「X線で見るダイナミックな宇宙」 講演会に行ってきた(1)
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「X線で見るダイナミックな宇宙」 講演会に行ってきた(1)

2016-03-14 19:00
    ・先日のアストロ-H改め、「ひとみ」の打ち上げ成功を受けて、ひとみの探査能力や、それによって何がわかるか、何が期待されているかを、関係者が一般人相手に説明してくれる講演会。
     無料だった(交通費はけっこうかかったけど)し、特に予約とかもいらないようだったので行ってみました。

     当日もらったチラシとパンフレット。真ん中がパンフ。



     演者は3名それぞれ1時間ほど、パワーポイントで時に映像などを交えてのお話でした。
     会場は首都大学東京。昔の東京都立大学をはじめとする3つの大学と1つの短期大学を母体として誕生した東京唯一の公立大学ということらしい。初めて行ったが、駅からは近かった。3人の演者の一人は、この大学の方とのことで、そうした研究も行っているらしい。

     主催は日本天文学会、日本学術振興会、首都大学東京の共催みたい。
     講演された方の所属はJAXA、京都大学、首都大学東京となっている。

     講演会がある事は、たまたま駅にポスターが貼ってあったので検索して以下のサイトを
    見つけたのだが、
    http://www-x.phys.se.tmu.ac.jp/asj2016tmu/wp/wp-content/uploads/2015/09/chirashi2.pdf

     上記は首都大学東京のHPの一部みたいなのだが、JAXAや天文学会、首都大学東京のHPの
    頭から順番にたどって行っても私はこのサイトにたどり着くことができなかったので、そういうものがあると最初から知って探すならともかく、知らない人にはなかなか見つけられなかったように思う。知らなかったよ、知っていれば行ったのに、という人も多かったかもしれない。
     会場は300人収容とのことだったが、3分の2埋まったかどうか、という印象だった。若い人も女性もかなり見かけたが、大学関係の人かな。

    1.ASTRO-Hが解き明かす熱く激しい宇宙 高橋忠幸氏(JAXA宇宙科学研究所)

     以下のJAXAのHPでASTRO-Hのプロジェクトマネージャとして紹介されている方ご本人。
     なんと贅沢な講演会なんでしょうか。会場で映し出される資料ではタイトルや文中のASTRO-Hは「ひとみ」に置き換え済みでした。
    http://www.jaxa.jp/article/special/astro_h/takahashi01_j.html

     特にメモを取っていたわけではないので覚えている事を順不同で思い出すままにメモると、
     ASTRO-Hの打ち上げ準備から打ち上げ成功までのVTRを紹介されてそのVTRが衛星分離、バンザーイ、という感じで終わったところ、この後が我々はたいへんだったんです、というお話。打ち上げた衛星やカメラがきちんと稼動するのか、が内之浦の方にきちんとデータとして上がってくる(降りてくる?どっちがいいんだろう)までは、安心できないし記者会見も出来ない。打ち上げチームよりも1日2日、緊張が長く続くそうです。
     プロジェクトマネージャー席にはロケット打ち上げ時に押さないといけないボタンが三つ並んでいて、①準備完了②非常停止③非常停止解除 だったかな?つまり行くか止めるか、を決める責任者なので、もちろん押し間違えたらとんでもないことになるのでプレッシャーは半端じゃないとも。
     正常かどうか確認できるまでは、太陽電池パネルが広がっていなければどうする、こちらからの命令信号を受け付け無かったらどうする、ああだったらこう、こうだったらああ、と考えられるトラブルとその対処法を手早く限られた交信可能時間内にやらねばならないとの事で、何ヶ月もその訓練をしていたそうで、今回は全くその訓練の成果を見せることが無かった大成功だったようです。

     そのような話を交えて、ひとみが積んでいる観測装置の紹介。現地でいただいたパンフレットがすごくわかりやすかった。おそらく、JAXAHPにあるプレスキット
    http://fanfun.jaxa.jp/countdown/astro_h/files/astro_h_presskit.pdf
     というのと同じものだと思うので、JAXAのデジタルアーカイブの許諾無く使用できる場合
    http://jda.jaxa.jp/service.php
    に該当すると判断してイラストを使わせていただいたのですが、問題あるようでしたら削除しますので関係者の方お知らせください。以下画像の引用について同じ。


     というわけでパンフに載っているひとみの構造。望遠鏡が三種類4台、検出装置が4種類6台搭載されており、全長は打ち上げ時は約8mだが、観測時には脚が伸びて約12mになる。
     なぜそんなに大きくなければならないかというと、X線はエネルギーが強くて、普通の鏡は通り抜けてしまうので、特殊な鏡を何百枚も置いて、少しずつ曲げないといけないので、焦点距離が長くなっちゃう、ということらしい。ほとんど水平に近いような角度で入射させないと、X線は反射しないとか。
     硬、軟というのはX線が持つエネルギーが一定値より高ければ硬、低ければ軟、みたいな使い分けで、エネルギーが高いほど透過率も強いので、それだけ鏡もナノテクを用いるなどして反射能力が高いものにしなければならないらしい。
     X線は望遠鏡+検出器で観測するが、ガンマ線は望遠鏡は無く検出器のみ、みたい。
     これで(理解していないけど数字丸写し)0.3~600keVという広範囲のエネルギー帯域を同時に観測できるという。この感度は、前任の「すざく」の観測機の10倍から100倍に相当するという。こういうのは関係者は「それはスゴイ!」と思うのに世間にはそれがわかってもらえなくて歯がゆい所だろうなあ。もちろん私もわかってないが。エレクトロンボルトとか、言葉としては聞いたことはあるが。
     寿命はわずか3年しか無い。が、これは3年間は壊れないものとして設計したということで、それだけもしもに備えた予備装置や予備基盤などを備えているということ。これを10年とかにしようとすれば、2.7トン
    では収まらないという。また、3年の観測で得られたデータは、分析には10年かかるだろうとも。つまりこれから他の国の衛星が上がったとしても、10年は最先端でいられるということか。最近JAXAの娘たちは、設計寿命が切れてからもがんばって活躍する例も多いが。

     それぞれのカメラの特徴や役割についてはJAXAHPでは以下のように紹介されている。
    http://www.jaxa.jp/article/special/astro_h/summary_j.html

     一番の目玉は上図でSXSと書かれている分光検出器で、X線光子が検出部に入ったかどうかを、温度上昇としてとらえるマイクロカロリーメーターを中心とした装置。光子一個の温度上昇などものすーごーーーく僅かなので、周りが暖かいと何がX線光子の熱だかわからなくなるということで、雑音を消して小さな音をとらえるみたいに、余計な熱が無い状態でX線光子の熱を観測する、というわけで装置の検出部はほぼ絶対零度近くまで冷やされる。
     この装置が宇宙で使われるのも、X線を観測するのも世界初とのこと(実は前任のすざくにも乗っていたが冷却用の液体ヘリウムが漏れて観測できなかったという。赤外線天文衛星のあかりちゃんの漫画でも液体ヘリウムを失った話があった。あかりちゃんの4巻、ネットでは公開しないのかなあ)。
    https://www.ir.isas.jaxa.jp/AKARI/misc/comic/index-j.html

    http://astro-h.isas.jaxa.jp/challenge/mechanism/sxs/
     これがうまく冷えてくれるかというのが大事であり、関係者が心配だったところだが、ツイッターやプレスリリースで「2月22日、絶対温度50ミリ度(摂氏マイナス273.1度)に到達したことを確認しました」というのは、ちゃんと冷えました、世界ではじめての観測をする準備がととのいました、という事なんだろう(素人の理解で書いております)。

     すると何が観測できるかというと、まず今まで見えなかったエネルギー帯域のX線(を発生しているガスなど)が見えて、写真にも撮れるようになった上で、さらにX線がどんな物質から発生したのか(ガスが何からできているのか)が、わかるようになる。
     これまでのすざくの分解能だと、X線に含まれるスペクトル分析が(下のグラフの)黒い線のように大雑把にしかできず、何かあのへんの元素が含まれているのだろう、という雰囲気がなんとなく分かる程度だったのが、おそらくひとみの分解能だと赤線のようにスパイク状というか尖塔状にまでグラフ化できるので、間違いなくこの元素が含まれているとかいないとかわかるだろうとの事。



     さらに、連続して観測することにより、X線を発生しているガスがどのように動いているのか、単純に放射状に広がりつつあるのか、渦を巻きつつ広がっているのかなどがわかるようになり、ガスなどが持っている運動エネルギーがわかり、・・・と、これまで想定しかできなかった多くのことがはっきりわかるのだという。

     そうは言ってなかったが、これまでは白黒静止画しか撮れなかったけど、ひとみはカラーで動画撮影ができるようになった、くらい画期的なんだろうと素人は思う。



     
     ちなみにX線観測のために必要な能力は5つあり、ひとみの登場によって、過去のデータと合わせれば、5つの能力全てを現代の技術水準的に満たした観測結果が得られるようになるとか。
     
     そして3名の講演者の方がみなおっしゃっていたが、ひとみに最も期待するのは、今まで想像もしなかった、誰も予測していなかった現象を、見つけてくれるのでは、ということだという。

     という、お一人目の講演のところまで。あとお二人は特にパンフレットが無いので、どんどん忘れていくのだが、今週中ぐらいに続きを書ければと思っていますが、忘れちゃったら書けないかもしれない。←書きました。
    (2)
    http://ch.nicovideo.jp/metabou/blomaga/ar989120
    (3)
    http://ch.nicovideo.jp/metabou/blomaga/ar989628

    (参考)ネットで見つけた関連ページ  いっぱいあって読みきれませんが。
    JAXA 「ひとみ」のページ
    http://www.jaxa.jp/projects/sat/astro_h/index_j.html
    JAXA 「ひとみ」特設サイト
    http://fanfun.jaxa.jp/countdown/astro_h/
    JAXA 「ひとみ」プロジェクトサイト
    http://astro-h.isas.jaxa.jp/

    (宇宙科学研究所 第13回宇宙科学シンポジウム 講演集)
    http://www.isas.jaxa.jp/j/researchers/symp/sss13/sss13_proc.shtml
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