映画「オデッセイ」紹介と感想(予告+冒頭10分ネタバレ)
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映画「オデッセイ」紹介と感想(予告+冒頭10分ネタバレ)

2016-02-05 23:45
    http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/

     公式サイトに何種類も公開されている予告編を見ると、ほぼネタバレしてしまっているので、宇宙に詳しくてカンがいい人は 映像を見てああ、あれを使うのか、とか ああなるんだな、とか結構わかっちゃうんじゃないかなと思う。

     NASAも協力しているということで、それなりに科学的な裏付けも確認されているんだろうとは思うけど、ちょっと私はこの映画は評価イマイチ。いいところとうーん、というところと混ざっていてビミョーだった。楽しみにしていて期待して行ったんだけど。原作は読んでいないので映画版のみの感想です。

     全編通して気になったのは、この映画の背景となっている年代がはっきりわからず(映画の中では言わない)、何が出来てあたりまえで、何ができないのかという科学水準を判断できないところ。予告にも出てくる巨大宇宙船(火星探査の母船)や火星基地はあと10年や20年では建造できなさそうに思うんだけど、登場する地上の様子なんかは現代と言ってもいいような。ここでははっきり書かないけど、今からせいぜい10年後くらいの時代じゃないと話が成り立たない、という描写もあるので、現代と未来がアンバランスに混ざったような印象があった。世界情勢もよくわからないのだが、巨大宇宙船はISSみたいな国際プロジェクトではなくてアメリカ1国で運用しているように思える。

     冒頭10分間もちょっと腑に落ちないところが多々あって、火星の地表で標本とかを採取しているクルーと、着陸船の中でこれをバックアップしているクルーがいるのだが、私はクルーがいるのが着陸船内なのか母船内なのかよくわからなかった。そこに砂嵐がやってくる。いろいろぐずぐずした後に結局調査中止、引き上げとなるのだが、それまでの経緯が、着陸船を出たり入ったりしている感じで急がないと、という緊迫感も無いし、風で着陸船がある程度以上傾くと飛べなくなる、ということで固定に出た主人公が風に飛ばされて行方不明になるのだが、これもどうしても外に出なければならない、という切迫感が感じられず、無茶しやがって・・・という印象。
     総員6名のクルーを率いるのは女性船長なのだが、彼女がもの凄く無能な人物に見えてしまう。嵐が接近しています、と報告を受けてもさっきチェックした、わかっているから大丈夫、みたいな事をいい、時間をロスした上に、主人公が行方不明になると視界もろくにきかない砂嵐の中でやみくもに探そうとしてさらに時間をロスし、残るクルーを危険にさらす。
     ここはもっとやる事を素早く全部やったけど、砂嵐の成長がデータに無いほど異常に早く、他のクルーを救う為に主人公を見捨てる、という展開ならまだわかるけど、優柔不断にみんなを危険にさらした、という印象が強かった。全体を見ないでやたら最前線に行ってしまうのは、カーク船長の時代ならともかく、今はちょっと。
     着陸船も結局砂嵐が強い中を飛び立つ。なら固定になんか行かせないでさっさと飛び出せばよかったのに。主人公が外に出て処置をして、はじめて発射が可能になった、みたいな必然性を感じなかった。母船の外見とかはこの段階で映らないので、脱出先がどこなのかも不明確。
     そしてそのまま母船で地球への帰還軌道に入ってしまう。主人公の死体も確認せずに。ここも納得いかない。一応主人公の宇宙服が破損し、生命維持不可能な状態と思われ、GPSや通信も途絶みたいなセリフはあるんだけど、諦めが早すぎる。やることをやってない気がする。任務途中で、地表の砂嵐で何故地球に帰還してしまうかもわからない。捜索する気になれば出来たように思う。また、この着陸船が母船とドッキングする様子が描写されていないので、再度地表に着陸船を降ろすことが可能なのか不可能なのかも判断つかない。多分もう地表に降りられないから引き上げになったんだと思うけど。
     火星の軌道上に地表の映像を撮れる衛星が複数飛んでいるみたいなので、地球に連絡して協力を得て、捜索してもよさそうに思ったのだがそういう描写は無い。
     
     主人公は半分砂に埋まって生きていて、目を覚まして偶然都合よくすぐそばにあるモジュールに避難する。ここには太陽光発電設備や酸素発生器、6名のクルーが1ヶ月過ごせる生活環境、水、食料の備蓄がある。

     主人公の腹にはアンテナの切れ端が刺さっていて、これで宇宙服破損信号が出たのだが、アンテナ自体と血が穴を塞いだので、気絶しても助かったというが、この傷じゃ助からないだろ、という重傷に思えてここも違和感。主人公はブラックジャックみたいにこの傷を自分で手当する。ここも医療キットがスタートレックみたいに進歩しているならともかく、あれじゃ治らないだろ、と思ってしまう。

     その後は予告にあるとおり、植物を育てて食いつなぎつつ、地球との通信を回復させて約4年後に来るであろう救助を待つことになるのだが、あれだけで栄養失調にもならず食いつなげるのもちょっと素直に受け取れない気がする。日光が当たらない屋内環境であんなに植物が育つものだろうか。光ファイバーで引き込んだりしているような様子も無かったが。
     何か補足説明があれば納得もするんだけど、そういうフォローは無かった。原作ではあるのかもしれないが。食料と水を除けば資材も豊富、居住空間もゆったりしていて、気候も安定。砂嵐は冒頭以降はやって来ないし、病気にも苦しまない。それなりにトラブルはあるのだが、宣伝ほどサバイバルという感じはない。主人公も何でも出来て非常に有能すぎる人物である。

     予告+冒頭10分だとその程度で、あとは直接のネタバレは公開直後なので避けますが、
     主人公が地球との通信手段を確立していく過程などは面白かったし、地球側が主人公の生存に気付くくだりなんかも悪くなかった。見所もそれなりにあります。
     後半、突然政治的・商業的配慮でか、ゼロ・グラビティと同じようなモチーフになってしまったのは残念。私は日本人だからこの時代の日本はどうなってるんだ、と思ってしまう。原作もそうなら仕方ないけど、原作を改変してこうしたのであればなんだかな~と思う。
     ラスト近く、回転運動や加速度があんなやり方で抑え切れるのか、というのもちょっと疑問。ああはうまく行かないだろう、と素人は思ってしまうが専門家が見てもOKなんだろうか。
     NASA内部での意見対立がわりと描写されていて、救出作戦の総指揮を取るNASA長官と、
    現場責任者が結構かけひきやせめぎ合いをやっているのは面白かった。そんなに掘り下げてはいなかったけど、情報が即時公開されてしまう、だから失敗したときの反動を考えると一番有効な手が打てないという視点なども。

     アメリカ人の、何があっても助かろうと前向きに最大限の努力をするところや、困難な場面でもしょうもないジョークを忘れないあたりは、ああ、アメリカの映画だな、という印象。
     半分以上が一人芝居に近いので、主演俳優さんが好きな人は見て損はしないかもしれない。
     火星探査責任者は多分インド系の人で、NASAのスタッフに他にもアジア系の人はいるんだけど、日系人もいてほしかったな、とやっぱり思ってしまう。と、そんな感じでした。
     ガムテープと防水シートは宇宙でも役に立つ、ということもよくわかる映画でした。あと、ローバー内でトイレどうしたんだろうな、と気になる。紙とか。それはあまり描写するわけにもいかないんだろうけど。
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