アメリカ軍とライフルの影響力(4/26追記)
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アメリカ軍とライフルの影響力(4/26追記)

2020-04-18 18:35
    アメリカ軍といえば、圧倒的な戦力を思い浮かべてしまうかもしれません。
    しかし、彼らの歴史を紐解いていくと、その中心にはライフルの存在が必ずあります。

    今回はアメリカ軍とライフルの関係に関して、個人的な意見を書いてみます。

    1、独立戦争とライフル
    アメリカとライフルの関係は、合衆国建国からの深い仲です。
    そもそも開拓地として白人が入植したアメリカでは、日々の食糧を得る為に、狩猟も大切な仕事でした。

    当時の軍隊は戦列歩兵が中心で、使用する小銃は滑腔砲身のフリントロック式マスケット銃が主体でライフルは狩猟に用いる事が多く、アメリカでも多くのライフル銃が活躍していました。

    特に、ペンシルベニア州やケンタッキー州で多く用いられたロング・ライフルはケンタッキー・ライフルとして歌にされる程、入植者たちに愛されます。
    そして、アメリカが国家として独立する為にイギリスと戦った独立戦争では、ミニットマンたちの愛用する武器として活躍します。
    もともと狩猟用に用いられていたロング・ライフルは射程と命中精度で軍用マスケット銃に勝っており、大陸 軍は散兵と狙撃を用いてイギリス正規軍と対峙します。
    イギリス軍は発射速度ではミニットマンたちよりも優位でしたが、指揮官に対する狙撃などを受けて、容易に進撃できない状況へと陥ります。
    そのため、大きな会戦ではイギリス軍が優勢でありながら、多くの出血を強いられ、大陸 軍は正規兵による部隊を整えて勝つための時間を稼げたのです。

    現在も、ロング・ライフルはアメリカ独立の象徴であり、アメリカ軍というよりアメリカ国民にとって大切な存在であります。

    2、南北戦争と弾薬供給
    アメリカ軍が最初に経験した総力戦、世界でも前例がなかった戦いが南北戦争です。
    本来はCivil Warと呼ばれるこの戦争で合衆国政府が痛感したのは大量の弾薬を補給し続ける難しさでした。
    スペンサー銃やウェンチェスター銃といった連発銃やガトリングガンに代表される機関銃が誕生したのも南北戦争ですが、あまり大々的に利用されなかったのには理由があります。

    まず、南軍の場合は連発銃を運用するのに必要な薬莢式のライフル弾を製造する技術がありませんでした。
    そして、技術力に勝る北軍も、大量の動員を行った結果、前装式小銃の生産すら完全に間に合わせる事が出来ず、輸入小銃も運用している状況でした。
    工業化が進み、ヨーロッパに先駆けて銃器の規格化や大量生産を進めていた状態ではありましたが、それでも厳しかったのです。
    弾薬の生産も、またそれを部隊に行き渡らせる兵站能力も不足しており、連発式小銃の導入は兵站関係部署より反対を受けています。(資料を忘却したので、思い出したら追記するかもです)

    そのような中で、南北両軍で主力となったのは、フランスのミニエー大尉が開発したミニエー弾を用いる前装式ライフルでした。
    マスケット銃と同じく装填がすんなりとでき、ライフル銃としての射程と命中精度を持つミニエー弾使用小銃は、戦場で中心的な存在となり、戦列歩兵を廃れさせる要因にもなっていきます。

    3、アメリカ海兵隊とライフル信仰
    時を進めて第二次世界大戦前の時代まで進めます。
    当時、アメリカ海兵隊は第一次世界大戦からハイチなどの南米で起きた動乱を経て経験を積み上げていました。
    その中で昇進を重ねた人物にルーパテス准将という方がいます。
    彼はそれまでの勤務経験から、アメリカ海兵隊員は全員がライフルマンである必要があり、一定の練度を保つ必要があると考えました。
    そこで1942年3月に書き下ろしたのが、「海兵隊信条」です。
    This is my Rifle.で始まるこの信条は永くアメリカ海兵隊で用いられ、映画「フルメタル・ジャケット」の中でも取り上げられています。
    もともと、それまでの海兵隊は重装備を持たず、船内の治安維持や海外領地の警備を主要任務としており、隊員にとってライフルは非常に大切な火力でした。
    ニカラグア動乱などでは航空機の運用なども始まっていましたが、第一次世界大戦の「ベローの森の戦い」ではフランス軍の支援をなかなか受けられず、独力でドイツ軍と対峙した経験もあり、より重視されていると考えています。
    第二次世界大戦では、太平洋戦線を海兵隊は戦いました。
    狭い島嶼やジャングルでの戦闘は個人携行火器の重要性を海兵隊に痛感させたでしょう。
    当時、M1ガーランド半自動小銃が登場したのは、海兵隊のライフルへの信仰を高めるのに、一定の役割を果たしたのではないかと考えています。

    海兵隊は現在も射撃の成績を重視しており、個々の戦闘力を高めて、少数精鋭としての価値を維持するという意味でも、ライフル信仰を続けていると考えます。

    4、WW2米軍のライフル運用
    一方陸軍はどうでしょうか。
    当時のアメリカ陸軍の小隊以下に配備される小火器の内容を見ると、他国と比較してライフル銃の火力に依存している度合いが大きいと感じられます。
    これは第一次世界大戦に開発されたBAR自動小銃を分隊支援火器として、他国の軽機関銃と同じように運用しなければならなかったという事もあるでしょうが、どちらかというと大隊以上の規模で戦った時に、砲兵火力を含めた戦力の総合で他国より勝るように編制されています。

    そして、小隊以下の火力を発揮する際に重要となったのがライフル銃なのです。
    機関銃の持続発射能力が他国より劣る米軍は小銃火力で補填する必要がありました。
    M1ガーランドのような半自動小銃が全軍へ急いで配備されたのは、小銃手の投射できる火力が大きくなれば、数人の小銃手で機関銃と対抗できる為、アメリカ軍にとって必要不可欠な存在だったと考えられます。

    【追記】アメリカ軍の30口径信仰
    昨今、とある退役幹部の方の著書の内容でも話題になった7.62mm弾。
    アメリカ軍はM16自動小銃の採用までこの弾薬にこだわり続けました。

    何故、そこまで拘ったのかを理解するには、その誕生から小銃に限らず機関銃などでも採用された経緯を考える必要があります。
    まず、最初の7.62mm弾こと30-06弾は1906年にアメリカ軍正式小銃M1903用弾薬の30-03弾の改良型として登場しました。
    そもそも、この30口径ライフル弾薬は、米比戦争にて38口径拳銃がモロ族相手にパワー不足とされたのと同じように、当時正式採用されていた30-40クラグ弾の威力に疑問が持たれたのがきっかけで開発されました。
    そこで、より威力の高い弾薬と小銃の開発が急がれます。
    そして登場したのがM1903と30-06弾です。
    30-03弾の弾頭を尖頭弾として弾速を速めたのが30-06弾で、これは弾道性能良好・威力も十分な為、M1917機関銃や航空機用機関銃にも流用されました。
    M1半自動小銃の弾薬としても採用されていきます。機関銃用としてはM1919機関銃の退役まで使用されました。

    1957年には全長を短縮した、7.62mm×51弾がNATO標準弾薬として採用されました。
    この弾薬は30口径を全自動射撃に対応させるというM14小銃の為に開発された弾薬です。
    M14の実態は全自動射撃も出来なくはない自動小銃で、連射時の性能は満足なものではありませんでした。(小銃としては素晴らしいと個人的には思っていますが)

    7.62mm弾は30口径に絶対的な信頼を置いたアメリカ軍の主張により、イギリスなどが用意した小口径弾を押しのけて採用されます。
    この決定が西側の自動小銃開発に大きな影響を与えた為、批判の対象となり勝ちです。

    ここからが大切な内容になりますが、何故アメリカはNATO諸国の反対まで押しのけて30口径に拘ったのでしょうか。

    その解答はアメリカ軍が想定した小銃の交戦距離にあります。
    当時、すでにほとんどの列強国では小銃による交戦距離は400~500m程度が主体とされた中で、米軍は機関銃なみの600m以上の射程での交戦も想定する傾向がありました。
    その理由は先に述べたWW2アメリカ陸軍のライフル運用に根差します。
    機関銃火力だけでなく、小銃火力にも依存する必要があったアメリカ陸軍の運用を考える限り、小銃にも30口径の火力を必要とし続けたのです。

    この傾向が解決するには、同じく7.62mm弾を使用するM60機関銃が分隊に配備され、十分な機関銃火力を得られるまで待つ必要がありました。

    5、M16自動小銃の登場
    アメリカ軍のライフル史で影響が大きな出来事として、M16小銃の登場があります。
    これはそれまでの7.62mm弾より軽量な5.56mm弾を使用する、非常に軽量なライフルとして大きな意味がありました。
    全自動射撃にも対応し、より多くの弾薬を一人の兵士が持ち運べるようになったのです。
    これにより、SMGを分隊に配備する必要性が薄れ、機関銃の制圧力を小銃で代用しやすい環境が出来上がりました。
    つまり、小銃が及ぼす影響力が強くなったのです。
    小銃の影響力は第一次世界大戦で砲兵戦術が間接射撃中心となると共に薄れていますが、ベトナム戦争のような小火器中心の戦闘が起こりやすい環境では大きな存在でした。
    加えて、M60機関銃の配備で中距離以遠の火力発揮も機関銃に依存できるようになり、400m以下での射撃戦が増えたベトナム戦争ではより、小銃への依存が大きくなったのです。

    さらに、M16はより取り回しをよくしたM4カービンへと変化し、今でもアメリカ軍に大きな影響を与えています。
    市街地戦闘を冷戦期よりも意識した結果、取り回しの良い小火器が求められるのは当然の流れでした。
    そこでM4カービンはM16の特性を引き継いだまま、アメリカ軍の求める流れを満たしたのです。
    ライフルにこだわる海兵隊でも多用されている事からも影響力の大きさがうかがい知れます。

    M16の登場はアメリカ軍とライフルの関係をより強くしたのです。

    6、制圧効果と命中精度
    駆け足となってしまいますが、最後に制圧効果と命中精度に関する関係性を少しだけ紹介します。
    従来、敵歩兵を圧倒して制圧するには投射火力こそ重要と考えられているところがあります。
    しかし、アメリカ海兵隊はアフガニスタン戦争やイラク戦争の教訓から、精度の高い射撃を敵に加えれば投射すべき弾量を減らせると考えた時期があります。
    その結果導入が進んだのがM27IARです。
    BARと近いコンセプトともとれる自動小銃ですが、比較的高い精度の射撃を行う事で、分隊支援火器として機関銃の代役を果たすことが求められています。

    これは機関銃より軽量で、消費弾薬量を抑制するという意味ではひとつの有効なアイデアです。
    一方で投射量で敵を圧倒する機関銃の運用も必要であり、その場合は役割を果たすのが難しい武器でもあります。

    アメリカ軍はライフルで誕生し、現在もライフルで戦う軍隊です。
    彼らにとってライフルは今でも大きな影響を与えているでしょう。(新型ライフルがなかなか決まらない理由でもあるでしょうが)


    今回は、久々の投稿という事もあり、不完全な部分も多々ある内容となってしまったかと思います。
    しかし、これからも折を見ては記事を書いたり、訂正をしたりしますので、お時間に余裕があるときにお立ち寄りいただけると幸いです。
    最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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