今年で第二次世界大戦終戦から71年を迎え、天皇陛下がお気持ちをお言葉にされるという大きな出来事もあります。
そして、広島に原爆が投下されて71年たった先日の土曜日に、海上自衛隊横須賀基地で行われてた、サマーフェスタ2016にて公開された護衛艦いずも に乗艦してきました。
海上自衛隊最大のヘリ母艦に乗ったという事で、今回は空母不要論で根拠に言われる、陸上基地の方が空母より優位という考え方に対して、それぞれのメリットデメリットを述べたうえで、そもそも比較するのがおかしいという話をします。
まず、メリットデメリットに関してですが、陸上基地は航空機に着艦の為の構造や頑丈さを求める必要がないので、純粋に高性能な戦闘機を運用出来、一度に飛ばせる機数も比較的多くなります。
何より、強化バンカーの様な頑丈な施設で作戦機を保護できるのは大きいです。
滑走路もフォークランド紛争のアルゼンチン軍が示した様に、穴が空いても短期間で修復可能です。
逆にデメリットとして、基地の位置が特定されやすく、航空撃滅戦になれば反復攻撃を受け続ける可能性が有ること、地形により滑走路や格納庫の面積が制限される場合が有ること、遠方では兵坦問題があり早急に展開する為には相応の工兵戦力を要求されます。
対して空母のデメリットは、万が一攻撃を受ければ撃沈されなくても長期間ドック入りして戦力から外れますし、艦載機は陸上機より制約が多く性能に制限を受けやすく、一度に発艦出来る機数も甲板の広さから制限されます。
しかし、空母のメリットは好きな場所に航空戦力を展開出来る事です。
そして、隻数に余裕があれば陸上基地を圧倒する作戦機を投入する事も可能です。
加えて、陸上基地と違い発艦箇所の特定が難しい為、簡単に捕捉され撃退される可能性は低いでしょう。
偵察衛星も、見つける事は出来ても、何ノットでどちらに針路を取ってるかといったミサイルが命中するのに足りるだけのデータを提供し続ける事は困難で、空母側も当然電子戦を仕掛けて妨害します。
航空攻撃をするにも、対艦ミサイルのキャリアーが迎撃を受ける可能性が高く、まして潜水艦は待ち伏せ以外で空母を攻撃するのは、巡航速度や隠蔽性の維持の為に不可能です。
結果、マリアナ沖海戦の様な事態も起こってしまいます。
現代で空母が少ない理由は純粋に維持費調達費といった金銭的問題なのです。
そもそも、役割に関しては航空戦力として独立して動く基地航空戦力と艦隊を守り好きな場所へ打撃力を提供する艦隊航空戦力では任務が全く違います。
例えば航空優勢確保であれば、基地航空戦力は特定空域の航空優勢を確保し、あわよくば敵航空拠点に打撃を与える航空撃滅戦を行います。
しかし、艦隊航空は機動する艦隊の移動し続ける防空識別圏をカバーし、敵艦隊または基地航空戦力を叩く必要があります。
つまりは、基地を基点とすることで作戦時間そのものにも影響が出る基地航空戦力と艦隊の機動に追随して基地の有無を無視しなければいけない艦隊航空戦力は全くの別物なのです。
予算はどうにもなりませんが、空母が時代遅れといった認識は誤解も甚だしいですね。