映画「ブレードランナー 2049」について
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映画「ブレードランナー 2049」について

2017-10-29 13:35
  • 8

 SF映画の金字塔『ブレードランナー』の30年後を描いた作品。監督は『プリズナーズ』『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。



 2022年、アメリカ西海岸で起きた大停電をきっかけに世界中の財政や市場が停止、食物の供給が困難になり世界は危機的状況を迎える。この停電はレプリカント(人造人間)の仕業であると多くの人が非難し、レプリカントの製造が禁止され、製造元のタイレル社は倒産してしまう。

 2025年、天才科学者ニアンダー・ウォレスは遺伝子組み換え食物を開発。その技術を無償で提供し、世界的な食糧危機を終わらせる。その後、彼の会社であるウォレス社がタイレル社の負債を買い取り、タイレル社の技術を強化し、極秘に従順で制御できる新型レプリカントの開発を始める。

 2035年にはレプリカント禁止法が廃止、ウォレス社は新型レプリカント「ネクサス9型」を発表した。

 そして2049年。ロス市警所属のブレードランナー(違法なレプリカントを処分する捜査官)であるネクサス9型レプリカント「K」は違法な旧型レプリカントの疑いがある農夫サッパーの元に向かう・・・・




 サイバーパンクの未来感を決定づけたといえる傑作「ブレードランナー」。今でこそ名作扱いですが、かつての「ブレードランナー」の立ち位置はカルト的存在でした。「2001年」同様に一般受けではない映画であると思います。それに他のSF映画と比べ、「フィルム・ノワール」「ハードボイルド」の要素が強く、SFアクションを期待して肩透かしを食らった人もいたことでしょう。
 しかし、そのビジュアルやそこで描かれるSF的テーマ、キャラクターやそのセリフに多くの人が魅了され、後続のSF映画に多大な影響を与えたのは間違いありません。

 今回はその続編なのですが、前作から30年後という事もあって雰囲気が少し違います。2049では環境の変化や居住者の増加、以前に増して貧困や病気が蔓延しており、前作以上に暗く厳しい世界観になっています。更に舞台はロス以外に広がり、都市部以上に荒廃した世界が描かれます。



 今作には原作が無く、新たに映画の為に創造された物語です。そういう意味では「続編」というより「リブート」に近い作品になっています。しかし、前作で感動を味わった人にとっては正当な続編だと認識できるはずです。本作は上映時間が163分という大作であり、内容もオリジナル版をリスペクトしつつ、主人公「K」自身のアイデンティティを探求していくディープな物語が展開されます。大衆向けではなく、前作を楽しんだ人向けのカルト的作品に仕上がっており、そういう意味ではかなり挑戦的な映画です。
 
 ファンにとって聖域である「ブレードランナー」の続編ということもあって大きな不安がありましたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は大いに手腕を発揮しました。彼が手掛けた作品の多くは高く評価されてますね。特に淡々としたテンポと監督独自の空気感が好きです。それに人間ドラマの描き方が巧みな監督だと思います。


 今回の映画で特筆すべきは前作とは趣が異なる強烈な『映像美』、そして一人のレプリカントの切ない物語だという点です。

 撮影監督ロジャー・ディーキンスによって作られた映像はどれも素晴らしく、一種の映像芸術として完成しています。撮影もほとんどセットを使用し、リドリー・スコット監督とは違うヴィルヌーヴ監督独自の未来世界を作り上げています。

 そして物語についてですが、オリジナル版ではルトガー・ハウアー演じる反逆レプリカント「ロイ・バッティ」の悲哀に満ちた姿が観客に強烈な印象を与えました。終盤にある独白シーンは台詞と共に映画史に残る名場面ですね。海外ではその台詞から「Tears in rain monologue(雨の中の涙 モノローグ)」と呼ばれています。今回の2049ではライアン・ゴズリング演じる主人公「K」がロイ・バッティに代わる役割を果たしています。ラストの場面では多くの人が心を揺さぶられるでしょう。

 前作主人公デッカードは物語終盤に重要人物として登場します。デッカード演じるハリソン・フォードは老体ながら激しいアクションシーンを演じています。ほんとにすごいですね。そしてデッカードが出会う衝撃の人物・・・これには驚かされました。


 前作と同様のものを求める人は本作をよく思わないかもしれません。「あれが良かったのに」「ああしてほしかった」とかそういうふうに思う人もいると思います。しかしそれをしてしまえばただの二番煎じ、焼き直しにしかならないのです。

 少なくとも前作のテーマや内容を理解しているのなら、2049も同じ様に楽しめるはずです。
特に「K」のラストシーンは素晴らしいですよ。

 何回も言いますが、本作は万人向けの映画ではありません。しかし個人的に続編映画として、また一つの映画作品として完成している秀作であると思います。




※これから観る人は前作と動画サイトで公開されている3つの短編の視聴をおすすめします。

ブレードランナー ブラックアウト 2022


 2022年。大停電が起きるまでの物語。


2036:ネクサス・ドーン


 2036年。天才科学者ニアンダー・ウォレスは執行官たちに禁止されているレプリカントの製造をするべきだと主張するが・・・


2048:ノーウェア・トゥ・ラン


違法旧型レプリカントのサッパーは街にいた一人の少女に心を開いていたが・・・・・




 往年の名作のリメイクや続編が乱立する中、こういう良作が出てくるのは非常にうれしいです。最近だと「トレインスポッティング2」も素晴らしい出来でしたね。でも何だかんだ思い出補正のおかげで楽しめているのかも。



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ヘボットで知ったけど面白そうだから見てみようかな
25ヶ月前
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見事なミスリードにより、主人公が何者であるか2度も騙されました。

前作を見てからだと、繋がりが良く分かりもっと楽しめますね。

前作で「レプリカントにも感情は芽生える」という台詞をタイレルが言ってましたが、今作ではレプリカントが人以上に人になろうとしている姿、その描写に圧倒されました。

あっそうだ(唐突)
前作も勿論見てほしいけど、フィリップKディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」も是非とも読んで欲しいゾ。
25ヶ月前
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予習なしだと辛いと思いました(KONAMI) 
事前知識を持って観賞しよう!廃墟好きにはあぁ^~たまらねえぜ!
25ヶ月前
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前作よりも分かりやすかったというか、原作(電気羊)に近かったと思いました。「本物(リアル)」ってなんだよ(哲学)
あとARカノジョがかわいかった(ノンケ)
25ヶ月前
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投稿動画の内容とはかけ離れた整然とした記事で草

自分も映画館で観た予告編でもう映像美にやられたんでぇ…
見に行くかやっぱ
25ヶ月前
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ラブが訪れる主人公の家は完全にメルヴィルのサムライを意識して映してますね・・・
デッカード宅の構図とか色使いがヨーロッパ映画的でものすごいセクシー・・・エロいっ!
24ヶ月前
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シネカス☆作ってくれよな~頼むよ~
24ヶ月前
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廃墟ホテルのポンコツVR劇場、レトロとオールディーズとフユーチャーのごった煮感で男汁を2万ガロン出した
23ヶ月前
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