• 【小説】艦隊これくしょん 〜暁の涙〜【超長文注意】

    2017-07-06 12:47

    〜はじめに〜


    この小説に登場する鎮守府の

    各艦隊の配属を説明しておきます

    不要な場合は次のページへ飛ばしてください

    注:基本的に全艦 改以上です


    第一艦隊

     旗艦:瑞鳳

    副旗艦:瑞鶴

        古鷹

        加古

        

        


    また、電と瑞鶴はこの鎮守府の最古参です



    第二艦隊

     旗艦:阿武隈

    副旗艦:白露

        睦月

        如月

        望月

        弥生


    恐らくこの鎮守府の中で一番バランスの良い艦隊

    旗艦である阿武隈の最近の悩みは

    駆逐艦達と上手くやれてない事のようだ



    第三艦隊

     旗艦:飛龍

    副旗艦:赤城

        加賀

        大鳳

        翔鶴

        隼鷹


    ボーキサイトの消費が非常に激しい艦隊

    また、艦載機の着艦が困難な為

    夜戦が出来ない

    (ゲームにおいては

         攻略にとても役立つ)



    第四艦隊

     旗艦:木曾

    副旗艦:球磨

    副旗艦:多摩

        北上

        大井

        島風


    殆どが同型艦で揃ってる為非常に仲の良い艦隊

    型の違う島風も、球磨型の皆から妹のように思われている

    何故か副旗艦が二隻いる



    第五艦隊

     旗艦:

    副旗艦:


    ゲーム性を無視した五つ目の艦隊

    二隻しか配属されていない為

    殆ど運用されていない

    因みにこの小説の主役艦隊である



    第六艦隊

     旗艦:401

    副旗艦:168

        19

        58

        


    元々は違う鎮守府に配属されていた

    伊号潜水艦達

    全員、こっちの鎮守府に来たばかりの頃は

    生気が感じられなかったが

    今では元気いっぱいの潜水艦である



    第七艦隊

     旗艦:時雨

    副旗艦:夕立

        村雨

        五月雨

        涼風


    この第七艦隊は全艦白露型で揃っている

    六隻目は春雨が着任したら

    埋めようと提督は考えている



    鎮守府上層部

     秘書艦:長門

    副秘書艦:陸奥

    副秘書艦:利根

    作戦支援:大淀

     工作艦:明石

     責任者:提督


    これもまたゲーム性を無視した設定だが

    第一艦隊旗艦と秘書艦は別である

    基本的に長門が提督からの指示を艦娘達に伝えている

    代理として陸奥か利根が秘書艦の仕事を行う事もある

    提督は少しシャイなのであまり顔を出さない

    (メタ的な意味で)


    因みに提督の見た目は小さな女の子である



    

    ここは、とある鎮守府
    名前はミスト鎮守府

    1400

    艦娘達が賑わう中、工廠で落ち込んでる一隻の艦娘がいた


    彼女は暁型駆逐艦の一番艦『暁』だ


    工廠には工作艦の明石と、作戦支援の大淀

    更には提督とその秘書艦である長門がいた


    どうやら暁の改修を行なっていたようだ


    「結果は…

    暁は不安げに明石へ問う

    明石は首を横に振った

    どうやら改修に失敗したようだ


    実は暁はこれまでも何度か改修を行なっているのだが

    改になって以降、一度も成功していないのだ

    勿論、練度は充分にあり、本来ならばとっくに改二になっていてもおかしくない状況だった


    「お願い司令官 もう一度…もう一度だけ!!

    暁は必死でお願いした

    提督は、優しく微笑み頷いた


    「ありがとう…ございます


    「ですが提督」っと長門

    「建造の方はどうなされますか

    元々改修の後、建造を行う予定だったらしい


    長門の隣にいた大淀も、同じ事を言おうとしていたのか如く、二回頷く


    提督は、改修は明石に任せて、同時に建造も行う予定らしい

    それを聞き暁は少しがっかりしていた


    「(司令官はもう諦めてるんだわ…)」

    「さ、始めるわよ」

    「うん…」

    明石の問いかけに応じて、暁はトボトボ歩きで改修用のシェルターに入っていった





    「提督…その資材の投入は一体……

    「提督は一体何をお考えで…

    大淀と長門は不思議がっていた

    と言うのも、本来ならば艦娘の建造には

    鋼材、弾薬、燃料、ボーキサイトがそれぞれ最低30は必要なのだが

    今回提督が投入した資材は全て10だった

    無論、艦娘など建造される筈はない


    そのやり取りが気になっていたのか、

    明石が一瞬提督達の方へ目をやったが

    すぐに暁の改修に集中した


    シェルターの中で暁は初めて改になった時の事を思い出していた

    妹達に対し、改修はレディのたしなみよと言った頃が懐かしいと思いながら

    時間が経過していった

    やがてシェルターの蓋が開き、前には明石が立っていた

    その表情は誰が見てもわかる通りの困った表情をしていた


    暁は、明石の表情を見て状況を察した

    また…失敗したのだった


    顔を合わせづらいのか、明石は暁から視線を逸らした

    「うぅ…___」

    改修が成功しない日々が積み重なり

    ついには暁の涙腺が緩んできた


    今にも泣き出しそうになったその時__





    「泣かないでください」





    泣き出しそうになった暁に話し掛けたのは

    一隻の艦娘だった


    外見は、暁と殆ど変わらない身長で

    髪はショートヘアーで

    ピンクに近い紫色の髪をしていた


    「あなたは 誰

    見た事もない艦娘に対し、名前をたずねる暁


    「はじめまして 暁型駆逐艦一番艦の暁です」


    予想もして無かった返答に

    暁は驚いた


    無理もない

    相手に名前をたずねて自分の名前が返ってきたら誰でも驚く


    しかし、本来ならば 一つの鎮守府に同じ艦娘が二隻以上揃う事は無い


    「あ、暁は私よ それに、泣いてなんかいないわ!!

    っと暁は言い返した


    「ふふ そうですね では私の事は初代とでもお呼び下さい」

    「え…

    暁は状況をまだ整理していなかった


    実はこの『暁』を名乗る艦娘の言っていた

    『暁型駆逐艦一番艦の暁』と言うのはあながち間違いではないのだ


    そもそも先程まで改修を行なっていた暁、つまり吹雪型特III型暁型駆逐艦一番艦の暁は

    実は三代目の暁なのだ


    暁は、少し落ち着いて 状況を少しずつ把握していった


    すると、初代の横にもう一隻別の艦娘が立っている事に気が付いた





    こちらも身長は暁と殆ど変わらずで

    紺色の長い髪の毛が暁と容姿を被せている

    前髪も少し長く、右目がちょっと隠れてしまっているようだ


    「君が三代目の暁か 私は山彦型駆逐艦、山彦だ 宜しく」

    初代と違って少しクールな部分があり

    喋り方は暁の妹の響に近い感じだろうか


    「もしかして貴女達 さっき司令官が建造していた艦娘達

    実はシェルターの中に入っている間も

    外の声が聞こえていたようだ

    提督は例の低燃費資材投入を

    二回行なっていたようだ


    「えぇっと…山彦ちゃんと初代ちゃんね」


    「ちゃん付けは恥ずかいのでそのままでいいですよ」

    「私の事も呼び捨てにしてくれて構わない」


    三隻が話していると

    提督が暁の所へ寄って来た


    「あ、司令官 このこ達の配属はどうされるんですか


    提督は、微笑みながら

    第五艦隊に配属する と暁に伝えた


    そして、山彦と初代に対して

    暁の事を宜しく頼む と言い

    山彦、初代にそれぞれお辞儀をした


    山彦と初代も提督に対してお辞儀を仕返した


    「提督…これは一体」っと大淀

    少し混乱している様子


    だが、混乱していたのは大淀だけではなく

    明石や長門も首を傾げていた


    本来ならばありえない資材の投入だった為

    無理もないだろう





    暁は改修に失敗した事など忘れたのかごとく

    二隻を自分の配属されている

    第五艦隊の部屋へ案内する為

    工廠を後にした


    この時 第五艦隊旗艦である響は

    部屋で報告書を書いていた


    部屋の中は、入って左手の壁際に机が三つあり

    奥には三段ベッド

    部屋の中央側は段差を挟んで

    畳が奥の壁まで敷かれており

    段差の部分には三人分の引き出しがあった


    因みにこの部屋と左右対称の部屋が隣にある

    基本的に艦隊はこの二つの部屋を使う


    「(暁の改修は成功しただろうか…)」

    姉の事を心配する響

    ある程度書き上がった報告書を手に持ち

    部屋を出ようとしたその時


    工廠から戻って来た暁と遭遇する


    暁の見た目は何も変わっていなかった

    強いて言えば

    艤装が少し変化したくらいだろうか

    改二になったと言うよりは

    装備を変えただけのようで

    響はすぐに察して

    少し話しかけづらかった


    「その…落ち込む事は無い

      私も未だに改修に成功していないから

               気持ちは凄くわかる」


    実は響も、改で止まっているようなのだ

    本来ならば既にヴェールヌイになっているくらいの練度は上がっているのだが…


    「響…ううん ありがとう」

    っと暁、響の慰めにそっとお礼を言った


    そして暁は、新しい艦娘の紹介を忘れていた事に気付く





    「そうだ新しくこの第五艦隊に配属された子達を紹介するわ

    っと暁、廊下に立っていた二隻の艦娘を部屋に入れる


    「この第五艦隊に配属 …雷達ではないんだね」

    「あの子達は今は第一艦隊にいるからね」


    暁の言うあの子達とは

    雷と電の事である

    暁と同じく暁型の駆逐艦で

    三番艦と四番艦である

    二番艦の響を含む、暁型四隻を総称して

    第六駆逐隊と呼ばれる事もある


    この二隻は、

    現在はこの鎮守府の主力部隊となる

    第一艦隊に配属されている


    「左から 山彦型駆逐艦、山彦と

      その隣が初代暁型駆逐艦、初代暁」

    嬉しそうに紹介する暁

    その暁を見つめながら響は呆然としていた


    「ほら 響も挨拶して

    「あ、あぁ すまない 旗艦の響だ よろしく」


    なにやら歯切れの悪い部分があったが

    旗艦は何かと疲れる事は暁も理解しているので

    あまり深く考えないようにした





    「そう言えば響」っと暁

    「何処かに行こうとしてなかった


    「あぁ」っと響

    「報告書を書き終えたから、

        司令室に持って行こうと

               思ってたのだ」


    「司令官ならまだ工廠にいたわよ


    響の手には大量の紙束があった


    「うわ…またそんなに…

          響は真面目過ぎるのよ」


    「何を言ってるんだ

        確かに司令官も

          目を通すのが大変だと思うが」

    「必要な事は

       ちゃんと報告しなければならない」

    「一人前のレディになるなら

          暁もしっかりと書く事だ」


    「よ、余計なお世話よ もー

    響の追い打ちとも思える発言に

    思わず声を上げる暁であった





    「で、部屋割りはどうする

    っと響、報告書を近くの机の上にそっと置いた


    「あれ報告書持っていかないの

          今は陸奥副秘書艦が

             司令室にいる筈だけど…」

    不思議そうに問う暁


    「いや、司令官に直接用が出来た」

    「司令官が司令室に

         おられる時に報告書も

           ついでに持って行く事にした」


    「用って何よ」


    「個人的な用だ 気にしないでくれ」

    響は暁の追求をはぐらかしている感じがした


    「で、部屋割りだったわね」


    「確か、各艦隊には

       お部屋が二つ支給されるんでしたよね」

    っと初代


    「そう、でもベッドが三つずつだから

          四隻以上の艦隊は

               部屋割りが必要なの」


    「では私は隣の空き部屋を使おう」っと山彦


    「私も、山彦と同じで構いませんよ」


    「えー 折角一緒の艦隊になれたのに」

    少し残念そうに言う暁


    「まぁ、出撃の時とかはいつも一緒ですし」


    「部屋割りは決まったのかい」っと響


    「何よ響 聞いてなかっの

       山彦と初代が

         隣の空き部屋を使う事になったわ」


    「すまない、考え事をしていた」

    っと響 何故か視線を逸らした





    部屋割りは決まったが、

    暁が話したがっていたので

    山彦と初代はその場にとどまった


    と言うより、他の艦隊も 寝る時以外は

    基本的に一緒にいる事が多いらしい


    その後、暁達は色んな会話をしていたが

    響は乗り気じゃなかったのか

    あまり会話に入ろうとしなかった


    1600


    やがて響は、報告書を手に持ち

    司令室に行ってくると言い

    部屋を後にした


    流石に提督ももう戻っている

    頃だろうと思ったのだろう


    「響 どうしちゃったんだろう…」っと暁

    「山彦の出生の話とか

         興味持ちそうな内容だったのに…」


    山彦は 元々はロシアで建造された

    『レシーテリヌイ』と言う名の

    駆逐艦であったのだが、日本軍が捕獲し

    山彦型駆逐艦として改名されたのだ

    なお、山彦と改名されるまでの間は

    初代暁が沈んでしまった事を

    ロシア側に悟らせない為

    一時的に暁の名を引き継いだのだ

    つまり山彦は二代目の暁と言うわけだ


    「旗艦ですからね 彼女」っと初代


    「でもなんか様子がおかしかった気がする…」





    その後も暁達は会話を続けていた


    響は、考え事をしながら司令室に向かっていた




    司令室に到着すると、響は扉をノックした


    「誰だ」

    返事をしたのは長門だった


    「響です 報告書をお持ちしました」


    「よし、入れ」


    扉を開けたその先は、

    他の艦娘達の部屋とは違い

    殆ど何も置かれていない殺風景な部屋だった


    どうやらここの鎮守府の提督は

    そうゆうのには疎いらしい


    部屋の真ん中に来客用の

    ソファとテーブルがあり

    奥には提督用の机と椅子がある程度だった


    響は、来客用のソファを迂回し、

    提督の座る奥の机へ足を運んだ


    響から見て右側には長門が

    静かに立っていた


    「先日の遠征に関する報告書です」

    っと響、紙束を提督に渡す


    「報告書にも書きましたが

       鎮守府近海の海で戦艦らしき

           深海棲艦を二隻目撃しました」

    「暁と私の二隻では

       とても部が悪いと判断し

          その場は撤退させて頂きました」


    「それが懸命な判断だろう」っと長門

    「あくまで遠征任務中だったしな

            不要な戦闘は避けるべきだ」


    「それから、暁の事で気になる事が…」





    響は、暁の心理状況を気にしていた


    暁はこれまで何度も改修に失敗している為

    今後の出撃や任務にも影響が出る可能性がある


    先程部屋では新しい艦娘達と

    楽しそうに話していたが

    そうそう割り切れる物でもないだろう


    響にとっては大切な姉である為

    しばらく様子を見て見たいとのこと


    響は提督に、少し出撃や任務は

    今しばらく控えて欲しいと頼んだ


    すると、提督がある提案をした


    それは第五艦隊を偵察任務へ

    向かわせる事だった


    先程の報告書の件も含めて

    鎮守府近海の海を偵察して欲しいらしい

    その任務の中で暁の様子を伺って欲しいとの事


    偵察任務なので戦闘になる心配もないし

    深海棲艦に見つかりそうになった場合は

    すぐに離脱しても構わないと言った


    「わかりました

        時間は何時頃が宜しいでしょうか」


    提督は、明日の1200に決行するように言った


    そして響は、了解と言い

    敬礼したのち 提督と長門に軽くお辞儀をし

    失礼しますと言い その場を去った





    響が部屋に戻ると、暁が声を掛けてくれた


    「あ、響 おかえり〜」


    「ああ、ただいま 暁」


    「司令官 何か言ってた


    「明日の1200

         例の戦艦について

             調べてきて欲しいらしい」


    「偵察任務ね 四隻での任務楽しみね


    「で、どちらへ向かうのでしょう」

    っと初代、 暁を見ながら言う


    「鎮守府近海の海よ」っと暁

    「前に響と遠征任務中に

           遭遇戦になりかけたの」


    「そうだったんですね 戦果はどうでした


    「流石に撤退したわよ

          駆逐艦二隻じゃ部が悪いわ」


    「だが今回は四隻での任務だ」っと山彦

    「もし遭遇戦になっても問題ないな」


    「今回ももし戦艦に遭遇したら

               すぐに撤退する」

    っと響 少し厳し目に言った


    「あくまで偵察任務だ」

    「今回は出現場所が特定出来ればそれでいい」





    「山彦達の実力を見てからでも良くない

    っと暁


    「駄目だ」っと響

    「山彦達の実力は、

         出撃任務や演習の時に確認出来る」


    「むぅ〜」

    暁は少しふくれっ面になった




    その後も暁は山彦達と会話を続けていた


    そして時刻は2100

    艦娘の就寝時間だ


    と言っても、殆どの艦娘

    特に一部の軽巡はまだ起きているようだが


    「さあ 明日の出撃に備えて皆寝よう」

    っと響


    「そうね 一人前のレディは

            早寝早起きが大切だからね」


    「山彦と初代も、初任務に備えて

          ぐっすり休んだ方がいいだろう」


    「と言っても、あの二人はもう

          隣の部屋に行っちゃったけどね」


    「ふふ、そうだな」

    響は少し微笑みながら言った


    「じゃあ暁、二人にも寝るように

                言ってきてくれ」

    「私は先にベッドに入るとする」


    「はーい おやすみ」


    そう言い、暁は一旦部屋を出て

    山彦達のいる隣の部屋へ行った


    しかし、部屋の電気は既に消えてあった

    どうやら先に就寝したようだ


    暁は小さな声で微笑みながら

    おやすみ とだけ呟いて自分の部屋へ戻った


    そして、明日に備えて暁もベッドに入り

    響にも小さな声でもう一度 おやすみ と言い

    静かに眠りについた





    翌朝

    0600


    「…つき …かつき」

    三段ベッドの一番上で心地よく眠る少女に

    誰かが声を掛けていた


    「暁 起きるんだ もう朝だ」

    声の主は響だった


    暁はゆっくりと瞼を開け、上半身を起こす


    「あれぇひびきぃ おはよぅ〜」

    まだ覚醒しきっていない状態で

    目をこすりながら響に挨拶した


    「今何時ぃ


    0600 いや、0601だ」


    「え!? もうそんな時間!?

    暁は飛び起きて

    勢い余ってベッドから転落した


    「大丈夫かい

    響はすぐに手を差し伸べた


    「暁が私より後に起きるなんて珍しいな」

    「(やはりまだ改修に失敗している

          事を気にしているのだろうか)」


    響は不安げになりつつ、

    暁に顔を洗ってくるよう伝えた




    ささっと顔を洗い、歯を磨く暁

    響のいる場所へ戻ると、

    山彦と初代が立っていた


    「おはよう 暁」

    「おはようございます 暁さん」

    山彦と初代は暁に挨拶した


    「おはよう 山彦、初代 起きてたんだ」

    っと暁


    「今日のスケジュールはもう話したの


    「いや、まだだ 暁が起きるのを

               待っていたしね」

    っと響、少し微笑みながら言う


    四隻が揃った所で、

    響は今日のスケジュールを話した


    偵察任務が行われるのは1200

    それまでの間に まずは朝食を取り

    ランニングやトレーニング等を行い、

    万全の状態で任務に備えるらしい


    なお、今日は演習は行わないらしい





    0630

    四隻は食堂にいた


    殆どの艦娘はまだ寝ている為

    食堂の中はかなり空すいていた


    「山彦と初代は何か頼まないの

    っと暁


    「私達はまだ決まってないので」

    っと初代


    「ふーん まあいいわ

    「響は


    「私は これとこれとこれ…」

    っと響、メニューの写真を

    三つほど順に指をさした


    「あ、朝から食べ過ぎじゃない


    「旗艦は食べ盛りなんだよ」


    「わ、訳がわからないわ…」

    少し引き気味の暁であった


    メニュー決めをしている中

    新たに食堂へ足を運んだ者がいた


    「し、司令官!?

    暁は驚いたように言う


    提督はだいたい司令室で食事を取る為

    暁だけではなく響も驚いていた


    提督は静かに暁達のいる席まで歩いてきた


    やがて、暁の前で立ち止まって

    話があると言い

    暁を食堂の外まで連れて行った


    「ちょっと行ってくるねー」

    そう言い、暁は提督と共に食堂の外へ行った





    提督は暁に

    今日の任務について、

    コンディション等を伺った


    暁は連日改修に失敗しているので

    精神的にも落ち込んでいるのではないかと

    提督も心配していたようだ


    「司令官は心配し過ぎ…なのです

    っと暁


    暁は、基本的に誰にでもタメ口で話すのだが

    提督のように偉い人が相手となると

    駆け足で言葉を訂正したりする

    これもレディを意識した気遣いなのだろう


    ちなみに話し方については

    提督は特に気にしていない


    余談だが、暁にはこの訂正が多いせいか

    妹の電が影響をかなり受けているようだ



    暁はしばらく提督とお話ししている内に

    時刻は0700


    「えもうこんな時間!?

    食堂で待っている響達の事を思い出して

    焦り出す暁


    提督も、暁に 長話をさせてごめんなさい

    っと謝罪した


    「司令官のせいじゃないです

    暁は提督に気を遣い、お辞儀をし

    食堂の中に戻って行った


    提督も業務が残っている為

    司令室に戻って行った




    暁が響達の所へ戻ると

    そこには空になった二枚の皿と

    食べ掛けの料理があった


    響のだ


    「やあ暁 もうお話は済んだのかい

    っと響


    「えぇ 司令官ったら

         私の事気に掛けてくれてたみたい」

    そう言い、暁は響の隣へ座った


    「それより

      私が司令官とお話している間に

        二人はもう朝ご飯たべちゃったの


    「はい…すみません」

    初代が申し訳なさそうに言う


    30分もかかったんだ 仕方ない」

    響はそう言っているが

    響の料理はほとんど減っていない

    あまり食欲がなかったのだろうか


    「響 具合でも悪いの

    心配そうに問う暁


    「い、いや そう言う訳ではない…」

    そう返事をしていたが

    響の顔色は明らかにおかしかった


    「じゃあ残りは私が食べようか

            まだ私何も食べていないし」


    「そうして貰えると助かるかな」


    暁は響の前にある皿を、

    そっと自分の手前へずらした




    0730

    四隻は食堂を後にした


    まだ響の様子がおかしかった為

    暁は響にドッグへ行くよう勧めた


    しかし、響いわく

    損傷箇所がある訳ではないので

    ドッグ入りを断った


    とは言え、このままだと

    昼の任務に支障が出かねない


    暁達四隻は、港付近で1200まで

    静かに時間が経過するのを待つ事にした





    1000

    静かにたたずむ四隻のもとへ

    二隻の駆逐艦が歩いてきた


    第一艦隊の 雷と電である


    「雷 どうしたのよ」

    っと暁


    「任務と聞いたので 見送りにきたのです」

    答えたのは電だった


    暁も響も 雷や電にとっては姉妹艦である為

    二人で見送りにきたらしい


    「それより響 顔色悪いわよ

    っと雷

    響の前で首を傾げた


    「いや、問題ない ありがとう」


    「全然大丈夫そうじゃないわよ

    雷は響の顔色をよーく確認した


    「あー これは食べ過ぎが原因ね

        出撃前だからって無理しすぎなのよ」

    と言い、雷は高速消化剤と言う薬を

    二錠程渡した


    五錠飲むと空腹状態に戻る不思議な薬である


    「あぁ ありがとう」

    響は、雷から受け取った薬を飲み

    たちまち顔色が良くなってきた


    「これでコンディションばっちしね


    「電も嬉しいのです

    っと、電も響の顔色が

    良くなった事に対して喜んでいた





    時刻は1200


    任務遂行の時刻だった


    「それじゃ、行ってくる」

    っと響、海へ着水した


    「見送りありがとね

    続いて暁も海へ着水


    その後ろから山彦と初代も続いた


    「偵察任務だけど、油断しないようにねー」

    雷は笑顔で手を振った


    そして、響達は単縦陣で鎮守府を離れて行き

    瞬く間に見えなくなった


    「じゃ、戻ろっか」

    「はいなのです


    響達を見送った雷と電は

    港を後にした


    「でも、少し気になるのです」

    っと電、右手の人差し指を顎に当てた


    「どうしたの電」

    雷は電の方を向いて返事をした


    「響ちゃんと暁ちゃん

        着水して少し手前に移動したのです」


    「気合い入ってたんでしょ

         第五艦隊は任務も少ないし」


    「でも、響ちゃんはそう言う

        タイプじゃなかった気がするのです」


    「電は知らないと思うけど

          響って結構熱くなるタイプよ


    「なのです

    そんな会話を繰り広げながら

    二隻はそのまま歩いて行った





    1215


    限りなく広がる大海原に

    縦に並んだ四隻の船…ではなく

    四隻の艦娘が航行していた


    今の所 報告にあった戦艦の姿は見当たらない


    「陣形変更 複縦陣」

    旗艦の響が陣形変更の命令を出した


    すぐさま暁は響の右隣に

    山彦の右隣には初代が付いた


    「このまま航行しつつ

         私は左側を

            暁は前方の警戒を頼む」


    「まっかせなさい」

    暁は自信満々に返事をした


    続いて響は

    右斜め後ろを振り向きながら指示を出した


    「山彦は右側の警戒を頼む」


    「…了解」

    山彦は小さく返事をした




    「(…しまった!?)」

    突如何かに動揺する響


    「どうしたの響」

    心配そうに声を掛けた暁だったが

    その直後に初代が何かに気付いたようだ


    「暁さん前方に深海棲艦発見

    初代は暁の真後ろから

    人差し指を前に伸ばした


    「え!? うそ 深海棲艦!? 艦種は…」





    「戦艦……しかも二隻だ」

    響は、総員航行停止の合図を出した


    「もう見つけちゃった… どうする響」

    暁は若干やる気満々であった


    「今回は偵察任務だ 戦闘は避けたい」

    そう言った響は、メモを出した


    「二隻の戦艦の出現ポイントを記録する」

    「終わり次第すぐに声を掛けるから

           四隻で全力でこの海域を離脱」


    「わかりました」

    響の指示に、初代が返事をした


    「ちょっとこっちは四隻よ

    少し声を大きくする暁


    「あんな奴ら倒しちゃえばいいじゃない


    「落ち着くんだ暁 旗艦の

          指示には従うべきだ」

    山彦が暁の説得に入った


    「暁、私達じゃどうあがいても不利だ

                指示に従ってくれ」

    響は、両手で暁の両肩を掴みながら言った


    四隻が揉めている内に

    響達のもとへ砲弾が飛んで来た


    「(気付かれた!?)」

    響はすぐさま防御の体制にでた


    艦娘はみな、砲弾等を防ぐ為

    透明な板ガラスのような、円状のシールドを

    ほんの一瞬だが張る事が出来るのである


    ただし、対強度が存在しており

    戦艦クラスの砲撃では

    いつまで持つかわからない


    「こうなったら戦うしかないわね

    暁は主砲を構えた





    「暁と初代は右の戦艦を狙ってくれ

              私は山彦と左を攻める」

    響は効率良く戦闘を運ぶ為

    練度の高い自分と暁を二つに分けた


    「了解よ

    「了解です

    暁と初代は同時に返事をした


    「…………」

    山彦は何か考え事をしていたようだ


    「ちょっと 山彦 返事しなさいよ

    返事をしなかった山彦に対し、

    暁が注意をした


    「…あぁ、すまない 了解した」

    山彦は体制を立て直しながら返事をした


    「ってか、こう言うのは響から注意しないと」


    「そうだったな すまない」

    響は暁に謝り、そのまま左側の戦艦に対して

    主砲を構えた


    相手の戦艦も、こちらに対し

    攻撃をしかけてくる


    暁の砲弾は何とか届いているが

    先程の響のシールド同様

    深海棲艦にも同じ防御ができる為

    あまり攻撃が効いていなかった


    その上、初代は練度がまだまだ未熟な為か

    砲弾がまったく届かず、

    深海棲艦にも当たらなかった


    「初めての航行だもん 仕方ないわ」

    暁は初代の方へ顔をやり

    言葉でフォローした





    深海棲艦の砲撃は止む事なく続き

    やがて、響のシールドを破壊しかけた


    「(保って後一発って所か…)」


    響や暁も砲撃を繰り返すが

    深海棲艦に命中しても

    シールドで防がれてしまう


    しかも暁の方はどうやら一部の砲門が

    開かないようだ


    「もうこれじゃキリがないわ

    暁は痺れを切らしたのか

    少しずつ距離を詰めて言った


    「早まるな

    響は必死で暁を呼びかけたが

    聞く耳を持たずして暁は前進して行った


    「早く暁を止めないと

    っと山彦


    「あぁなった暁は止まらない…こうなったら」

    響は暁に続いた

    と言うより、追い抜こうとしていた


    「響さんまで…」

    心配そうに見ていた初代だったが

    その場に立ち竦む訳にもいかず

    山彦と初代も後に続いた


    そして、深海棲艦の砲弾が

    暁の真正面に飛んで来たその時


    ギリギリで追い抜いた響が暁を庇った


    「響!?

    予想外の出来事に暁は驚きを隠せなかった


    当然、今の砲撃で響のシールドは

    完全に機能停止した




    「暁 落ち着くんだ

       距離が近くなればこちらへの

          被弾率もダメージも大きくなる」

    響は暁を説得した


    「でも、このままじゃ…」


    「とにかく一旦退こう

          それも今じゃ難しいが…」


    そう、響達は近付き過ぎたのだ

    二隻の戦艦は響達を見逃しはしないだろう


    「ああぁ………ごめん」

    暁は我に返り、響に謝罪をした


    改修が連日失敗続きの暁にとって

    何でもいいから

    ”自分だって出来る”と言う所を

    見せたかったのだろう


    響もその事はちゃんと理解している


    「暁 私が深海棲艦を引き付けている

              間に鎮守府へ戻るんだ」


    「え……

    っと暁、あまりの衝撃的な発言に

    動揺を隠せない


    「で、でも 響のシールドは

           もう壊れちゃったじゃない


    暁の言う通り、響は今

    耐久が付いていない状態

    次に砲撃が当たれば確実に沈むだろう


    「なに、不死鳥の名は伊達じゃない

              簡単に沈みやしないさ」

    響は笑顔で暁に言った





    「でもでも 響を置いて

             帰れるわけがない


    「山彦達と私の三隻で響を曳航すれば

    暁は必死だった

    響は暁にとって大切な妹の一人だからだ

    簡単に犠牲に出来る筈もない


    「暁…」

    「暁さん…」

    山彦と初代が交互に、静かに名を呼んだ


    「山彦…初代……そこにいるんだろ

              暁に教えてやってくれ」

    響は下を向き、山彦と初代に話しかけた


    「え

    珍しく響から山彦達へ話しかけた事もあり

    暁は思わず口が開いた


    「私からじゃ…とても言えない……

    響の声は少し震えていた


    「ど、どうしたのよ 響

    心配そうにする暁


    「暁さん」

    響の頼みに応じて

    先に口を開いたのは初代だった


    「え、なに


    「今から話す事を

         どうか落ち着いて聞いてください」

    初代は真剣な眼差しで暁に言った


    「…………」

    暁は初代次の発言を静かに待った


    「暁さん…私と山彦は……」









    「貴女にしか見えていません」








    響が二隻の深海棲艦を挑発し

    自分の元へ砲弾が飛んでくるよう調整しつつ

    ギリギリでかわしている中


    暁はあまりの衝撃的事実に

    頭の中が真っ白になった


    「突然こんな事を言われても

            戸惑うかもしれません」

    暁の理解が追いついていないまま

    話を進める初代


    「だがこれが事実だ

      現に私達は響と一度も会話をしていない」

    っと山彦


    「何を…言ってるの……

    暁はまだ状況を

    ちゃんと理解出来ていなかった


    それもその筈


    暁にとって、山彦も初代も普通に接しており

    朝挨拶もしたし

    一緒に朝食もとっている筈なのだ


    「嘘よ そんなの…だって……」

    暁は 必死で砲弾を避けている響の方を向いた


    「だって… だって

         響とだって接していたじゃない


    「すまない暁」っと響

    「君を傷付けたくなくて

         見えている振りをしていたんだ…」


    そう

    響は暁の為に 今まで演じていたのだ

    出撃時も、陣形変更も

    全て山彦達がいると言う前提をイメージして

    指示を出していたのだ


    戦艦二隻との砲撃戦も

    練度をバランスよく分散したわけではなく

    山彦と初代のターゲットが

    同じにならないように仕向けたのだ





    「昨日(さくじつ)、提督が二回建造を

         行なっていたのはご存知ですか

    初代が話を進めた


    「え、えぇ シェルターの中から

               聞こえてたから」

    「その後の事は考え事を

          していたから覚えていないけど」


    「投入資材がかなり

         少なかったのも覚えていますか


    「ええ でも、それで貴女達が

              建造されたんでしょ


    「…………」

    暁の問いに、初代は黙り込んでしまった


    「投入資材は全て10

        これじゃあ艦娘なんて出来やしない」

    っと山彦、説明に入った


    「え でも、それじゃあ…」

    ますます混乱する暁


    「艦娘は建造されなかったが

            代わりに装備が開発された」


    「装…備……


    「それが私達だ」


    「も、もしかして その装備って…」

    暁は、自分の艤装を確認した


    交戦中、どうしても

    開かなかった砲門が二つあった


    山彦達は恐らくその装備の事を

    言ってるのだろうと 暁は察した





    「しまった!?

    っと、響が突然後ろから声を荒げた


    大きな音と共に、砲弾が響の左腕

    …左舷に命中した


    もう左の主砲からは弾が出せない


    「響!?

    暁が叫ぶ


    敵の砲弾はもう一発こちらに飛んで来ていた


    響は、まだ使える右の主砲を使って

    敵の砲弾に上手い具合に命中させ

    軌道をそらした


    「何やってるんだ暁」

    っと響、前を向いたまま暁に声を掛ける


    「早く鎮守府へ帰還するんだ

         私もいつまで保つかわからない


    「そんなの…出来るわけないょ……」

    暁は下を俯いた


    「旗艦命令だ…聞き入れてくれ…」


    しばらく沈黙が続いた


    やがて、暁は前進して響の前へ出た


    何をやっているんだ暁!!

    響は、暁の予想外な行動に驚きを隠せなかった


    いや、暁の事だからと

    ある程度は予想していたが

    この状況になってなお

    前に出て来るとは思っていなかった


    「聞いてるのか暁 …あか……!?

    その時 響は気付いた


    暁の両目から

    微かに涙が零れ落ちていた事に




    「馬鹿みたいだね…」


    「え

    ようやく口を開いた暁の言葉に

    響は返事をした


    「ほんと馬鹿みたい…

        何も知らないで私一人で浮かれてて」

    「響にこんなにも気を遣わせて

              迷惑まで掛けて」


    「違う

    響は叫んだ


    「迷惑だなんて思っていない」

    「私は、久しぶりに

         暁の笑顔が見れて嬉しかったんだ」

    「だからこのままでもいいと思ってたんだ」


    「ごめんね…響」


    「私の方こそすまなかった」

    「もう少し早く君に伝えておけばよかった…」


    再び沈黙が続いたが、山彦が暁の左側へゆき

    口を開いた


    「暁…その砲門は

        君の意志の強さと自信によって開く」


    「私の……自信…


    「暁さん」っと初代

    「貴女は自信ありげにしていましたが」

    「心の何処かで改修の

          失敗の事を気にしていたのです」

    「貴女の心が不安定だった為

            装備は機能しませんでした」


    「だが今は違う」っと山彦

    「君が本気で響を助けたいと

          願うなら私達もそれに応えよう」


    もはや暁に迷いなどなかった

    両目から溢れる涙は止まる事を知らなかった


    だがその涙は自身に対する

    憤りを表していたのだ


    「山彦…初代……力を貸して…

    暁は、そう小さく叫んだ





    「承知した」

    「承知しました」

    山彦と初代は同時に返事をした


    そして、それと同時に

    開かなかった二つの砲門が開いたのだ


    響は、暁が何を話しているか

    正確には読み取れなかったが

    これから無茶をするんじゃないかと

    予想はしてた


    再び逃げるように説得しようとした響は

    右手で左肩を抑えつつ

    暁に近づこうとした その時


    「私は…幻でも見てるのか」


    響は我が目を疑った


    響が今目にしている光景は

    暁の両隣に二隻の等身大の

    軍艦がそびえ立っていたのだ


    その姿はかつての艦(いくさぶね)

    暁型駆逐艦一番艦の暁

    山彦型駆逐艦一番艦の山彦だった


    もはや響は何も言わず見守った


    やがて、二隻の軍艦の主砲が動き出した


    「両主砲、砲撃発射 用意

    そう叫んだのは暁だった


    「てー

    その叫びと共に

    二隻の軍艦からそれぞれ一発ずつ

    砲弾が飛んだ





    「(駄目だ)」

    響は思った


    本当にそこに軍艦があったとしても

    主砲の位置や高さから考えると

    深海棲艦に当てるのは難しい


    あまりにも大き過ぎる為だ


    しかし、響の不安とは裏腹に

    砲弾は空気抵抗も風の抵抗も無視して

    綺麗に弧を描き

    二隻の深海棲艦に向かって直進した


    響から見えている二隻の軍艦は

    深海棲艦側にも見えていたらしく

    巨大な砲弾を必死で避けようとしていたが

    どうやら間に合わず

    二隻の深海棲艦に直撃した





    巨大な音と共に、二隻の深海棲艦は

    瞬く間に消え去った

    まさに一撃であった

    状況的には、一隻の駆逐艦が

    二隻の戦艦を葬ったのだ


    「こんな事って………………」


    あまりにも一瞬の出来事であった為

    響は言葉を失った


    「はぁ……はぁ……」

    暁は息を切らしていた


    「暁!!

    そう叫びながら、暁の側まで駆け寄った


    どうやらこの二つの装備は、

    暁の体力を大幅に消費するようだ

    簡単に砲門が開かない仕組みなのも

    そのせいだろう


    響から見えていた二隻の巨大な軍艦も

    いつのまにか消えていた


    「響………帰ろっか」

    暁は息を切らしながら言った


    「……あぁ、そうだな」

    響も暁の言葉に答えた


    帰還するまでが任務


    四隻…いや、二隻は鎮守府へと帰って行った




    場面は移り変わって

    ここは鎮守府作戦司令室


    航行中・出撃中の出撃部隊からの

    入電を受けたり、

    艦隊に指示を出したりする場所だ


    「第五艦隊より入電

    そう言ったのは無線機の前に

    座っていた大淀だった


    「繋いでくれ」

    後ろには長門が立っていた


    −−−−暁です 第五艦隊

           これより帰還します−−−−


    響は大破している為、副旗艦の暁が

    代わりに打電したようだ


    「こちら長門 偵察ご苦労だった

                 首尾はだうだ


    −−−−他の艦隊からの報告同様近海の

          海に戦艦が二隻現れました−−−−


    「そうか、座標は記したか


    −−−−はい、響が座標を記しています−−−−


    −−−−後程、執務室へ

          報告書と共にお持ちします−−−−


    「わかった 簡単な精密検査と

          補給が完了次第届けに来てくれ」


    この鎮守府では

    例え遠征や偵察等の、交戦予定の無い任務でも

    道中の事故などを想定して

    帰還した艦隊は必ず精密検査を

    受けるようになっている


    −−−−あ、長門秘書艦−−−−


    「どうした

    長門は通信を切ろうとしていたが

    暁はまだ報告があるようだ




    −−−−鎮守府に到着したら

         先に入渠してもいいですか−−−−


    「まさか、交戦したのか!?


    長門は驚いた

    元々、偵察任務のつもりで行かせていた上

    もし戦艦を発見したら座標だけ記入して

    すぐに撤退するように命じていたからだ


    いや、正確には

    無理に戦闘する必要はないと

    言っていた訳だが

    響が旗艦な為、

    安全に戻ってくると思っていたのだろう


    実際は暁と響が揉めている事に

    二隻の深海棲艦が気付いてしまったので

    止むを得ず交戦に持ち込んだ訳だが…


    暁は戦闘になった経緯と

    戦果を簡単に説明した


    「そうか…ご苦労だった」

    長門は暁を咎めるでも無く、そう言った


    「詳しい事は後程執務室で伺おう」


    −−−−了解です では、失礼します−−−−


    暁との通信が終わった


    「長門さん…今の話」っと大淀


    「暁が単騎で戦艦二隻を

          撃破したと言っていたな」


    「そんな事って…」


    「とにかく、詳細は後程

          執務室で話すよう言っておいた」


    「そうですか…」


    「暁達の入渠、補給が完了次第

            大淀も執務室へ来てくれ」


    「了解しました」





    時刻は1311

    響達は鎮守府に到着した


    陸に上がり、艤装を格納した

    艦娘はそれぞれ、艤装を格納する

    異空間を各々が所持しているのだ


    山彦と初代に関しては、

    そもそも艦娘ではないので

    格納する異空間は無いが

    暁から見て、いつの間にか

    艤装は付いていなかったようだ


    「響、 …大丈夫

    左側から響を支えていたのは暁だった


    「まずはドッグへ急ぎましょう」

    っと初代


    暁が艤装を格納していても、

    装備自体を変更したり外したり

    しない限りは見えるようだ


    1330

    二隻は入渠を開始した


    響はおよそ時間

    暁は、響の活躍もあり

    ほとんどダメージを受けていない為

    20分程度で終わる見込みだ


    ドッグの中は俗に言う銭湯のような

    構造となっており

    様々な形をした湯船があった


    基本的にどこの湯船に浸かっても

    自動で回復するシステムだが

    提督からの指示があった場合は

    専用のドッグに入るよう言われている


    指示が出るのは主に

    高速修復剤の運用の時だが・・・


    暁と響は、一番大きな湯船に二人で浸かり

    肩を並べていた


    やがて、時間が経ち

    時刻は1350


    「暁、そろそろ君の入渠が完了する」

    っと響


    「ううん 響が治るまでずっとここにいる」

    目を閉じ、肩をくっつけたまま

    暁は言った


    「そうか…」






    1400


    「暁……」

    響は暁に声を掛けたが

    返事はなかった


    どうやらいつの間にか眠っていたようだ


    「寝てしまったのか…」


    お湯に浸かったま眠ってしまうと

    人間の場合

    急激な血圧低下により

    意識障害がおこる可能性があるのだが

    艦娘の場合はどうなるのだろう


    とそんな事を響は考えつつ

    再び口を開いた


    「眠ったままでもいい 聞いてくれ」


    響は、次の言葉を発する前に

    一度視線を暁から逸らし

    再び暁の方へ視線をやった


    「私は君の事が好きなんだ」

    「いつも一人前のレディに

         なろうと頑張ってる

            姿を見て感心していたんだ」


    「君が一生懸命な所を見ていると

      私も可能な限り協力してやろうと思えた」


    「君が山彦達を部屋に

        連れて来た時は少し驚いた」


    「だけど、決して君が

        おかしくなっただんて思っていない」


    「君には本当に二隻の

         姿が見えていたのだろう」


    「私が君に

      何も言えなかったのは 君を

       傷付けたくなかったからだけではない」


    「山彦も初代も きっと

         本当にそこにいたのだろう」


    「だから私も、話を合わせようと思った」

    ある程度話すと、響は下を向いた


    「だけど、君は知ってしまった」


    「これからまた落ち込む事になっても

            私はずっと君の側にいよう」


    「もっと早く伝えておけば

          良かったのかも知れないな」


    「本当にすまない事をした」


    響が言い終わると、今度は暁が口を開いた


          「響………好き」


    暁の言葉に響は一瞬ドキッとしたが

    どうやら寝言だったようだ


    「やれやれ…なんだか私まで

            眠くなって来たな」


    響は、既にもたれかかっている暁の右肩に

    こちらからも首を傾けて寄り添った


    重いまぶたをゆっくりとおろしたその時

    響の視線のその先には

    見たこともない艦娘が二隻

    こちらを見て微笑んでいるような気がしたが

    響はそのまま眠りについた




    その後も入渠は続いた


    後から雷と電も

    響の大破を聞いて心配しながら

    ドッグへ来ていた


    秘書艦である長門は既に執務室へ戻っており

    響達が来るのを待っていた


    損傷の少ない筈の暁が一向にやってこないのは

    きっと響に付き添っているからだろう

    と言うことは長門も理解していた


    結局、近海の海に現れた謎の戦艦二隻は

    他の海域から迷い込んだ

    はぐれ戦艦と言う事が分かった


    響が見た二隻の巨大な軍艦は

    幻だったのか

    本当にそこに浮かんでいたのかは

    誰にもわからない


    だがあの場で戦艦を撃破出来たのは

    その二隻の巨大な軍艦のおかげである事は

    間違いないのだろう


    暁の改修が失敗してばかりだっのは

    暁の自信と精神状況が不安定だったからだ


    例え練度が高くても

    自分を信じていないような艦娘が

    改修に成功する筈がない


    一度目の失敗は偶然かも知れないが

    そこから暁は自信を喪失していったのだろう


    きっとこの次に改修を行えば

    成功するだろう……………。




            おしまい



    以下

    後書きになります





    ここまで読んで下さって

    ありがとうございます


    久し振りの小説ですので

    読みづらい所も多かったと思います


    MMDドラマのシナリオ作りとは

    また違った書き方となったので

    書いてて新鮮な感じはしました
    (と言うか動画のシナリオは基本台詞しか書いてない)


    無いとは思いますが、

    MMD化を希望される方が多ければ

    実際にMMD化するかもしれません


    最後に

    もしよろしければ感想など頂けると

    今後の参考やモチベーション維持に繋がります






    それではこの辺で

    本当にありがとうございました




  • 広告
  • 電源ユニットから火花が吹きました

    2017-04-07 22:26
    どうも ミスト@フラミストです

    前回、PCが起動しなくなり、データが全て消えた記事を
    書かせていただきましたが・・・


    今回は新PCの電源ユニットエラーで起動しなくなりました
    多分データは無事と思いますが しばらくは作業ができないです

    このブロマガはネットカフェのPCを使って書いています

    どうがご理解の程よろしくお願いします

    今回はサムネも画像もありません
    代わりに最近投稿した動画をば




    それでは今日はこのあたりで

    電源ユニットの交換さえ出来れば復活するかもしれません
    いつになるかはわかりませんが・・・

  • 進捗・生存報告等々

    2017-01-09 11:14
    お久し振りです
    ミスト@フラミストです

    まずは報告
    PCが起動しなくなり、それにともない編集データが吹っ飛びました
    仕方がないのでちまちま作り直しですね 色々と

    あと背景が緑なのは私が緑色好きだからです 特に理由はありません

    では取り合えずタスク報告?ですね

    ①吸血鬼と小悪魔 9話
    ②アリスがパチュったお話 9話
    ③博麗ハスネちゃん! 2話
    ④こいしの夢 3話
    ⑤島に吹く風 1話(艦これ)
    ⑥貴女を守る力 1話
    ⑦東方でオフ会 3話
    ⑧第17回MMD杯Ex・Ph
    ⑨チルノ
    ⑩第18回MMD杯予選・本選・Ex・Ph・夢(第18回は計5本の動画)

    ここからは構想だけ出来てるもの

    ⑪クラウンピースのドキドキ☆でぇと♪
    ⑫遥か彼方の計画者
     (真実と偽りの境界最終回にて伏線は張りました と言うか嘘予告のあれです)
    ⑬幻と実態の支配者
    ⑭正直者の天邪鬼
    ⑮メイキング&裏話

    こんな感じです
    第18回MMD杯に関しては、凋叶棕さんの楽曲を3曲お借りします
    既に承諾済みなので出来れば完成させたい

    アリスがパチュったお話はそろそろマジで完結したい
    ごり押しで無理やりキスさせて終了しようかな(´・ω・`)

    東方でオフ会も、2話で既に元ネタから掛け離れたシナリオとなりました
    最終的なオチは考えていますが、どうなる事やら

    こんな感じでしょうか
    固定シナリオ選手権に関してもこれからどうなるのでしょう
    またシナリオを考えて募集し直すと思います

    それでは今日はこの辺で
    ちゃんとサムネ用意してますよ!!