インターステラー感想(ネタバレ有り)
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インターステラー感想(ネタバレ有り)

2014-11-28 03:12
    「バットマンビギンズ」などを撮った、クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」を観てきたので忘れないうちにあらすじと感想をメモ。

     事前知識は予告を見た程度。地球の環境が悪化し、新天地の惑星を探しに行く、みたいな話と思っていたが、それで間違ってはいないのだが そうではない面も多々あって、なんというか予告編からは想像できないくらい類型にはまらない作品になっている。間違いなく駄作ではない。だが傑作か、というとその表現はうまくはまらない気がする。今のところ一番あてはまりそうなのは 怪作 かな・・・
     途中までは科学的な作品なのだが、後半はどちらかというと哲学的な要素が入ってくる。
     現代版2001年宇宙の旅、という感じ。そう思ったのは私だけではないらしく、SFマガジン12月号でもそんな感じに紹介してあった。

     公式HP。
     http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/

     ネタバレ要素も多い作品なので、そのへんに気をつかいつつ設定を説明すると、理由はよくわからないが、地球の植物が滅びかけている。疫病が流行り、小麦が、ジャガイモが、オクラが、次々と全滅していく。関連はわからないが常時砂嵐も発生し、人々は苦しんでいる。

     主人公は以前NASAのパイロットだったが、食料の確保が最優先となった世界では軍も、NASAも解体され エンジニアは居場所をなくし 優秀な人材は皆農業に携わっている。
     主人公も今は老いた父と息子、娘の4人でトウモロコシ畑を経営している。妻は病気で亡くしている。昔の技術水準が医学にあれば助かった筈だが、MRIさえ無用のものとしてしまった社会は妻を治せなかった。

     学校のカリキュラムも農業最優先に組み直され、歴史の教科書からはアポロ計画も削除されている。息子は農業の道に進むようだが、娘は父と同じく宇宙方面に興味と才能があり、学校になじめず教師から問題児扱いされている。
     アポロ計画はソ連を経済破綻に追い込むための捏造だった、という事になっており、主人公や学校の校長などはそれが若者の眼を農業に向けるための便宜上の嘘であると知っているが、娘の担任の若い女性教師はそれを真実と信じ込んでいる様子があり、主人公から科学の手ほどきを受けている娘とは合わないわけだ。この女性教師が何だか印象に残る。嘘を真実と信じ込む事は恐ろしい。

     そんな娘の様子がおかしい。部屋に幽霊がいると言い出す。何度直しても、本棚の本が落ちる。閉めたはずの窓が開き、砂が吹き込む。娘はポルターガイストの仕業と言うが、父は幽霊を信じるのは科学的態度でないと諭す。観察して、分析して結論を出すのが科学的態度だと教える。

     娘は現象を注意深く観察し、これが重力異常だと結論を出す。そして落ちた本はモールス信号のように飛び飛びに落ちており、床に堆積した砂のパターンが座標を示していると。

     父と娘はその座標に向け車を走らせる。金網で囲まれたさびれた施設がそこにあった。誰もいない。静まり返っている。どうする?と問いかける父に、ワイヤーカッターがあるでしょ、と答える娘。さすが俺の娘だ、と答える父。金網を切断しようとした時、閃光が走り二人は意識を失う。

     導入部としてはこんな感じ。以降はネタバレの度が増していきますので知りたくない人は適当なところで離脱してください。その先が気になるなら観にいきましょう。パンフも何も見ずに記憶だけで書いているので勘違いや間違いがあるかもです。

     目が覚めた主人公は、ロボットに尋問されます。この極秘の座標をどこで知った、と。
     このロボットのデザインが手抜きというか斬新というか、墓石みたいな三つの直方体を
    立てて並べてあるような感じで、真ん中と両端が交互に、ちょうど二人三脚のような感じで
    動いて歩きます。顔というか胸というかに当たる位置にはディスプレイ。常に緑色に書かれたコマンドのようなものがスクロール中です。モノリスみたいにも見えます。エバンゲリオンのゼーレのアレみたいにも。

    このロボット(名前はタース)のMMD動画を見つけたので貼っておきます。

     何故極秘の座標を知った!と迫るロボット。娘をどうした!と言い返す主人公。互いに押し問答を繰り返すうちに若い女性が現れ、娘さんは無事よ と告げ、姓を名乗る。主人公はその姓に聞き覚えがある。彼女はNASAで旧知の科学者の娘だった。

     彼女に案内された先には、組立中のシャトルと、彼女の父を含む科学者、技術者達がいた。
    解体された筈のNASAが、ここで密かに活動していたのだ。主人公が座標を知ったのは重力の導きだ と話すのに彼らは興味を持つ。実は世界中で同じような重力異常が起こっており、何か高次元の存在が重力を使って人類に手を差し伸べている、と彼らは思っている。
     何故ならば、48年前に土星近傍に人工とおぼしきワームホールが出現し、その先には人類が居住可能な惑星があるらしいのだ。
     既に12機の有人探査船がワームホールの彼方へ旅立ち、うち3機は有望な惑星にたどり着いた、との信号を送ってきている。
     最終的にどの惑星が最も移住先にふさわしいのか、彼らを救出すると同時にそれを調査しなければならない。そのために今度は小型の探査船だけでなく、軌道上に建設した大型のステーション型宇宙船を送る。どこが最もふさわしいかの情報を持って戻ってくる頃までには、この
    重力方程式を解いて、全人類が乗れる宇宙ステーションを完成させておく。重力に導かれてここに来た君は、彼らに選ばれたに違いない。旧知の科学者にそう誘われた主人公は、娘を地球に残して計画に参加し、ワームホールの向こうへ行くことを決意する。娘の未来を救うために。

     娘は主人公を強く信頼し、慕っており、その父が自分を置いて行ってしまう事を許すことができない。主人公は娘に自分とおそろいの腕時計を与え、父さんは離れたところにいてもお前と同じ時間を過ごしている、必ず帰ってくる、となだめようとするが、娘はかたくなに拒み、見送りを拒否する。本棚や砂のメッセージを解読すると「Stay」になる、だから行かないで、と言い続ける。

     わだかまりを残しつつも旅立つ主人公。メンバーは4名。主人公と旧知の科学者の娘、他に男性科学者が2人。一人は髭、もう一人は黒人である。あと例のロボットも同行する。このロボットはシャトルと一体化し、操縦をコントロールできる。また同タイプのロボットがもう1体、母船にも積まれており、こちらは母船をコントロールしている。

     シャトルで軌道上の宇宙ステーション型母船とランデブー。ここでのドッキング操作は主人公がいなければ難しかった。無事成功し、ステーションを稼働させる。

     ここで起動した宇宙ステーションが回り始めるシーンがなかなかよい。

     土星まで冷凍睡眠も行いながら約2年。地球との通信は何度も行われたが、娘は一度も出ようとしない。息子が学校の成績が2番だったこと、農業の道にすすむこと、彼女ができたことなどを伝えてくる。
     目的地に到着し、ワームホールの中へ。

     このワームホールの描写がなかなかユニーク。よく渦巻きのように映像化されるが(スタートレック・ディプスペースナインなど)、この作品では球体である。

     この計画にはA案、B案がある事が語られる。A案は居住可能な惑星を選び、巨大な宇宙ステーションでその星に人類ごと移住する。だがそのためには巨大宇宙ステーションを動かすための重力方程式を解き、ステーションを建設しなければならない。
     もしA案が実現不可能だった時は、B案として冷凍受精卵を惑星上で数世代に分けて孵化させ、そこで人類を再スタートさせる。自分たちは最初の世代として彼らを教育し、導かねばならない。

     無事ワームホールを抜け、最初の目的地へ。三つの目的地に行ったのは、紅一点の女性クルーの姉、恋人、尊敬する科学者だった。まず姉のいる星を目指すことに(日本語版では姉さんと言っていたような気がするのだが、他のサイトにはこの科学者が姉だとは書いていない。私の空耳だったらごめんなさい)。
     天文学を専門とするらしい黒人の男性クルーが、問題点を指摘する。この星はブラックホールの近傍にあり、時間が歪んでいる。この星の1時間は、通常の7年に相当すると。

     姉とブラックボックスの回収作業を2、30分程度、通常の2、3年で終わらせる計画で惑星に降下。黒人クルーは皆が戻るまで2、3年、ブラックホールを研究したいと母船に残り、髭の男性クルーと主人公、女性クルーの3名+例のロボットが惑星にシャトルで降下する。

     この惑星は表面が水で覆われており、着陸地点に陸地は無い。だが水平線の向こうには山が見える。水深は浅く、膝の上程度。重力が地球の1.3倍程度有り、歩きにくい。着陸地点から200m程歩いたところにビーコンの発信地点があったが、何もない。女性クルーが水中から拾い上げたのは、シャトルの残骸と発信機だった。
     姉の姿を探し求め、冷静さを失う彼女。せめてブラックボックスを回収しようと、さらに離れたところにあった別の残骸に向かう。その時に主人公が気付く。山が動いている。山じゃない。波だ。山のように巨大な。こっちに来る。
     ブラックボックスに固執し、動けなくなってしまう女性。髭の男性クルーが助けに向かう。続いてロボットも。だが波は早い。シャトル発進準備をして待機する主人公。女性は髭の男からロボットに手渡され、ロボットは両端をルービックキューブのように回転させ最大速度で帰還。女性とロボットは乗り込んだが、彼女を助けた男性クルーは犠牲になった。
     おそらく姉は数分前に死んだばかり。ブラックホールに起因する時間の歪みのため、彼らは最初のシャトルの遭難直後に到着したのだ。
     

     最高責任者の娘ということもあり、これまで指揮者的ポジションにあった彼女が、脆さをさらけ出す。彼女の無謀な行動のため一人が死に、余計な時間を費やした。母船に帰還したとき、23年が過ぎていた。黒人クルーは冷凍睡眠に入る事も無く、23年分老いて待っていた。

     23年分の故郷からの通信記録を見る主人公。息子は結婚し、子供に恵まれ、そしてその子供を亡くしていた。そして父も寿命を迎えていた。だが娘は未だに父宛の通信に出ようとしないという。そして最後のメッセージで、息子は語る。この通信、もう誰も聞いていないんだろう?と。原因不明だが、受信はできるがこちらからの送信はできなくなっていた。

     余分な時間と燃料を費やしたため、残る2つの星のうち片方にしか行けなくなった。どちらに行くか。女性はデータ上、より人間の生活に適すと、恋人のいる星に行きたがる。だがその星からの通信は数年前に途絶えている。多数決でデータ的には劣るものの、今も信号が発信されているもうひとつの星に向かうことが決まった。

     そんな時 突然娘から通信が入る。お父さん、旅立った時の貴方と同じ年になりました。それでも戻ってこない貴方は、ひどい人です、と。
     通信を終えた彼女の後ろに、最高責任者の博士がいた。彼女は博士の指導を受け、今はこの計画を支える 博士の右腕のような存在になっていたのだ。
     

     今度の星は氷の星。空中に浮かぶ雲まで凍っている。だが先遣隊のシャトルは無事に発見され、冷凍睡眠していた乗組員も無事蘇生する。優秀な科学者である彼は、この星は有望だ、十分人類が生存できると語る。

     この辺の詳細を忘れたが、とにかく彼と主人公たちは協力していろいろな作業をすすめる。
    主人公は一通りの調査が終わり次第、娘の待つ地球に戻ろうと思っている。娘を救うためにこここまで来たのだ。だが彼は違う見解を持ち、家族ではなく人類全体のことを優先して考えるべきだという。彼には妻も子もいない。
     彼のシャトルにも同タイプのロボットがいたが、ロボットを人間であるかのように扱う主人公に対し、彼はロボットが壊れている事もあり、電源装置の一部としか扱っていない。

     彼のロボットに記憶されているデータを地球に持ち帰るため、こちらのロボットにコピーさせてくれ、と黒人クルーが頼む。彼はロボット任せでなく、人間がおかしなことがないよう監視するなら、という条件でOKを出し、黒人クルーは作業に立ち会う事になる。

     目的は忘れたが、主人公と彼が一緒に氷の丘陵部分を歩いていた時、突然彼は主人公の通信装置をもぎ取り、崖下に突き落とす。

     
     地球では最高責任者の博士が寿命を迎えようといていた。重力方程式は解けなかった。必ず私が解いてみせます、と誓う今は後継者となった主人公の娘に、博士は今まで嘘をついていた事を謝罪する。博士はとっくに重力方程式を解き、この解が不完全である事を知っていた。完全に解くためには、ブラックホールのデータが必要なのだが、地球ではそのデータは入手できない。つまり方程式は解けず、巨大宇宙ステーションは作れない。A案は実行不可能。人類を生存させる方法は、B案しかないのだ。

     この計画で、A案はもともとダミーだったのだ。地球に戻ることはもともと予定されていない。B案こそが本当の目的だった。さらにこの氷の星が有望というのも嘘だった。可能性は最後の星にしか残されていなかったのだ。彼は人類全体を救うため、地球に帰ろうとする主人公を排除し、最後の星に行ってB案を実行しようとする。

     激しく争う2人。主人公は宇宙服のフェイスプレートにヒビを入れられるが、通信機を取り戻し、女性クルーに助けを求める。彼女はシャトルの搭載艇で飛んで来て主人公を助けるが、その隙にシャトル本体は奪われてしまう。

     データを移行していた彼のロボットが、セキュリティを解除するために人間の認証が必要だと告げる。主人公のロボットと場所を代わり、認証作業を行う黒人クルー。だがそれは自爆シーケンスの起動スイッチだった。

     黒人クルーは死亡。主人公のロボットはかろうじて逃げ出し、主人公と合流する。母船のコントロールを奪われれば最後だ。彼らは搭載艇で奪われたシャトルを追う。

     本来シャトルと母船のドッキングは主人公のお手本を学習して自動操作可能になっていたが、ロボットが機転をきかせてこれを無効にしており、無理やりドッキングしようとした彼はエアロックの操作を誤り、急激な空気の噴出を起こしてしまう。これにシャトルが巻き込まれ、シャトルと母船が接触、爆発を起こす。

     一部を爆発で失い、回転しながら漂流を始める母船。主人公は搭載艇でこれを追い、ロボットに回転を計算させてドッキングに成功、回転を止める。

     どこの時点でか忘れたが、主人公の娘から女性クルーに通信が入る。貴方のお父さんが亡くなりました。そして貴方は知っていたの?重力方程式は不完全にしか解けなくて、この計画がもともと地球に帰らない前提の計画だったと、と問いかける。ショックを受ける女性クルー。彼女も知らなかったのだ。

     今後どうするかを考える主人公と女性クルー。壊れた母船ではもう地球には帰れない。娘にはもう会えない。だが人類のために出来ることはまだ残っている。

     残った最後の星に到達するにも母船の燃料は不足しているが、最初の星のそばのブラックホールの重力を利用して加速、いわゆるフライバイ(スイングバイ)を行えば届く。
     受精卵は爆発に巻き込まれず無事だ。最後の星の可能性に賭けて、Bプランを実行しよう。そうすれば人類は残る。

     だがその前に、ブラックホールに関するデータもありったけ集めて地球に送ろう。娘にプレゼントだ。母船の加速を助けるため、ロボットは搭載艇、主人公は予備シャトルに乗り込みそれぞれのロケットを、燃料が尽きるまで噴射する。ロボットは燃料が切れたらそのままブラックホールに向かい、ぎりぎりまでデータを収集、地球に送信する。
     加速開始。まず搭載艇の燃料が尽き、ロボットはブラックホールへ。第二段階。シャトルの燃料が尽きる。だが主人公は母船に戻らず、自分ごとシャトルを切り離す。驚く女性クルー。
     主人公は言う。後に質量を残せば、それだけ君は先に行けると(はっきりそう言ったか正確なセリフを覚えていないがそんなような意味だったと思う)。彼方に去る母船。
     主人公もロボットを追って、ブラックホールに吸い込まれていく。

     もうそろそろクライマックスですが、この辺から哲学的な内容に。2001年で木星でスターゲイトの向こうに行くように、主人公はブラックホールの向こうに。この後の展開は、人によっては受け入れられないかもしれません。2001年を駄作と言って認めない人がいるように。


     娘は久しぶりに今は兄一家が暮らす実家にやって来る。兄は長女を病気で亡くしているが、残る下の子も咳が止まらず、診察させるためにNASAの同僚の医師を連れてきたのだ。

     診察の間、昔の自分の部屋に入ってみる。荷物の中から、父があの日自分にくれた腕時計を発見。なにげなくそれを本棚の上に置くと、秒針が細かく振動している。まるで何かの信号のように。かつて「Stay」のメッセージを解読した彼女は、これもまたメッセージであると確信する。
     

     主人公は何かに囲まれた空間で目を覚ます。姿は見えないが、ロボットが話しかけてくる。我々は高次元の存在に助けられたらしいと。そしてブラックホールのデータは取れたが、どのような通信手段を使っても地球には送れなかったと。

     自分を囲む何かを調べる主人公。何段にもなった格子のようなものに囲まれている。格子の間の壁のような部分を押してみると、簡単にへこんで、向こう側に落ちて穴が開いた。穴の向こうには、子供の頃の娘の姿が。これは壁じゃない。本だ。ここは娘の部屋の、本棚の裏だ。

     こちら側の空間内を移動すると、本棚の向こう側の娘は大きくなっていく。ここでは向こう側の空間は娘の部屋に固定されているが、時間は移動できるのだ。高次元の存在は、この空間の中で特定の時間を見つけ出す事ができないようだが、自分にはできる。

     主人公は時間を移動しながら、娘に呼びかける。声は届かないが、本には干渉できる。
    何度も同じ本を落とし、モールス信号を模した間隔で本を落とし、ここに俺がいるぞ、と映画導入部の出来事が裏側から繰り返される。
     ロボットの力を借りてNASAの座標をバイナリー・コードに変え、砂のパターンとして娘に伝える。
     そして本棚の向こうの自分が宇宙に旅立つ日、「行くな(Stay)」のメッセージを送り、娘はそれを解読するが、過去の自分は旅立ってしまう。過去は変えられない。では未来なら。

     
     子供の治療方針を巡って兄と妹は対立、砂の影響が強いこの土地から、今すぐ連れ出すべきだと言う妹に対し、愛着ある畑と家を離れる事を了承しない兄。説得するうちに兄は激高し、二度と来るな!と妹を追い出す。一度立ち去ったふりをして引き返す妹。兄を引き付けるため、畑にガソリンを撒き、火をつける。消火に向かう兄。その隙に妻と子供を説得し車に乗せる。そして腕時計を持ち本棚に。

     本棚の裏では、主人公とロボットが、ブラックホールのデータを秒針の動きに変えて送り出していた。このデータがあれば、娘なら解ける。あの重力方程式を。人類を救える。

     データを書き留める娘。やがて兄が火を消し止めて戻ってくるが、娘はもう大丈夫、とばかりに兄を抱きしめる。兄は畑を焼いた妹を怒ろうともせず、戸惑うように妹と抱き合う。

     ロボットが告げる。この空間が折りたたまれていくと。高次元の存在によって。主人公は答える。高次元の存在なんかじゃない。我々だ。そして未来の人類だ。ワームホールを作ったのも、この空間を作ったのも。

     主人公は目を覚ます。病室のようだ。起き上がろうとすると医者らしき男が話しかける。慌てないで。外見ほど貴方はお若くないのですから。120歳を越えている筈です。と。
     病室の窓の外を見ると、そこには空ではなく、せりあがった地面がある。スペースコロニーだ。

    ここはどこだ、と質問する主人公。土星近傍のステーションですよ。貴方の娘さんの名前にちなんだ。あの偉大な方の。答える医師。娘は?と問いかける主人公に、お会いになれますよ、二日後に。と医師。

     ステーション内には記念館として、周囲の畑と彼の家が再現されていた。そこを訪問する主人公。部屋の隅に転がっていたのは、あのロボットだった。主人公はロボットを修理する。

     娘に会いに来た主人公。そこには大勢の人が。これは娘の子や孫、親族達。おそらく娘の臨終の場なのだ。2年間冷凍睡眠していた娘は、今日父に会うために起きたのだ。鼻にチューブをつけ、ベッドに横たわる娘は、100歳を越える高齢である。
     娘は言う。父さんは、きっと帰って来るって信じてた。父は言う。幽霊は俺だったんだ。
    娘は言う。わかってた。お父さんに言われた通りやったただけなのに、全部私の手柄に思われちゃって困るの。ようやく親子の会話をする二人。やがて娘は言う。父親が娘を看取っちゃいけないわ。さあ、あの人のところに行ってあげて。

     娘の部屋を出る主人公。やがて宇宙服に身を固め、修理したロボットと共にワームホールの向こうを目指す。今もあの星でプランBを実行する、彼女の所へ。

     星で頑張っている彼女が映る。彼女の恋人の墓と、大きなベースキャンプがある。


     記憶だけで書いているので、話の前後やセリフはかなり思い違いがあると思います。特に後半は、宇宙の父と地球の娘の行動がシンクロするかのように、交互に描写されますがそこまでは表現しきれませんでした。またこの作品はあまりセリフで説明しないで映像でわからせるタイプの作品なので、私のほうで登場人物の行動理由や内面を解釈して文にした部分があります。
     私が見たのは日本語吹き替え版なので、字幕版だと微妙に印象が異なるかもしれません。


     後半の展開は、おわかりのように哲学的、人によっては非科学的と受け取ると思います。ブラックホールの向こう側に別の世界が、というのはどちらかというと嫌われがちな題材なような気もします(ディズニーが作った「ブラックホール」などはそういうオチで批判されてた記憶が)。でも未来の人類がそういうふうに作った高次元空間と考えるならギリギリつじつまは合ってるかも。
     SFマガジンによればブレーンに理論物理学者のキップ・ソーン(マンハッタン計画に参加し、ニールス・ボーアやアインシュタインとも共同研究を行い、「ブラックホール」や「ワームホール」の名付け親でもあるジョン・ホイーラーの弟子で、ホーキング博士とある種の特異点の存在を賭けて勝ったこともある、現在ブラックホールや重力理論では代表的な物理学者の一人)を迎えているとの事で、子供騙しの荒唐無稽さは無く、へえ、そうなんだ、という感じ。今ウィキペディア見たら、製作総指揮も兼ねているようだ。お金あるんだなこの人。

     ブラックホール周辺では時間の進み方がゆっくりとなる事、それによるウラシマ効果、などSFファンにはおなじみだが一般向け映画にはあまり出てこない事柄がうまくストーリーに溶け込んでいる。
     映像でわからせる、という点にはかなり力が入っていて、野球場に迫る砂嵐でああ、地球はもう駄目なんだなという気がするし、連絡艇と母船の接続が上手く行っているのかを周囲のロックで表現。主人公はドッキングが上手で後半の科学者はヘタクソだというのがよくわかる。
     回転を始める母船の窓の外の光景。ジェミニの有名な事故映像を思わせる。
     球形のワームホール。おなじみの紙を曲げる事によるワームホールの説明。
     23年分貯まった通信映像の中で一気に年を取っていく主人公の息子。
     山と見まごう巨大な波。シャトルと接触して欠け落ちる凍った雲。見慣れた、地球とさして変わらない光景が、ちょっとしたことでものすごく異世界に見える。

     宇宙船や宇宙服ほか小道具類も、不自然さが無くて本当にありそうなデザイン。その分地味なんだけどこの作品の場合は地味なのが合っている様な。

     主題もはっきりしていて、娘がいる父親であれば泣くかも。父と娘の愛情をきちんと描いた作品になってます。娘役の女優さんは何というか、美人というより意志の強さを感じさせる顔立ち。父と同年代になった姿と、老人になった姿で別の女優さんが演じていますが、父親よりもずっと年上になってしまった娘と、まだ若い父との最後の会話がいいです。
     ウラシマ効果をこれだけきちんと映像化した一般向け作品というのは無かったのでは。
     漫画だと星野之宣さんの「楕円軌道」あたりが思い浮かぶけど。

     もう一組の父娘は主人公組に比べると、ちょっと親子関係が希薄なような気がする。こちらの娘は結局ヒロインにはなりきれなかったかなあ。父親にも結果的に騙されてるし。

     この手の作品で毎度の事ながらいい人なのに死んでしまう脇役(髭のクルーと黒人クルー)はお気の毒です。

     主人公を危機に落とし入れる科学者も、悪役ではあるけど悪人では無い。
     自分の家族と、自分の家族以外の全人類と、どちらかしか救えない、となったらどちらを選ぶか。家族を取れば人類は滅び、人類の存続を取れば家族とはもう会えない。という条件で。
    主人公と反対側を選んだだけ。おそらく通常は彼の選択のほうが正しいはず。ウィキでは自分の命惜しさの行動と書いてあったけど、そうじゃないと思う。


     最終的に地球はどうなったのかよくわからない。何故地球が駄目になったのかも具体的な説明は無く、重力方程式を解いたとしても地球の環境改善には役立たないと思うので、おそらく全人類を宇宙に脱出させたのだろう。だがワームホールの向こうの星には行ってないみたいだから、いくつもスペースコロニーを作ったのだろうか。
     その場合、植物が滅びる現象にはどのような対策を講じたのだろうか。宇宙に持ち出せば大丈夫だったのだろうか。


     タイトルの「インターステラー」はそのまま「星の間」みたいな意味らしいが、この作品の中には「仲立ち」という意味のセリフが2回出てくる。正確にどう言ったかは忘れたが、
     最初は娘の教師との面談のシーン。性急に自説を押し付けようとする若い女性教師の横で、校長は主人公に我々の役目は仲立ちなんだ、今は農業を強化して世代を繋いでいくしかない。そうすればいつか主人公が持つような宇宙関係技術もまた必要になるはずだ、と言う。

     もう一つは本棚の裏の世界に入った主人公が、俺が仲立ちになれば、ブラックホールのデータを娘に伝えられる、というような感じの事を言う。

     英語には詳しくないが、ネイティブの人は「インターステラー」という言葉に 人と人の間、というイメージを持たないのかな。この映画の主題は、人から人へ技術とか、知識とか、いろいろなものを伝えて行きましょう、貴方は貴方の親と貴方の子供の仲立ちなんですよ、と言っているようにも思えるのだが。
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