SFマガジン2月号レビュー
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SFマガジン2月号レビュー

2015-01-03 20:36

    ・月刊最後となる、SFマガジン2月号。連載小説を除いて、ほぼ全部読んだので 備忘録を兼ねてレビュー。目次の順番で。

    ・マルドゥック・アノニマス(冲方 丁)
     作者が ウフコック の死を描く と以前から予告していた作品が連載開始。
    「マルドゥック・スクランブル」から数年が過ぎ、バロットは17歳。2年前から学校に通うようになり、今は学業優先でウフコックとのコンビも一時的に解消した状態になっている。

     彼女が21歳になったら、イースターズ・オフィスの正式職員として迎えよう、とイースターは思っているが、ウフコックはバロットの将来を自分たちが縛ってしまうのをよしとせず、なるべく現場に近付けないようイースターを牽制し、ピアスとチョーカーを作った。チョーカーは声を与え、ピアスは彼女の力を抑制し、学校生活に溶け込めるようにする。

     バロットの公的な保護者は ベル・ウィング。バロットからはグランマと呼ばれ、彼女の家族として一緒に暮らしている。カジノ会社の顧問として、その世界では顔である。
     イースター、ウフコック、バロットの3名しかいなかったイースターズ・オフィスも 現在は大勢のスタッフを抱え、エンハンサー(強化された存在)と呼ばれる特殊能力者達もその中には含まれている。

     そして今、新しい仕事が。スラム専門の弁護士・サム・ローズウッドから持ち込まれたそれは、ノースヒルの富裕層の人間が 内部告発に失敗し 命を狙われる事態になったため保護を求めてきているというものだった。

     ウフコックは、現在コンビを組んでいるエンハンサー、<ザ・ステアー(見つめる者)> ウェイン・ロックシェパード と共にホテルに閉じこもっている依頼者の保護に向かうが、<クインテット>と呼ばれる5人のエンハンサーの待ち伏せに会い、通信やターンオーバー能力を封じられ危機に陥る。
     異常を感じたイースターの救援要請を聞いたフリーのエンハンサー、<トレイン>が駆けつけるが・・・

    ※脇役が大勢登場するが、過去作に登場していたのか初登場なのかあまり覚えていない。もう一度確認のため読み直したくなる。最初の3というパートまではウフコックがガス室で死に向かう様子が少し描写され、ここでのウフコックは深く絶望している。何か大切なものを失った事が示唆される。バロットじゃないだろうな、と気になる。次のパート4から本編に入る。
     第1回からいきなりピンチ。マルドゥック・ヴェロシティみたいに、両陣営のエンハンサーが交互に倒れていく、という伊賀の影丸的展開になりそうな。<トレイン>は村雨兄弟の末弟、源太郎を連想させる。そんなの私だけか。

    ・青い海の宇宙港(川端裕人)
     技術監修にJAXAの野田篤司氏(あさりよしとお 「夏のロケット」に登場するロケットの科学考証及び設計など、SF小説や漫画にもいろいろ協力している、その筋では有名人)を迎え、最新の科学知見をバックにした現代版ジュヴナイル小説(になるのだろうと思う)。
     ラノベ全盛の現在、こうしたタイプの作品はほとんど見ないので、私としては嬉しい。
     宇宙港がある多根島(たねしま)を舞台に、JSA(日本宇宙機関)の若手職員、加瀬遥遠(かせはると)と宇宙遊学生として1年間の予定で転向してきた小学5年生、天羽駆(あもうかける)の2人を軸に話が進む模様。
     多根島では今年度は4機の大型ロケット打ち上げが予定され、宇宙に一番近い島と呼ばれてはいるが、事実上新型ロケットの開発は止まっており、最新型のロケットは20年近い昔に設計されたもの。加瀬は現在宇宙技術展示館の担当らしいが、いろいろわけありな雰囲気。
     一方駆少年は 宇宙に興味があってではなく ウミガメやカブトムシなど生き物好き、豊かな自然を目当てに宇宙遊学生徒に応募した、ちょっと変わり種。宇宙大好き、な他のメンバーに、ちょっと距離をおきたい様子。
     駆は初登校の帰り道、島での里親である茂丸(通称おやじ)に教わった秘密の場所で、謎の生物を見る。かげろうとも、蝶ともつかない、透明に近い白いかたまりのような生き物。小さい生き物の集合体に見える。おやじはそれを シロカゲ と呼ぶ。
     あっという間に空へ消えてしまったシロカゲを見ていたのは、駆の他にもう一人。加瀬だった。

    ※宇宙クラスタが大喜びしそうな作品。だがもう十何年も新型ロケットが開発されていないという状況は、どこか寂しい未来を暗示させる。現実がそうならないように願う。
      主人公の一人、加瀬は おそらく新型ロケットを開発したくてJSA(JAXAではないのは大人の事情だろうか)に入ったであろうに、現在はロケットの歴史の展示品を揃える仕事をしている。こんな描写やセリフが次々に出てくる。
    「金属のノズルとはっきりわかる部分が、ちょうどこちらを向いて露出していた。末端の開口部の直径は十センチほど。スロートはその半分くらいに細くなっている。隠れている奥の部分には、筒状の燃焼室が連なっているはずだ。最小構成の液体燃料ロケットエンジンである。」
    「ジンバル使ってエンジン自体を首振りする姿勢制御が普通だから、こんなバーニアエンジンはとんと頭から消えていたよ」
    「ロケットの姿勢制御の仕組みのコーナーを作ろうと思ってます。噴射板みたいに超古典的なものと、今も使われているジンバル、可動ノズルなんかの間みたいな位置づけですかね」
    「初期のやつは補助エンジンを使った姿勢制御もやっていたんだ。メインエンジンのターボポンプを通った一次燃焼後のガスと燃料の水素を合わせて噴いていた」
    「燃料って、ケロシン、RP-1ですよね。ええっと、燃焼室に直接噴くんじゃないわけですね。外壁と内壁を貼り合わせる時に螺旋状の流路を作っておくと、液体燃料を流路にそってめくらせて加熱してから酸化剤と混合。つまり、再生冷却ってことですね」

     私はこれらの描写やセリフが何を言っているのかよくわからないが、見る人が見れば ああ、あれか、とわかるのだろう。中学生程度の教科書にこういうのどんどん載せて、興味を持たせればいいように思う。日本の未来のために。

    ・PSYCHO-PASS GENESIS 予告編(吉上亮)
     サイコパスは第1シーズンだけ見ていたが、第2シーズンはやっていたのも知らなかった。
     登場人物の名前があまり覚えやすくなかったので、活字で見ると誰が誰だかよくわからない。この作品も誰と誰が戦っているのかよくわからなかった。調べりゃいいんだけど。
     シビュラシステムのシビュラって、巫女の事だったのか。
     

     今回はこの小説の他に 第2期のキャラクター紹介とかエピソードガイドとか評論とか、サイコパス2の特集が組まれている。好きな人には見逃せないのかも。

    ・影が来る(三津田信三)
     先月は円谷プロ特集号で、ウルトラQやウルトラマンを元ネタにした短編がいくつか載ったのだが、この路線で毎号掲載していくらしい。
     先月も江戸川由利子が多々良島を訪問する、という作品があったのだが、今月は由利子のドッペルゲンガーが現れる話。この江戸川由利子シリーズはいい企画だと思う。

    ・製造人間は頭が固い(上遠野浩平)
     ある夫婦が赤ん坊の命を助けてほしい、と一人の男に頼み込んでいる。男の肌は印刷ミスのように皮膚の色が薄く、血管が透けて見える。この男は製造人間。人類社会を守護する<システム>に属する、特殊能力を持つ超人類の一人なのだ。

    ※<システム>が人類を守るために具体的に何をするか、というのが、ネタバレになるので書けないけど いずれ実現しそうな気がする。

    ・どこかまったく別な場所でトナカイの大群が(ケン・リュウ 古沢嘉通訳)
     肉体を捨て、次元を超越した存在となった人類の話。だが主人公の母は3次元の人間だった。

    ※主人公の名前は レネイ・タイ=O・<星><鯨>・フェイエット。
     日本人に漢字のミドルネームをつけるっていうのは、リアルにあってもいいような気がする。

     とりあえず投稿。


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