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『FOREST 島人通信』2015.9.4号
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『FOREST 島人通信』2015.9.4号

2015-09-04 15:00

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    ▼ 2015.9.4号
    ▼ 『FOREST 島人通信』
    ▼ FOREST ISLAND
    ▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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    ▼ご挨拶 

     

    みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

     

    本来であれば水曜日にアップするところを、遅くなりまして申し訳ございません。

     

    さて、いよいよ9月4日(金)には、FOREST ISLANDレーベルの初DVDとなります『怨霊地帯 呪いの心霊スポット』が発売となります。

     

    生放送などでは何度か申し上げておりますが、FOREST ISLANDの有料動画をまとめたものになりますので、お買い上げやレンタルをされる際はご承知の上、お楽しみいただければと思います。

     

    もちろん、DVDなので、ウェブ上に上がっております動画よりは綺麗な画質でご覧いただくことが出来ますが、内容に関しましてはFOREST ISLANDの動画の再編集となっております。

     

    お楽しみいただければ幸いです。

     

    そして、その発売を記念してという訳ではないのですが、9月4日(金)に心霊スポットを巡ります!

    こちらも合わせてお楽しみいただければ幸いです!

     

    2015/09/04(金) 開場:21:57 開演:22:00

    http://live.nicovideo.jp/gate/lv233850437

     

    どうぞお楽しみに!

     

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            FOREST ISLANDホラー劇場『老人ホームの来客』③

     

    ホームのリビングに設置されているソファを特別に借りることが出来、雄一郎はそこで眠ることにした。

    「普通に寝ちゃっていいのかい?」

     念のため訊いてみると、

    「お前が目を覚まさぬなら、俺だけに見えるんだろう」

     と返事が返ってきた。

     やれやれ、と思いながら、雄一郎は冷たい合皮のソファーに寝そべった。

     

     ひんやりとした空気に頬をなでられ、雄一郎は目を覚ました。

     反射的にベッドに目をやる。

     暗がりの中に、源蔵の姿がぼんやりと見えた。

     源蔵は上半身を起こしていた。鬼のような形相で、部屋の一点を見つめている。

     雄一郎はそちらを向いた。

     部屋と廊下を隔てる引き戸のドアのところに、誰かが立っていた。

     それが人であることは、雄一郎にも分かった。

     しかし、男か女かの判別がつかない。服装も黒っぽい落ち着いたもののように見えるが、ズボンを履いているのかスカートなのか。また髪形も、短いようにも見えるし、長い髪が床にまで垂れ下がっているようにも見える。

     こいつが、そうなのか?

     雄一郎は源蔵の方を向こうとした。

     だが、首が全く動かなかった。瞬きをすることさえ出来ない。雄一郎はただじっと、入り口に立つ男とも女ともつかない“侵入者”を見つめるばかりだった。

     すると突然、その“侵入者”が動いた。歩き出したのではない。天井の方に「伸び上がった」というのが正しいのかも知れない。

     ゆっくりと“侵入者”の体が伸びて、頭が天井につく。天井についた頭はそこから形を崩し、流れ落ちた液体のように天井を伝って雄一郎の方へ迫ってきた。

     雄一郎の真上にたどり着くと、それは巨大な滴に形を変え、雄一郎の目の前にぼとりと落ちた。ねばねばした液状のそれは、やがて蛇の鎌首のような物体に姿を変えると、その顔の部分を雄一郎の眼前に近づけた。

     眼球を動かすことさえもままならない雄一郎は、目を見開いてその“侵入者”を見つめていた。

     やがて、“侵入者”は顔の形を変えた。その姿は蛇のようにも、鬼のようにも、人間のようにも見える。それは口を開けると、にかっと笑った……ように雄一郎には思えた。

     雄一郎の記憶はそこで途絶えた。

     

     気がつくと、朝になっていた。

    スタッフが食事を運んで来る音で、雄一郎は目を覚ました。

     源蔵の分だけで、雄一郎の準備はもちろん無い。

     スタッフは「すみませんね」と申し訳程度に頭を下げると、そのまま出て行った。

     源蔵は、むすっとした表情のまま、黙って味噌汁をすすり始めた。

     雄一郎は、まだ目覚めたことさえも信じられないという思いで、ソファーの上に座り込んでいた。

    「見たんだな」

     源蔵がつぶやくように言った。

     雄一郎は何とか頷きを返した。

    「毎晩毎晩、アレが来る。そしてずっと、入り口に立っているのだ」

     雄一郎は顔を上げた。

    「ちょっと待ってよ」

     源蔵も箸を止め、雄一郎を見た。

    「アレがずっと入り口に立ってたって?」

     雄一郎の言葉に、源蔵も怪訝そうな表情を返した。

    「見なかったのか。ずっと立ったまま、こっちを見ていたろうが」

     雄一郎は両手で顔を覆った。

    「そうじゃない。あいつは、俺に迫ってきた。天井を伝って、目の前に落ちて、それから顔を出してきた……」

     その答えは、源蔵にも予想外のものだったらしい。

    源蔵も言葉を失い、ただ雄一郎を見つめるばかりだった。

     

     それから雄一郎はすぐにホーム長に交渉し、部屋を変えてもらった。

     幸か不幸か入居者が少なかったこともあり、移動はすぐに認められた。

     元いた部屋には新たな入居者が入ったが、その入居者も認知症を発症したという噂が広まり、しばらくしてから部屋を変わったらしい。

     今、その部屋は無人になっているが、もしホームに入居者が増えて、他の部屋が埋まってしまった場合はどうなるのだろうと雄一郎は考えている。

     そして、なぜあの日、“侵入者”が姿を変えたことが自分にだけ見えたのか。

     今でも分からないままだが、雄一郎は何らかの理由で自分が気に入られたからではないかと考えている。

     源蔵の足腰は衰えたままだが、幸いにもそれからは幻覚を訴えることもなく、まずまず楽しくホーム生活を送っていることが救いであると、雄一郎は話してくれた。


                                      <終わり>


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                  2015.9.4号
                  発行 FOREST ISLAND
                  発行者: FOREST ISLAND
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