ちょびの東京放浪記 その壱
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ちょびの東京放浪記 その壱

2015-05-06 22:27
    しつけの出来ていない犬を散歩させるように、使い慣れないキャリーケースをコロコロと
    引きづりながら30分もかけてバス停まで歩いた。東京に向かう高速バスに乗るためだ。

     4月23日夜8時半、繁華街だというのに人通りはまばら。決して明るいとは言えない
    街灯の下でバスが来るのを待つ。周りを見ると同じバスに乗るであろう人々がちらほらいる。

     彼らの目的は何だろうとふと思った。東京に住む友人の家にでも行くのか、それとも
    ディズニーランドにでも行くのか、それぞれに大きな荷物をもって暇な時間をスマホを
    いじってしのいでいる。

    かく言う僕の旅の目的は3つあった。一つは3年越しの夢でもあった超会議2015に、参加すること。そして、ささやかながら自分のコミュニティである三毛猫堂放送局のリスナーさんに会うこと。最後の一つは東京の各地を巡ることだ。

     僕の決して短いとは言えない今までの人生の中で何かのイベントに自主的に参加したことは
    ただの一度もない。生来の出不精ということもあるが、行きたいと思うほどそういったものに興味を持ったことがなかったからだ。

    しかし、どういうわけか”超会議”というよくわからないイベントが行われると最初に聞いたとき、僕は行ってみたいと思った。ボカロが好きってわけでもない。特別応援する生主がいるわけでもない。アニメやゲームは好きだが特別熱中しているわけでもないし、そんな歳でもない。

    なのに行ってみたいという衝動は日を重ねるごとに大きくなった。得体がしれない謎だらけのイベントというのが興味を引いた理由だろうか。ニコ生で各ブースを見ることもできるが
    僕は実際にその場で経験したかった。
     
     残念ながら経済的な理由で第一回、二回は参加することができなかったが、今回は本気で行ってみようと計画を立てた。

    多いとはいえない給料をちくちく溜めてなんとか旅費にした。二日通しのチケットも発売当日にゲットし(優先券が買えなかったの悔しかったが)、今夜乗る高速バスのチケットは一か月前に用意し、カプセルホテルなんかは2か月も前に予約を入れた。

    万全の態勢で挑んだつもりだったが、旅行自体に慣れていないせいか、直前になって用意できていないものが次から次へと現れ、蓄えた旅費は準備費用にじりじりと減っていく。

    今回旅のお供に用意したキャリーケースもその一つだ。当初、リュックサックのような軽装で臨むつもりだった。一人旅だし三泊四日の小旅行だ。大した荷物ではないと思っていたのだが・・・

    今キャリーケースにはみっちり荷物が詰められている。片手で持つにはかなりしんどいというほど、重量がある。ちょっとした旅行にもこれ程荷物がいるのだと初めて知った。

     何もかも初めての経験ばかりだ。一人旅も初めてだし、連泊するのも初めてだ。高速バスに乗るのも初めて。イベントに参加するのも初めて。東京には一度行ったことがあるが、修学旅行で行っただけだから初めてといっていいだろう。

    わくわくする反面、不安も沸々と沸いてくる。電車の乗継はうまくできるだろうか?(東京の
    交通網の複雑怪奇さは風の噂で聞いていた)帰りの新幹線はうまく手配できるだろうか?(最終日の日程があいまいだったのでチケットを用意していなかったのだ)?カプセルホテルは快適だろうか?(本来、僕は閉所恐怖症なのだ!)

    期待と不安がマーブルチョコのように混ざりあっている時、ようやくバスが到着した。
    ピンクの車体がなにやら怪しい。とにもかくにも一世一代の僕の旅が今始まったのだった。






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