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【第8位】プロが選んだ名作SF映画BEST100!【メトロポリス】
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【第8位】プロが選んだ名作SF映画BEST100!【メトロポリス】

2014-10-27 16:34
    今回は第8位メトロポリスのご紹介です。よろしくお願いいたします。
    ソースはこちらhttp://www.timeout.com/london/film/the-100-best-sci-fi-movies-10-1?pageNumber=3



    【第8位】  メトロポリス (1927)





    監督 :フリッツ・ラング

    脚本 :テア・フォン・ハルボウ

    製作 :テア・フォン・ハルボウ


    出演: マリア:ブリギッテ・ヘルム
        フレーダーセン:アルフレッド・アベル
        フレーダー:グスタフ・フレーリッヒ
        ロトワング:ルドルフ・クライン・ロッゲ





     未来都市メトロポリスは偉大なる発展を遂げていた。地上には資本家たちの楽園が広がり、地下には一日10時間労働が課せられ機械により統率されていた。地上を支配するジョン・
    マスターマンの息子エリックはある日、不思議な女性と出会う。その女性はたくさんの
    子供たちを引き連れ、地上へと迷い込んだ貧民の娘マリアだった。彼女は子供たちに
    エリックたちを”兄弟”だと紹介しエリックにも子供たちをあなたの”兄弟たち”だと紹介する。彼女に一目ぼれしたエリックは彼女を追いかけ地下世界へと降り立つ。そこはエリックの
    想像をはるかに超えた地獄だった。エリックは地下の世界と地上の世界の橋渡し役になることを決意する。しかし地上ではエリックの父親は発明家ロートワングに命じてメアリーを誘拐し彼女にそっくりなロボットを作ったのだった。このロボットの役目は地下世界の住人を導き
    思い通りに動かすことだったが、ロボットマリアはその役目を放棄し労働者たちに革命を
    促した。労働者たちの反乱で地下世界は崩壊し大量の水によって水没してしまう。自分たちの住処と家族を失った労働者は憤怒し首謀者であるロボットマリアを火あぶりにする。だが
    彼らの家族は、人間マリアによって救われていたのだった。エリックはマリアを救出しに
    向かい、労働者たちに真実を告げる。そして父親を諭し崩壊した世界をもう一度やり直すため労働者のリーダーと握手を交わさせるのだった。






    「陳腐」「映像は素晴らしいがそれだけ」「子供だまし」…こういった評論は今でもプロアマ問わず見聞きするものですが、このメトロポリスが公開されたときの評論家たちの言葉もこういった辛辣な物ばかりでした。ジョージ・ルーカスも「スターウォーズ」公開時に多くの
    評論家からこのような批評を受けています。しかし、両作品とも今では映画史に燦然と輝く
    傑作として認知されているのは皆さんもご存じのとおりです。

     そんな時代を先取りした映画を撮り続けたのがフリッツ・ラングという映画監督でした。1890年オーストリアで生まれたフリッツ・ラングは高校卒業後、父親の影響で建築家になる
    ための勉強をしていましたが、絵画に目覚めた彼はフランスで絵を学び始めます。第一次世界大戦では兵役に志願しシェルショック(戦闘ストレス反応)で療養しました。そんな療養生活の中で彼が熱中したのは映画のシナリオやアイデアを書き溜める事でした。退役後、ドイツの映画会社にスカウトされたフリッツ・ラングはドイツ表現主義の影響を受けていきます。

     そして1920年、彼は運命の女性と出会いました。テア・フォン・ハルボウです。有名な女流
    作家でありプロデューサーでもあった彼女は、それ以降フリッツ・ラングのために本を書き
    映画をプロデュースしていきます。すでに結婚していたフリッツ・ラングでしたが惹かれ
    あった二人は恋におちます。フリッツ・ラングの妻が死んだあと(自殺でした)二人は正式に結婚し公私ともにパートナーとして人生を過ごし始めました。二人の作った映画は傑作ばかりでした。「カリガリ博士(脚本改稿)」「ドクトルマブゼ」「ニーベルンゲン ジークフリート」「M」そして「メトロポリス」。現在のサスペンス、フィルムノワール、ホラー、SFの礎となった作品ばかりです。彼がいなければ今の映画界はなかったといっても誰も否定はしないでしょう。ジェームズ・キャメロンと同様、女性の力によって才能を開花させたのでした。

     先進的な作品を世に問い続けた彼に多くの人たちが魅了されました。その中にナチスドイツの宣伝大臣ゲッペルスがいました。ゲッペルスはそれまでナチスが行ってきた威圧的扇情的なプロパガンダに限界を感じていて、民衆を煽動するには映画のような芸術を使ったほうが効率が良いと気付いていました。そこで白羽の矢に立ったのがフリッツ・ラングでした。
     ゲッペルスは彼にナチスを潜在的に宣伝する映画を作るよう迫ります。母親がユダヤ人であった(息子のためカトリックに改宗していたとはいえ)フリッツ・ラングの立場は大変危険なものでした。結局、フリッツ・ラングはアメリカに亡命することになりました。
     一方で妻であり仕事のパートナーであるテア・フォン・アルボウはナチスに傾倒しナチスのために作品を作っていきます。このことが(おそらく)きっかけで二人は離婚します。

     アメリカに渡ったフリッツ・ラングはハリウッドで映画を作り続けます。自分の人生と愛する妻を奪ったナチスへの憎しみを胸に。ですがアメリカで彼が作った映画は、ドイツ時代の
    目もくらむような傑作とは違いどれも精彩を欠いたものばかりでした。なぜならハリウッドは彼にB級映画しか撮らせなかったからです。メトロポリスの興行的失敗でハリウッドは彼を
    完璧主義者で浪費家だと信じていました。戦後、ドイツに戻っても映画を作り続け最後に彼が撮った作品は「怪人マブゼ博士」(1960)。この映画は元妻テア・フォン・アルボウとのドイツ黄金時代に共に作り上げた「ドクトルマブゼ」シリーズの続編でした。

     「メトロポリス」はフリッツ・ラングの人生においてもっとも大規模で最も先進的でもっとも思い入れのある作品です。世界恐慌の足音が聞こえていた当時、”100年後の未来”を描いたこの映画は荒唐無稽のものでした。ましてや富裕層(知識人あるいは資本主義者)の主人公と貧困層(労働者あるいは社会主義者)の娘が恋におち、社会が一つになるきっかけになる(最後は両者の代表が握手して終わる)という、お気楽で楽観主義的なラストは到底リアリティを感じさせないものだったのです。

     フリッツ・ラングのどんな人でも共に分かり合える理想郷を描いたこの作品は完成直後からその理想とはかけ離れた運命をたどります。共産主義的な内容を含むという理由(単に長すぎたということもありますが)でフィルムはずたずたに勝手に編集しなおしてアメリカで公開され、短く編集しても観客の回転率は上がらず大幅な赤字に陥り、評論家たちからは散々な批評をされました。そしてナチスドイツによって人生もパートナーともバラバラにされるのです。ハリウッドでも冷遇された彼の心のうちはどのような物だったのでしょうか?

     映画評論家の故・淀川長治氏のエピソードでこんなものがあります。淀川氏がアメリカでたまたまフリッツラングに会う機会を得て、彼に「メトロポリスは素晴らしい映画だった」と伝えると彼は飛び上がるほど喜んだというものです(ソース http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/title/yodo0002.html)。淀川氏の一言でフリッツ・ラングの溜飲がどれほど下がったことでしょう。それほど彼の理想と現実はかけ離れたものだったのです。

     そんな彼の理想郷メトロポリスには一体のロボットが登場します。世界で最も美しいロボット(アンドロイドあるいはガイノイド)といわれる”マリア”です。彼女もまたフリッツ・ラングの理想の具現化でした。驚くべきことにその顔はある人物とうり二つです。そう、彼の妻テア・フォン・アルボウに。マリアは映画の中で様々な面を見せてくれます。
     あるときは子供たちの面倒を見る母のように、あるときは男たちを惑わす娼婦のように、あるときは労働者を革命に導くリーダーに、そしてあるときは美しい青年と恋におちる少女のように。
     私にはフリッツ・ラングがこの映画を妻のために作ったように見えます。カトリック信者であったフリッツ・ラングにとって妻テア・フォン・アルボウはまさに聖母マリアだったに
    違いありません。それ故にアメリカへの亡命は彼に大きな影響を与えたのです。


    テア・フォン・アルボウ


    マリア(演:ブリギッテ・ヘルム)


        マリア(精神注入前)

     1954年フリッツ・ラングの聖母テア・フォン・アルボウは交通事故であっけなく
    亡くなりました。晩年アメリカで過ごしたフリッツ・ラングは離婚後ずっと独身で過ごしていましたが、80歳の時再婚し85歳で亡くなりました。最後に彼と人生を歩んだリリー・ラテも
    また彼の仕事を長年支え続けた良き友人でした。

     すべてのSF映画に多大な影響を与えたフリッツ・ラングの理想郷メトロポリスは、度重なる編集と戦争のため、我々が完全な状態で見る機会はずっとありませんでした(およそ4分の一が未発見でした)。しかし2013年、新たに見つかったフィルムと最新技術による修復で
    メトロポリスは再上映されました。完全版として。
     
     そのまったく古びない映像美と物語はフリッツ・ラングと妻テア・フォン・アルボウの未来のビジョンが間違っていなかったことの証明にもなったのです。
     間もなく二人が予見した2027年がやってきます。果たしてその時、我々は彼らが望んだ手と手を取り合い未来を紡ぐ人間になることができるのでしょうか?




    思いつくままに記事を書いているせいで、内容の重複・矛盾・間違い・誤字脱字が多くあると思います。読み返して直すのが面倒臭いし、なにより恥ずかしいのでそのままにしていることをお許しください。次回は第7位の作品のご紹介をさせていただきます。おたのしみにー
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