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標題=電子書籍論(1)
シリーズ標題=メディアの現在そして未来
掲載媒体=ブロマガ
発行会社2012/10/08
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 10年前に「インターネットは儲からない」(日経BP社)という本を出して、インターネットの革命性について、いくつかポイントを提示した。そのうちで最も大事なポイントは「発信者負担」という概念であると指摘した。

 これまでのメディアは、本を出せば読者がお金を出して著者が印税をもらう。映画を作れば観客がお金を出して映画会社とスタッフが利益を分配する。コンテンツのコストは受信者負担なのである。

 インターネットにおいては、これが逆転する。インターネットにおいては、無名であろうと有名であろうと原稿料は出ない。原稿料の出る有料サイトは本質的な意味でのインターネット・メディアではなく、旧来のメディア方式をインターネット回線を利用して運用しているだけである。(だから、当初に比べて原稿料は安くなる一方だろうw)

 インターネットは無料の表現スペースではない。インターネットに表現をするためには、パソコンを購入し、プロバイダー契約をし、通信料を支払う必要がある。フリーブログであっても、それは無料ではなく、表現者がコストを負担しているのである。

 前著では「旧来のメディアで原稿料をもらって書く作家と、発信者負担で身銭を切ってまで表現しようとする高校生と、クォリティの問題ではなく、どちらが表現に対して切実であるか自明である」というようなことを書いた。インターネットの本質はクォリティではなくライブ感覚である。