映画「ダンケルク」について
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映画「ダンケルク」について

2017-09-24 04:45
  • 21

『ダークナイト』『インターステラー』のクリストファー・ノーラン監督が撮った戦争映画。



 第二次世界大戦。
 ベルギー・フランスの国境を突破したドイツ軍がフランス最北端の町〈ダンケルク〉に侵攻。追いつめられたイギリス軍とフランス軍は大規模な撤退作戦(ダイナモ作戦)を実行する・・・・。


 1940年に実際に起ったダンケルクの戦いを描いた作品。といっても登場人物は架空の存在であり、ストーリーもフィクションです。しかし映像や音響効果は本当に凄まじい迫力でした。ドイツ兵の姿はほとんど見えず、突如始まる銃撃や爆破シーンなど様々な場面で驚かされます。何だか見ている自分も映画と同じ場所にいる気分でした。更に単調なBGMと秒針の音が追い打ちをかけてきます。並のホラー映画より恐ろしかったです。


 「ダンケルク」と言われても日本人にはあまりピンときませんが、この撤退作戦の成功はイギリスでは「ダンケルクスピリット」という言葉が根付くほど有名な出来事でした。
 しかしイギリス軍が優先的に撤退した為、撤退が遅れたフランスは大きな代償を負う結果になります。映画「ダンケルク」にもイギリス軍が優先されてる場面がちらっとでてきます。
 それでも英仏軍30万人の救出に成功したことは事実であり、奇跡でもあるのです。



 他の戦争映画によくあるドラマ的要素は少なく、セリフも非常に少ないです。映像に映されるのは登場人物の行動やその危機的状況をリアルに追ったもの。しかも生身の戦闘シーンがなく、ひたすら見えない敵の攻撃が繰り返されます。ノーラン監督はディテールのみで群衆場面のサスペンスを演出する為、サイレント映画を研究したそうです。監督曰く、「戦争映画というよりもサバイバルストーリーでなによりもサスペンス映画」であるのがこの映画の本質なのでしょう。


 本作は「陸・海・空」の3つの場所から違う長さの時間軸で描かれており、クライマックスは同じ時間軸に収拾します。ノーラン監督作品って時制が錯綜するものって結構ありますよね。デビュー作「フォロウィング」は時系列がバラバラ、出世作「メメント」では時系列が逆行、「インセプション」でも夢と現実じゃ時間の経過が違ったりと・・・。どれも発想が面白くて好きですけど、人によっては混乱しちゃいますね。


 映画「ダンケルク」も一度に内容を把握するのは難しいかもしれません。それに重厚なドラマを求める人にとっては淡泊に感じるでしょう。数多くの賞賛の中、幾つか否定的な意見もありました。その中のロンドン・タイムズ紙の批評で、「他の戦争映画に比べて、ダンケルクはゲームのCall of Dutyのように感じた」というものがありました。結構的を射た意見だと思います。でも他の戦争映画同様、悲愴感ややるせなさはしっかり伝わりますよ。


 否定的な意見を差し置いても、今回の映画はとても面白かったです。CG感の無いリアルな質感がノーラン監督らしくていいです。しかも前回のようなSFではなく史実なので、より現実感が強いです。実際、CGを使わずハリボテの兵士や軍用車を使って撮影したり、戦闘機を水没させたりしてたみたいです。相変わらずこだわりがすごい。


 「ダンケルク」を見て、なんだかんだ「サスペンス」が得意な監督なんだなぁとつくづく思いました。でもやっぱり巨匠と呼ばれるにはある程度のジャンルをこなさなきゃいけないのかもしれません。キューブリックが「2001年宇宙の旅」や「フルメタル・ジャケット」を撮ったみたいに。次はホラー作品とかいいんじゃないですかね?元々「インセプション」の初期案がホラーだったようだし、ノーランのホラーも見てみたいけどなぁ。

 


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他11件のコメントを表示
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ミソネタ兄貴さすがの解説っすねぇ
初めは色々と「?」から始まって、最後に収束する処で「なるほど!」に代わる映画構成はノーラン監督ならではですね。

今まで見た戦争映画で一番恐怖感を煽られる映画で、戦時中の兵士たちの焦燥感がビシビシと伝わってくる映画なんで、ホモの皆も映画館で見てどうぞ。

上のなんばば兄貴も言ってるけど、Hans Zimmer氏の恐怖感を煽るBGMも見どころだゾ
気になったら映画を見るのと一緒にZimmer兄貴のsound trackとかを聞いてみるとイイゾ~これ
27ヶ月前
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我々もイラク戦争やアフガン戦争の兵士の視点をYoutubeを介してようやく知ることになったが、よく耳にする戦災体験や映画にみられるドラマ性など、戦場には存在しない。
熱も情もなく、冷たく乾いた時間が横たわり淡々と現実が進行していく。
「Call of Dutyのようだ」という批判は、おそらく戦争映画につきものの悲惨さや残酷さを強調した啓蒙性を求めているからそう見えるのだろうと思う。
だが戦争すらドラマとして消費しようというそういった見方こそが平和ボケであり、ダンケルクは娯楽としての映画の本懐を果たしつつも「愚昧に消費される戦争」像にに一石を投じるものだと思う。
ノーランの戦争についてのメッセージがあるのなら、おそらくそこなのではないか。
娘さんをください。
27ヶ月前
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もう1回見たくなる批評ですねこれは...
27ヶ月前
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空戦シーンは戦争映画の中でもかなり迫力ありますねぇ!
27ヶ月前
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そういう映画でもないよなと思いつつ民間船到着シーンで泣いたゾ。愛だよ愛!
27ヶ月前
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愛、そうだよ!ただゆうこと聞かない、おフランス海軍は沈めるゾ~(ブリカス)
27ヶ月前
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この文はお母さんに代わりに書いてもらったんだよ
27ヶ月前
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>>13
>お金取れるレベルの批評だと思った

えぇ・・・(困惑)本読み立ての幼稚園児か何か?
25ヶ月前
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ダイナモ作戦!ダイナモ作戦!YO!YO!YO!YEAH!(イギリスに)行くぞ!
24ヶ月前
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ミネソタ兄貴お勧めだしミリオタだし美しい映像であっという間に時間が過ぎます!びっくりしたのは俳優さんが若い。それがよけいに辛くてぐっときちゃうと思います。
22ヶ月前
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