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▼ 2015.7.29号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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▼ご挨拶 

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

いよいよ夏休み!

梅雨も明け、暑くなってきましたが、みなさま体調には充分お気をつけください!

 

先日告知いたしました、FOREST ISLANDオリジナル缶バッジプレゼント企画、締め切りがもうすぐ近づいて参りました。

チャンネル会員様のご希望者様全てにお送りさせていただきますので、まだお申し込みでない方で、ご興味のある方はお早めにお申し込みくださいね!

 

お申し込みと詳細は、こちらのイベントページより、お願いいたします!

http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel/event/ev1174

 

さて、夏休み中の8月16日(日)ですが、ニコニコの心霊配信の皆様と素敵なコラボをさせていただくことになりました!

 

ろっくまんさん、ゲッティさんの企画により実現した『心霊スポット配信リレー』にFOREST ISLANDも参加します!

心霊配信の大先輩方のリレー配信に参加させていただけることになりました!

 

『心霊スポット配信リレー』

開催日:2015年8月16日(日)

21時に心霊気違の金子丸さんから配信を開始し、6名の配信者が30分放送をそれぞれ2回ずつ、各都道府県の心霊スポットから行います!

21時から深夜3時までの特大放送です!!

 

参加者(放送順)

金子丸さん 放送時間21:00~/0:00~(http://com.nicovideo.jp/community/co1567054)

森島 放送時間21:30~/0:30

ゲッティさん 放送時間22:00~/1:00~(http://com.nicovideo.jp/community/co2269581)

ZeNrAさん 放送時間22:30~/1:30~(http://ch.nicovideo.jp/ch2525458)

ゆーたさん 放送時間23:00~/2:00~(http://com.nicovideo.jp/community/co2458547)

ろっくまんさん 放送時間23:30~/2:30~(http://com.nicovideo.jp/community/co2146263)

 

どうぞご期待ください!

 

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        FOREST ISLANDホラー劇場『タクシー運転手が見た幽霊』①

 

「お兄さん、怖い話の取材をしているの? 俺、見るんだよ、時々」

 そう言われたのは、とある山道を下るタクシーの中。

 還暦をとうに過ぎていると思われる運転手さんは、軽快にハンドルをさばきながら、急カーブをすいすいと曲がってゆく。

 心霊スポットともパワースポットとも言われる関東近郊の山に取材に行った帰り道、一時間に一本しかないバスを乗り過ごし、奮発してたまたま通りかかったタクシーを拾ったのであるが、そこでまた新たなネタを仕入れられることになるとは思っていなかった。

 たまたま私の仕事の話になり、心霊スポットの取材で訪れたことを告げると、運転手さんがおもむろにそう言ってきたのである。

「教えていただけませんか?」

 そう訊くと、運転手さんは、彼の体験した不思議な出来事を話してくれた。

 

仮に斉藤さんとしておこう。

斉藤さんが「それ」を見るようになったのは、この数週間のことらしい。

それも、場所は決まっているそうだ。

「ここだよ、お兄さん。まさにこの、山道」

 嘘か本当か分からなくなるような話だが、斉藤さんはそう言った。

「初めて見たのはね……。今からそこのカーブを曲がるよ。そこだよ、そのカーブミラーの下」

 いきおい、身を乗り出すようにしてそちらを向く。黄色い、どこにでもあるような普通のカーブミラーだ。

「どんな様子だったんですか?」

 いきなり疑ってかかった訳ではない。しかし、少し出来すぎていると感じたのである。たまたま乗ったタクシーの運転手が幽霊を見ることがあり、その場所のひとつがちょうど通り過ぎようとしているカーブミラーの下だと言う。

作り話か何かでからかわれているのではないかという気がしたのであった。

「どうって言うか、普通に立っているだけだったよ。ちょっと悲しそうな感じがしたかなあ。でもね、なんだか感じたんだ。あ、これ、生身の人間じゃないなっていう」

 なるほど。しかしまだ嘘とも本当とも判断することは出来なかった。

「その時以外には会わなかったんですか?」

 食い下がってみる。

「だから、時々見るんだってば。そこのカーブのところでも見るよ」

 目をやると、麓に降りる手前の最後のカーブだ。

 カーブに沿って白と緑のガードレールが設置されている。

 その先には有名な神社の大きな鳥居がある。観光スポットになっていて、向かい側の駐車スペースに停められた大型観光バスから観光客が何人も降りてきていた。外国人の団体だろうか。旗を持ったガイドを先頭に、わいわい騒ぎながら横断歩道を渡って鳥居の下をくぐり抜けている。

 斉藤さんはブレーキをかけると、車を横断歩道の手前に止めた。

「最近は中国のお客さんが多くてね。中国人様々だ。マナーはあんまり良くないけどね」

「さっきのガードレールのところにいた幽霊ですけど、そこでも普通に立ってるだけでした?」

 話を戻す。

「いや、最近見るのは違うんだ」

「どう違うんです?」

「こうやってな。手を振っているんだよ」

 斉藤さんは体を私の方に向け、右手を振って見せた。

「もっとぶるんぶるん、ぶん回してな。俺の方に何か言おうとしてるみたいなんだよ。何かは分からないんだけど」

「なんでそれが幽霊だって分かるんです? それも何となく感じるんですか?」

「いや……」

 斉藤さんは、少しぶるっと体を震わせたようだった。

「顔が、見えないんだよ。真っ黒に潰れて、誰だか分からないんだ」

 さっきまで少しのんびりした口調で話していた斉藤さんの表情が変わっていた。まるで何かに怯えているかのようで、とても嘘や冗談を言っているようには思えなかった。

 不意に鳴らされたクラクションの音で、私も斉藤さんも我に返った。

 目の前の横断歩道には誰もいなくなっていた。

 斉藤さんは慌てて前に向き直り、タクシーを発進させた。

 そこから私が乗る電車の駅までは数分であったが、二人とも全く口をきかなかった。

 駅に着いて支払いをしながら、私は斉藤さんにこの話を書いても良いかと尋ねた。

「ああ、構わないよ。でも、どうなんだ? 危ないのかな」

 少し落ち着いた様子ではあったが、斉藤さんは心配そうに訊いてきた。

「いや、幽霊が人に危害を加えるって、実際には少ないみたいですから、あまり気にしなくても良いんじゃないですかね?」

 その言葉は決して気休めのつもりではなかった。

「そうかな。だといいんだけど」

 そのやりとりを最後に、私は車を降りた。

 

 東京に戻って数日経ったころだった。

 他の仕事が一段落したので、私は斉藤さんの話をまとめようと、ノートパソコンを開いた。

 そのとき私は、どういう気持ちになったのか、斉藤さんの名前を検索した。

普段は取材対象者のことを調べるような真似はしない。

 今から考えれば、虫の知らせとしか言い様のないものであった。

 斉藤さんの名前は、いくつものニュースサイトに引っかかった。

 つい前日にアップロードされたばかりの新しい記事。

 そこに写し出されていた写真を目にして、私は言葉を失った。

 セダン型の車の前方部分がちぎれて、真っ逆さまになって腹を空に向けている。二つのタイヤがなければ、車と認識することすら難しいかも知れない。別の写真では、同じ車の後部部分のみが電柱の脇に停まっている。この電柱にぶつかって切断されたのだろうか。

 そして、オレンジに緑のラインが入ったその車体は、つい先日乗ったばかりのタクシーと同じ色だった。

 その車体後部をとらえた写真の奥に鎮座するのは、大きな鳥居。見覚えがあった。

 あの鳥居だ。

 事故は、観光地になっている神社のすぐ脇で起こったらしい。

 そして、その事故を報じる記事の中に、斉藤さんの名前があった。

 事故を起こしたのは斉藤さんだった。どうやら亡くなったらしい。

 斉藤さんは、私を駅まで運んだその翌日に死んだのだ。


                                  <続く>

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              発行 FOREST ISLAND
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