。何とかスクリーンを突破できないか周囲を探るが隙間は見つからない。

    ・科学者たちの決心
     修理が終わり、引きあげようとした作業員の一人がイクストルを発見する。科学者たちはこんな虚空に手足を持った生物がいるなんて、と驚く。科学者たちは討議の結果、イクストルには研究する価値があると結論を出す。
     苅田博士が研究は相手を船内に入れずに行える範囲にするべきだと意見を述べ、モートンは防御スクリーンの外に檻を出してイクストルを捕らえて観察することにする。原子ミサイルを構えた男が監視している。イクストルが檻に入ると、透視カメラをはじめとしたさまざまな観測機器の邪魔になるため一度檻ごとスクリーンの内側に入れる。暴れて檻を壊しはじめたらミサイルを発射するつもりだ。
     だがイクストルは檻を壊さず稲妻が走るように檻の中から飛び出して、宇宙船の外壁に沿ってツツツと移動すると閉まっていた別の出入口の扉にしみ込むように船内に入ってしまう。

    ・なりひびく非常ベル
     警戒していたにも関わらずイクストルの船内侵入を許してしまった科学者たちだが、どこかの国のようにお前の責任だ!などと争うことはせずモートンを中心に対策を練る。 
     イクストルは艦内いたるところにあるカメラにも映らず、壁に溶け込んで隠れている。警戒する乗組員の後ろの壁からにじみ出るように現れて、一人の男を捕まえる。
     イクストルには4本の腕があり、腕の先からはさらに細長い触手が何本も伸びている。この触手を男の体内に潜り込ませて人間の体内構造を探る。これも溶け込むように出血も無く、傷もつけずにやってのける。だが警報ベルが鳴ったのに慌てたためにうっかり心臓を傷付け、男を殺してしまう。だがイクストルはこの時人間の胃が自分のタマゴを産み付けるのにちょうどいいことを発見している。死体ではタマゴを育てられないので、これを捨ててまた壁の中に消える。

    ・ふたりめの犠牲者
     イクストルに殺された技術部員のファットの遺体はエガート医師によって調べられ、身体に外傷は全くないことが確認される。死因は心臓麻痺だ。これを見守っていた幹部の中のうち物理学部長のグロッセンが何としても奴を倒さないと、と決意を述べる。
     グローブナーが壁にエネルギー線を当てれば壁の中のイクストルを発見できるのでは、と意見を出し採用される。ペノンズが具体的な準備をすることになる。その時壁の中からイクストルが現れて、大男のグロッセンを捕まえると素早く壁の中に戻ってしまう。なんとグロッセンの身体もイクストル同様に壁の中に消えてしまう。

    ・エネルギー線攻撃
     自分ばかりか人間の身体の構造も変えて壁の中に連れ込んでしまうイクストルの能力に一同は衝撃を受けるがモートンは矢継ぎ早に指示を出し、イクストルの行き先を探る。動物学者のスミスが生きているグロッセンをさらってファットの死体は置いていったのは、おそらく生きた人間の体内にタマゴを産み付けるためだろうと推測する。
     モートンはイクストルがビーグル号の外壁は通り抜けず、わざわざドアの位置まで移動したことからある種の金属は通り抜けられないのだろうと意見を出すと、金属部長のブレケンリッジ博士が同調する。すると機関室は大丈夫だ。
     クレイ中尉からイクストルが船の下側に向かったという目撃情報が入る。スミスがイクストルはおそらく最低5個はタマゴを持ち、グロッセンにタマゴを産み付けてどこかに隠すとまた次の獲物を捕まえに戻って来るだろうと予測する。
     リース船長は宇宙船の下半分にエネルギー線をかけるように作戦命令を出す。

    ・ぶきみな五つのタマゴ
     イクストルは胎内に八つのタマゴを持っている。これを生き物の体内にうえつければ、タマゴはかえってから5、6時間で宿主の身体を食って一人前のイクストルに成長する。既にタマゴを持って生まれて来るので宿主さえあればあっという間に何千体にも増えて人間を制圧できる。
     イクストルは宇宙船底部の空調機械室を根拠地に、次々に人間をさらってきて五つのタマゴを産み付ける。人間はエネルギー線でイクストルの位置を検知して、壁から出たところで熱線を浴びせるがいまひとつ効果がない。宇宙船内は熱線で穴だらけになっていく。
     グローブナーが作戦を変えましょうと提案する。さらわれた5人からやがて5体の怪物が生まれます。そうなったらもう勝ち目はありません。今のうちに思い切った手を打ちましょう、奴には宇宙船を失う覚悟でなければ勝てませんよと。

    ・捨て身の大作戦
     六人目をさらうために上層階に上がってきたイクストルは、これまでと様子が違うのに気付く。エネルギー線が無くなっているし熱線砲を構えた人間もいない。気付けばエンジンも停止している。ふと窓の外を見ると、人間たちは救命艇で次々と脱出していることがわかる。
     突然ビーグル号に震動が走り、熱気が押し寄せる。イクストルごと宇宙船を爆破しようとしているのだと悟ると、熱気の中を走り抜けてビーグル号の外に脱出する。人間たちは宇宙船を失ってここで死ぬのだろう、と振り返ると、ビーグル号が周囲の救命艇ごと防御スクリーンに包まれて、次々に救命艇を格納すると全速力で飛び去ってしまう。
     イクストルは自分が騙されたことに気付くがもう追いつけない。人間に負けたとつぶやく。
     
     ビーグル号内部ではグローブナーの指揮下で行われた作戦について、誰もが興奮して語っている。乗組員を全員外に出し、ビーグル号の下半分にリモコンで熱線をかけた。化け物は逃げ出してくれたが、焼けただれた部分の修理には少なくても三カ月はかかる。あと数分熱線をかけ続ければビーグル号の半分は失われるところだったと。

     医務室ではエガート博士が犠牲者からイクストルのタマゴを取り出している。5人とも命に別状はない。グロッセンから取り出したタマゴからイクストルが這い出すが、あっという間に熱線で焼き殺される。
     リース船長はいずれはあいつを退治しに来ないとなと決意を述べ、苅田博士も同意する。
    化学部長のケントがもうぶっそうな怪物は相手にしないことだな、とこぼすと、モートンが人間だってぶっそうさ、と混ぜかえす。
     久々に笑いに包まれたビーグル号は、次の目的地の星雲に針路をとる。

     原作ではもう一体宇宙生物が登場するけど、児童書はここで終わる。原作ではイクストルとの戦いでモートンが重傷を負ってしまい、ケントが総監督代理となる。グローブナーは肌の合わないケントとも戦いながら、第四の宇宙生物と戦うことになる。原作の方を一応確認すると次のようになる。

    ・惑星グロルを中心とした周辺宇宙一帯の大爆発により、唯一生き残ったイクストルは暗黒の宇宙で永遠を過ごしている。わずかな光があれば死ぬことはない不死の身体だが、生きるだけでせいいっぱいの状態が気の遠くなるほど昔から続いている。
     その錆付きかけた超感覚が遥か彼方を横切る宇宙船を感知する。何億年ぶりかの感覚にイクストルは歓喜して宇宙船を追い、エネルギーを吸い上げはじめる。振り切られるかと思ったが突然宇宙船は停止する。イクストルは自分がエネルギーを急激に吸い過ぎて宇宙船を損傷させたと悟る。宇宙船はそれで停止して修理にかかったのだ。だが強力な防御スクリーンも張られてこれを抜けられない。その時修理を終えた人間の一人がイクストルに気付く。

    ・モートンは天文学者のレスターや生物学者のスミス、苅田博士や物理学部長のグロッセンに見解を求め、防御スクリーンの外に檻を出してこの怪物をとじこめて検査をすることにする。

    ・イクストルは人間たちが何をするつもりか悟っておとなしくしている。わざわざ防御スクリーンの中に入れてくれるのだ。原子ミサイルを構えた男がおり、ミサイルを食らえばイクストルも無事では済まないが、これは船内で使える兵器ではない。つまり船内に入ってしまえばこっちのものだ。
     檻は船腹にある実験室に運び込まれる。さまざまな測定装置が準備されている。自分の生理機能が明らかになるのは好ましくない。胸の中に抱えた宝を見つかるわけにもいかない。イクストルは自分の身体の原子構造を自由に調整することができる。そうして腕を金属の檻を貫通させて外に出し、見張りの男の腰の震動波銃を操作して測定器を撃つ。これで測定器を壊し、今撮った写真も駄目にしてしまう。
     人間たちは仕切り直すことにして檻の位置を動かすが、この時イクストルは原子構造を戻すのを忘れていて、するりと檻から抜け出てしまう。イクストルはしまったと思いつつ迅速に行動して、いなずまが閃くように船腹を走り、エアロックの扉を通り抜けて船内に侵入する。

    ・イクストルの侵入に対してモートンとリースは全乗組員に武装命令を出し、単独行動を慎むようにも通達する。ビーグル号には各科学部門の他に行政部や、部に所属していない技術員というものもいるらしい。
     モートンはこの際にグローブナーに総合科学でイクストル(ビーグル号乗組員は「やつ」とか「生物」とか呼んでいる)が壁に溶け込んで侵入すると予見できたか尋ねる。もちろんグローブナーは否定する。つまりグローブナーを専門家と扱って、その専門家も予測できなかったと証言させることで自分の責任も回避している。
     心理学部長のシーデルが、檻をうっかり抜けてしまったことから知性はあるが過ちも犯す存在であると指摘し、生物学部長のスミスが手足を持つことから惑星上で発生したと考えられるのに真空中で生存できる、一種の究極生命体であると述べる。社会学者のケリーはそんな生物が銀河に満ちていないのは不思議だと言い、苅田博士が周期説によってイクストルの行動を予測する。おそらく生殖して仲間を増やそうとするだろうと。
     モートンは最後に総合科学者としての見解をグローブナーに求める。グローブナーが答えようとした時に、ペノンズ機関長が部下と共にやって来て、リース大佐に準備完了ですと報告する。ペノンズはイクストルを発見するために船内に力線を仕掛けたのだ。そして既に何かが検知されている。

    ・イクストルは「グウル」というものを作ろうと、適当な場所を物色して船底にある船倉がよさそうだと見当をつける。そして人間をひとり捕まえて、グウルの材料にできるか調べようと船の底から上方に移動する。そこで力場に引っかかる。だがイクストルは身体の原子構造を反射的に変化させることができ、力線が無効な状態に自動的に調整してしまう。
     5人ほどの男がやって来るのをやりすごすと壁から抜け出て、少し遅れていた最後尾の男を捕まえる。触手を男の体内に潜り込ませて隙間を探す。だが別の人間が近付いてくるのを感知して慌てたせいで、うっかり心臓を突き刺してしまう。イクストルの触手は柔らかくすることも硬化することもできる。次の瞬間、胃と腸ならグウルにぴったりだと発見したのだが死んでしまっては役にたたない。イクストルは死体を捨てて壁の中へ。人間の身体が思ったよりも脆弱であり、携帯兵器もイクストルを殺すほど強力なものではないとわかって安心している。
     人間はグウルの器としてもちょうどよい。5人ほど捕まえようと考えている。
     モートン、ペノンズ、物理学部長のグロッセンなどが見守る中エガート医師が死体を調べると身体には全く外傷が無い。死因は心臓麻痺だ。頭を抱える首脳部の人間たちに、苅田がスクリーンを通して会話に加わり敵もあやまちを犯す存在であり、おそらくその無敵・不死身性から組織というものを理解できないのではと推論する。グローブナーも船内テレビでこれを聞いている。

    ・突然壁の中からイクストルが現れて、グロッセンを抱えると、グロッセンごと壁の中に消えてしまう。イクストルは人間の原子構造も変えられるらしい。モートンは熱線砲を準備するよう指示を出していたが間に合わなかった。クレイ中尉からやつは船の下部に向かったと目撃情報が入る。グロッセンはさらわれる前に何かをメモ書きしてイクストルに突き付けたが、これが相手を激怒させたようにも見えた。グローブナーはおそらくイクストルがすり抜けられなかったビーグル号の外壁に使われている金属の原子構造ではないかと推測する。
     この金属は外壁のほか機関室の壁にも使われている。つまり機関室にいれば襲われずにすむ。

    ・ここまでイクストルが侵入してから2時間しかたっていない。一同は機関室でイクストル対策会議を開く。モートンはケアルにブレケンリッジが殺された後冶金部長になったゼラーを指名する。ゼラーはイクストルが通り抜けられない、抵抗金属と呼ばれているもので防護宇宙服の制作に取り掛かったことを報告。材料不足で1着しか作れないがあと三時間ほどで完成するという。モートンは既に主だった者に意見を求めて物理学部のロマスとヒンドリーが共同提案した方法でイクストルを力線と熱線砲で倒そうと決めている。実はもう一つグローブナーが立案した作戦があるのだが、これは少なからぬ犠牲を伴うので最後の手段扱いになっている。

     だがグローブナーはロマス&ヒンドリー案は効果が無いだろうと感じている。そこでさらに意見を具申した結果、モートンが先の提案との折衷案としてプランをまとめる。力線+熱線砲に、グローブナーが提案した原子放射線砲を使用する。だがこの武器はもろ刃の剣で、船内で使用するには強力すぎるし放射能被爆もする。それでもイクストルを倒すには危険を冒しても使わねばならない。技術員たちは準備にかかる。
     準備を進める間にもイクストルは出没し、次々に誰かをさらっていく。7階にモートン、8階にリース大佐、9階にグローブナーが配置されて原子放射線砲部隊の指揮をとる。
     だが7階の原子放射線砲部隊が全滅してしまう。イクストルが現れて一人の男をさらおうとし、イクストルのそばにいて原子放射線砲を向けられたその男はパニックになって砲手に震動波銃を撃ってしまった。そのため砲手は砲ごと転倒し、発射された放射線は三人を焼き殺して20人以上を負傷させてしまったのだ。イクストルは逃げ、原子放射線砲のことも知ってしまった。さらに悪いことに、負傷者の中にモートンがいた。モートンは二次放射能にやられていて回復にはかなりの時間が必要だという。
     グローブナーは素早く頭の中で計算し、リース大佐にどう動いてもらえば最も効果的かを考えて大佐を説得する。原子放射線砲をろくに訓練を受けていない科学者たちに扱わせるのはやはり危険だし、イクストルにもばれてしまってもう奇襲もできない。力線を強化する方向に作戦を切り替える。

    ・モートンが負傷したことで、療養中だった化学部長のケントが総監督代理として動きはじめる。ケントは社会学者のケリーや天文学者のレスターにヒアリングをした結果として、イクストルはビッグバンを生き延びた前の宇宙の生き残りで、おそらく前の宇宙では支配種族だったろうと見解を述べる。だがイクストルが現れて地質学部の主任助手・ダックを襲ったためケントの演説は中断する。7、8、9階に集中して力線をかけてイクストルを捕らえようとしたのだったが、イクストルはそれでも力線をものともせず逃げてしまう。

    ・冶金学者のゼラーから抵抗金属を使った宇宙服が完成したとの連絡が入る。だが同じものを量産して乗組員全員に着せるには少なくとも200時間かかるという。
     もう打つ手は無くなった。スミスはあきらめたようなことを言う。通信部長のグーレイがそれをとがめるが、グーレイも妙案があるわけではない。
     グローブナーは苅田博士にも意見を聞いて、ある新しい計画をリース大佐に具申する。グローブナーはリースの了解を得てこれを他の乗組員にも話す。イクストルに捕まったグロッセン以下5人を見捨てることになるが、生物学者のスミスがグロッセンたちはおそらく寄生繁殖の宿主にされているのだろうと見解を述べる。つまりイクストルの子供に体内を食われるのだ。殺してやった方が慈悲かもしれない。

     イクストルはいつの間にか人間の気配を感じなくなっていることに気付く。ひと通り卵を産み付けたイクストルは、残った人間は殺すことにして武器を組み立てようとしていたのだが人間の気配ばかりかビーグル号のエンジンもいつの間にか停止していることに気付く。イクストルの本能が危険を告げ、このままここにいてはまずいという結論に達すると作りかけの武器も放り出して一目散に船を脱出するために移動を開始する。船内のエネルギーの様子から判断すると、人間は全員脱出していて船を爆破するつもりなのだ。
     イクストルは反発磁場を作って高速でビーグル号から離れていく。振り向くとビーグル号が強力な防御スクリーンで包まれたことがわかる。
     防御スクリーン内に浮かんでいた救命艇が次々と船内に吸い込まれ、ビーグル号は今のイクストルでは追いつけない速さで一瞬のうちに姿を消してしまう。

     イクストルはまたしても暗黒の宇宙で漂うことになってしまった。悪いことに前回はいつか胎内の卵をどこかに産み付けようというかすかな希望があったのだが、もう卵も失ってしまった。あとは悔いを抱えて永遠に緩慢な死を待つことしかできない。

     エガート医師が犠牲者たちからイクストルの卵を取り出してゆく。一匹は孵化したが、あっという間に焼き殺される。他の卵も同様に処分される。グロッセンをはじめとした患者たちには命に別状はない。
     
     グローブナーは船全体に無制限の力線をかけたのだ。わずか三分間だが、船は修理に三カ月かかるほどのダメージを負っている。だがおかげでイクストルは逃げ出してくれた。これで逃げてくれなければ、イクストルを万一にも地球に行かせないためにビーグル号の破壊も覚悟してのことだった。
     
     イクストルが作っていた武器が発見される。まだ完成してはいなかったようだが、放つ光が物質を透明にしたり吸熱したりと未知の原理で作られている様子。これが完成していたら人間は一方的に狩られるだけだったかもしれない。

     誰かが、もう宇宙生物を船内に入れるのはやめないか、と訴える。異議なし、と総監督代理となったケントが答える。

    ーーーーーーーー
    ・イクストルは赤い円筒状の身体に手足がそれぞれ4本、先端に針金状に細く伸びる指というか触手というかがあると描写されている。児童書の表紙はよく描けていると思う。


    挿絵:伊藤展安氏

    ・イクストルに最初に殺された男は原作では名前が出てこないけど、児童書ではファットという名前がついている。
    ・イクストルはどうやらビッグバン以前の宇宙の支配種族で、ビッグバンを生き抜いた存在らしい。そんな相手を人間が作る兵器で倒せるわけがないという気もする。
    ・児童書では卵を8つ持っていて、うち5つを産み付けたことになっているが原作では5つの卵を産み付けて使い果たした様子。
    ・モートンは回復までは1年かかるとのことで、次の話にも登場しない。ケントが総監督代行になったことでグローブナーは何かとやりにくくなる。
    ・イクストルが武器を作るくだりは児童書では省略されている。


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