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「地球を呑む(手塚治虫著)」
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「地球を呑む(手塚治虫著)」

2021-07-28 19:00


    地球を呑む|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL


     1968年にビッグコミックに創刊号から連載された手塚さんにとってもはじめての青年向け長編漫画と書いてある。少年漫画と異なる画風も初のものだったらしい。

     夫となった男に裏切られて人間と文明社会を憎むようになった一人の女性が7人の娘に復讐を託す。金というもの、つまり経済を破壊すること、法律や道徳を破壊すること、男性の権利や尊厳を貶めることがその中心になっている。
     ムウ帝国の子孫でありその財宝も受けついだ娘たちは母親の遺言に従い、母と縁がある女性研究者の開発した人工皮膚を使って、世の中の男を引きつけずにはおかない顔と姿になって社会に影響力のある男たちを篭絡して世界を変えていく。

     人工皮膚を利益を度外視して大衆に普及させると、人々は全く別人になって生きていけるようになる。黒人が白人として暮らしたり、女性が男性として過ごすことも容易になる。
     容姿に自信がない人も好みの美男美女の姿で生きていけるようになる。その結果犯罪を犯しても顔も指紋も捜査に役立たないことになり、犯罪は多発する。このことで人間のモラルは崩れていくが、肌の色や顔かたちで差別される側にあった人にとっては救いになったりもする。

     姉妹はさらにムウ帝国の遺産である金を世界中に大量にばらまく。このため金の値打ちは大幅に下がり、経済は破綻する。日本ではこれをクーデターで軍事独裁下の統制経済で防ごうとする者も出るが、これも姉妹に篭絡されて敗れ去っていく。

     姉妹は本来は別々の姿と名前を持つが、人造皮膚で同じ姿となって同じ名前ゼフィルスを名乗る。話はこの姉妹の末の妹が一人の男性を愛してしまったことで姉たちから離反し、そのことが結果的に姉たちの計画を狂わせることになっていく。
     この末の妹の名前はミルダで、一番権威を持っているのはおそらく長女のエバ。他に何番目かわからないが、リーザという妹がやはり男性を愛してしまい彼を守ろうとして死亡する。
     だが他の姉妹は名前も明らかにならず性格の違いなどもあまり描写されない。

     姉妹たちは母の遺言通り世界を壊滅させるが、道徳の崩壊した世界では今度は年長者や母親に対して何の敬意も愛情も持たない次の世代に滅ぼされる皮肉な結末となる。

     独立した短編として読めるエピソードがいくつか挿入されていて、その一つにある一家が全員同じ姿の他人に入れ替わっているというものがある。もともと道徳的に腐敗していた一家が一人一人身代わりを置いて家を捨てていき、残った身代わりたちは互いが身代わりで本物ではないことをお互いに悟りつつも偽りの家族を演じていく。彼ら彼女らは本来の人生では愛すべき家族も持たず差別される弱者の立場だったものが、偽りの姿となってはじめて家族というものを持ち、互いの正体には触れないまま慈しみあって仲睦まじく暮らしている。
     だがこの人造皮膚がモラル崩壊の元凶として取り締まられてそれもままならなくなり、彼らはマネキンに人造皮膚をかぶせて家族を解散し、互いの正体を知らないまま去っていく。
     あとには一家団欒の姿のマネキンが残る。というもの。これは子供の頃に読んで上手いな、と思ったりした。

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