今回の訪問には大きく2つの目的があります。1つは、アニメ作品の舞台である飛騨市とそこに訪れる旅行者の現状を把握することです。そして、飛騨市古川町の伝統的行事である三寺まいりに参加することです。
まずは、舞台の一つである飛騨古川駅(JR高山本線)に降り立ちます。線路に架かる歩道橋からは、主人公の一人である立花瀧ら一行を乗せた特急が到着したシーンがそのまま再現したような光景が広がります。飛騨市へ訪れる観光客は、かつては40代以降の中高年層が中心でしたが、映画公開以降、若年層が来訪するようになったそうです。確かに若いカップルやグループの観光客が目立ちます。 また、外国人観光客の姿も見られました。1月4日の公開以来、爆発的なヒットを記録している韓国からやって来た男性2人組。日本語が堪能なお一方が、映画を見て感化された友人を誘って訪日したようです。
また、飛騨古川さくら物産館では、昨年9月16日から映画上映期間終了まで『「君の名は。」飛騨市パネル展』が開催されています(好評につき2度にわたり期間延長)。また、組紐体験(500円)も実施されています。
さらに、飛騨市美術館で開催中の『「君の名は。」展』(会期:2月19日まで)にも参りました。企画書や絵コンテ、設定資料など約300点の展示があり、見応えたっぷりです。15日には飛騨市古川町の伝統的行事である三寺まいりが開催されました。三寺まいりとは、浄土真宗のお寺にまつわる行事です。毎年1月15日の晩、人々が町内の三寺(円光寺・真宗寺・本光寺)を巡拝し、各お寺で勤行に加わるというものです。明治・大正期には長野へ糸引きの一年奉公を終え、着飾った娘たちが勤行に加わり、男女の出会いが生まれたことから、現在では縁を結ぶ行事としても受け入れられています。
古川町にある、歴史的なまちなみ(瀬戸川と白壁土蔵群)のなかには、巨大な和ろうそくが建てられ火が灯されます。また瀬戸川沿いでは、千本ろうそくが立てられ、灯籠流しも行われます。和装の女性たちが千本ろうそくを立て、祈りを捧げる姿はなんとも神秘的です。
14~15日は、強い寒波の襲来で、飛騨地方も大雪に見舞われました。道路の視界不良や高山本線の一部区間通転見合わせ等もあり、例年の1/3程度の客足だったそうですが、それでもなお多くの観光客で賑わいました。
先週末からは中国の春節が始まり、中国人観光客が飛騨市に殺到しているとのテレビ報道がありました。アニメをきっかけに、外国人に日本の地方都市の魅力を知ってもらう絶好の機会ですね。
『君の名は。』については、アニメコンテンツの影響力が多分に大きいと考えられます。また、現地の感覚として今後は特に外国人観光客が増えると思われます。地元がファンを受け入れていく際に、例えば飛騨古川さくら物産館のようなファンが集える場所を充実させることは、絶好の「おもてなし」の方法であると考えられます。飛騨市を訪れるファンと地元の人々との間で作品に対する認識のすれ違いのないような「おもてなし」を、地元の人々が施すことが重要ではないでしょうか。最後に、(株)MICは今後も地域とアニメ文化を結ぶかけ橋を目指し、地元の方々と作品のファン両方に喜んで頂ける取り組み、また様々なエンターテイメントに関わる活動を展開して参ります。今後とも御愛顧下さいます様、何卒よろしくお願い申し上げます。