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『FOREST 島人通信』2015.7.22号
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『FOREST 島人通信』2015.7.22号

2015-07-23 11:00

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    ▼ 2015.7.22号
    ▼ 『FOREST 島人通信』
    ▼ FOREST ISLAND
    ▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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    ▼ご挨拶 

     

    みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

     

    ごめんなさい。

    また配信が遅れました。

    本日は生放送!

    そして、立原美幸さんがまたも生放送に登場です!

    今回は、一体どんな霊と、立原さんは対峙するのでしょうか?

    お楽しみに!

     

    放送は、22時からです!

    http://live.nicovideo.jp/watch/lv228508347

     

    そして、先日は森島の誕生日放送に、多くの方々にご来場いただき誠にありがとうございました!

     

    放送内でも告知いたしましたが、森島の誕生日を記念し、また日頃のご愛顧の感謝を込めまして、チャンネル会員の皆様にプレゼント企画を実施いたします!

     

    FOREST ISLANDオリジナル缶バッジを、チャンネル会員様のご希望者様全てにお送りさせていただきます!

    7月いっぱいを期限に、チャンネル会員の方で、ご希望者様全てにお送りさせていただきます!

     

    お申し込みと詳細は、こちらのイベントページより、お願いいたします!

    http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel/event/ev1174

     

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        FOREST ISLANDホラー劇場『肝試しで出た幽霊』

     

    「これは、まだ俺が大学生の頃の話なんすけどね、当時、サークルの連中と毎週のようにつるんで遊びに行ってたんですよ」

     五十嵐君はそう言って、ドリンクバーから取ってきたコーヒーをすすった。

     休日のファミリーレストランの店内は多くの人びとでにぎわっており、奥の方の席で取材をするにしても、声を大きめに張らなければならなかった。

    「名前、聞いたら知ってるはずですよ。××トンネル、あそこです」

     彼が挙げたのは、心霊スポットといえば誰でも名前が浮かぶほどの有名なスポットだった。

    「夏休み前の試験が終わった頃で、ちょっと遠出をしようってことになって車で出かけて、誰ともなしにそのトンネルに行こうって話になったんですよね」

     同じ県内とはいえ、一行がいたところとは間逆の場所にあったそのトンネル。たどり着いた頃にはすでに日付を回っていた。

    「運転していた奴以外はみんな酒が入ってましたから、道中はわいわい楽しかったですよ。それでも、たどり着いて見てみると、酔いも少し覚めるくらい、不気味な場所でしたね」

     ここで、一人が肝試しをしようと言い出す。じゃんけんをして、負けた者が一人でトンネルまで行ってくることにしようと提案したのだ。

    「他の奴らはどうか知りませんよ。でも俺は嫌だったなあ」

     今から思えば、すでに何かに呼ばれ始めていたのかも知れない。

     五十嵐君の嫌な予感は的中し、負けた彼は一人でスポットまで行かなくてはならなくなった。

    「その場所に行くなんて急に決まったことですし、何も準備らしい準備はしていなかったんですよね。でも、街灯もあったし、大丈夫だと思うようにはしていました」

     五十嵐君たちが向かった××トンネルは、山道の幹線道路脇にある。

    今では新××トンネルという同じ名称を冠された新道が出来ており、通常そこを通る人たちはその道を使う。そして、今はほとんど使う人のない旧道に存在するのが××トンネルであったが、旧道と言っても比較的新しい時期に作られており、街灯が設置されているのである。

    「懐中電灯も持たずに行きましたからね。街灯がなければ『行けねえよ』で済んだかも知れませんけど、そういう訳にもいかず……」

     出発しようとする五十嵐君を、仲間たちは笑いながら見守っていた。

    「いいか。ちゃんと行けよ。確認すっからな」

    「携帯でトンネルの写真かムービーか撮ってこいよ」

     そう言われながら、五十嵐君はたった一人で出発した。

    「嫌な感じがしたと言っても、ちょっと怖いだけだったし、幽霊なんて信じていなかったから、なるべく気にしないようにして向かいました」

     旧道は山に沿って作られているため、曲がりくねっていてトンネルにたどり着くまで400メートルほど歩かなければならない。街灯は30メートルほどの間隔で立てられており、道を歩く分には不自由を感じるほどではなかった。

     50メートルほど歩いた頃だった。

     後ろで車のエンジン音がしたかと思うと、車の走り出す音が聞こえた。

    「あいつらの車だと直感しましたよ。でも、焦らなかったというか、意図が分かったんですよね。置いていくようなひどい真似をする連中じゃないから、おそらくトンネルの向こう側で待ちかまえているんだろうと思ったんですよ」

     ××トンネルの反対側は、もちろん道が続いており、その道は新××トンネルの反対側を抜け出て、500メートルほど先で繋がっている。

    「××トンネルの向こう側で見張っているか待ちかまえているかしようとしたんじゃないですかね。『確認する』って、そういう意味だったんじゃないかと思ったんですよ」

     向こうにいると分かれば、逆に怖いことはない。むしろ、行ってしまった方が楽である。五十嵐君は、どんどんと進んでいった。

     10分も歩くと、トンネルが見えてきた。五十嵐君は、証拠のムービーを撮ろうとして携帯を取り出した。

    「電源、切れてたんですよね。すっかり忘れてましたけど、前日、充電忘れてて、空になっちゃってたんですよ」

     しかも、悪いことにトンネルの中の電気はほとんど切れていた。トンネルの全長は300メートルほどであるが、五十嵐君から見ていちばん奥の一カ所のみ、黄色い電灯が点いているばかりで、あとは漆黒の闇であった。

    「さすがに暗いトンネルは怖いし、足元も見れないから入れませんよね。こりゃあ行けないなって思っていたら、向こうに人影が見えたんですよ」

     遠くに小さく見えるだけだったが、4人ほどのシルエットが目に入った。

     五十嵐君を視認したのか、手を振っている者もいる。

    「照明の当たり具合か、影になっちゃってて、姿は分かりませんでした。ダッシュで行っちゃおうかなとも思ったんですけど、さすがに暗すぎるでしょ。だから声をかけたんですよ」

     五十嵐君は、大声で叫んだという。

    「携帯、駄目、暗すぎる! 行けない! 充電、切れた、駄目! 戻る!」

     トンネルに自分の声がこだまし、五十嵐君はトンネルの反対側にいる友人たちに声が届いているか確認するために耳を澄ませた。

    「たぶん聞こえたと思うんですけど、あいつらの動きが止まったんですよね。返事はありませんでした。ずっとこっちを見てたんですけど、俺は戻ることにしたんですよ」

     トンネルを出てしまえば、街灯が続くただの山道である。その頃には大分慣れてきたのか、怖いと感じることもなくなっていた。

     再び10分ほど歩いて先ほどの出発場所に戻ると、仲間たちが待ちかまえていた。

    「どうだった? ちゃんと行ってこれたか?」

    「写真撮ってきたか? 見せろよ」

     口々に言ってくる友人たちに、五十嵐君は笑って返した。

    「充電無くなったって言っただろ。撮れてねえよ」

     すると友人たちは、

    「充電無くなったなんてほんとかあ?」

    「ほんとは行ってねえんだろ?」

     と笑いながらも疑いの目を向けてきた。

    「何言ってるんだ。トンネルの向こう側から見てただろ。お前ら、いたじゃんか」

     五十嵐君の言葉に、

    「行けねえって。確かに行ってみたけど、土砂崩れで通行止めになってたからな」

    「こっちから行って正解だったぞ」

     と口々に彼らは主張する。

    「ちょっと待てよ」

     五十嵐君は、トンネルで見た人影のことを友人たちに説明した。

     しかし、誰も信じてはくれなかったという。

    「お前、嘘ついてるんだろう」

    「やっぱり怖かったんだ」

    「もう一回行ってこいよ」

     ふざけ半分に言う仲間たちだったが、五十嵐君には既に笑う余裕は残されていなかった。

    「嫌だ!」

     と叫ぶと、五十嵐君は車に飛び乗った。

    「絶対、降りるもんかと思いましたよね。仲間たちも、何か俺の異様な様子を感じ取ったのかも知れない。雰囲気が悪くならないようにしたのかもしれないけれど、誰もそれ以上は突っ込まずに、その場を後にしました。幽霊? いや、そうに違いないと思いますけどね。だって土砂崩れのトンネルの先に、生身の人間が待ちかまえているなんて、考えられないでしょ? あれ以来、誰も心霊スポットに行こうって言わなくなったな。え、俺? もちろんもう二度と行きませんよ……」

     そこまで話すと、五十嵐君はコーヒーを一気に飲み干し、ドリンクバーへと歩いていった。


                                  <終わり>

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                  2015.7.22号
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                  発行者: FOREST ISLAND
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