NYタイムズがVRコンテンツ配信するってさ、日本の新聞社もやれるよね
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NYタイムズがVRコンテンツ配信するってさ、日本の新聞社もやれるよね

2015-10-28 09:14


    ニューヨークタイムズがGOOGLEが公開しているダンボール製スマホ向けヘッドセットCardboardを配布して、バーチャルリアリティコンテンツを配信するそうです。
    【このニュースの参考記事】
    New York Times、Googleとの提携でVRコンテンツ提供へ
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1510/21/news073.html
    【以前投稿したCardboardに関する記事】
    手軽にバーチャルリアリティを体験できるGoogle Cardboardを買ってみた(組立&使い方など)http://ch.nicovideo.jp/moss/blomaga/ar668245

    これがGoogle Cardboard。スマホを差し込んで360度映像を視聴すると、傾きセンサーと連動して、まるで映像の中にいるような体験ができる。

    超ざっくり説明すると
    スマホを差し込み顔に当てて使う紙製ゴーグルを利用して、まるでニュースの現場にいるようなグルグル見回せる映像が配信される(詳細出てないので一部憶測)。
    まずは難民をテーマにしたドキュメンタリー的な内容なので、速報的な使い方ではなくテーマについてより深く知るコンテンツ。
    ゴーグルは読者(一部の契約)に配布される。同様のハードは市販されているのでモノ自体は10ドルくらいで手にも入る(別途スマホは必要)。

    バーチャルリアリティって流行ってるの?
    最近はYOUTUBEが360度全天球のビデオに対応したり、ニコニコ生放送で360度中継が行われたり、遊園地やイベントに360度視界の体感アトラクションがあったり、家電量販店に360度のビデオが撮影できるカメラが売られていたりしますので、そういう映像があるのはご存知の方も多いかと思います。
    最近はバーチャルリアリティの時代が来るとばかりに、展示会なども頻繁に開催されるようになりました。ただ、今は新しいものに挑戦する段階であって、収益を上げている段階とは言いがたい状況です。
    今バーチャルリアリティを圧倒的にリードしているのはゲーム業界だと思います。そんな中で、事業が巨大で内容もかっちり固まった新聞業界からの参入は意外でした。

    テレビでもネットでもなく新聞社から来たとうこと
    米国の新聞はネット購読の契約が柔軟で、日本に比べるとネット契約の割合も高いそうですが、紙の紙面をディスプレイに最適化したり、一部で動画や動くスライドを採用するようなケースはあるものの、平面とかけ離れたものを扱うというのはなかなかチャレンジングだと思います。
    映像なら当然テレビ局の方が映像の扱いに長けていると思いますが、ハードとしてのテレビの規格から外れている点で、テレビ局にとってはメリットが薄いのでしょうね。テレビを見ながらスマホで情報を検索なんていうセカンドスクリーン化は既に進んでいますが、バーチャルと行き来するのは難しかもしれません。
    ちなみに米国はネットのニュース専門サイトがかなり盛り上がっていて、まとめのようなニュースから発展して新聞社などから記者を引き抜くところも出ています。Youtubeなど外部のプラットフォームを連携させることで、参入ハードルが下げられることを考えれば、ネットからもじきに参入があると思います。

    ニュースをバーチャルリアリティで見る意味
    報道において、テキストは論理的な情報が扱いやすく、そこに図や写真を組み合わせる新聞という媒体は、やはり報道の”正しい”形だと思います。事件の関係性などが極めて理解しやすいです。そして、テレビは感情的な情報量の多い媒体だと感じます。アップになった被写体の表情一つで共感や怒りなどの感情がコピーされます。
    そういう意味では、360度の映像というのはかなり散漫になりがちです。それは、視聴者が360度を同時に把握できるわけではないからです。テレビの映像ですらたまに全く関係ないところに目が行くことがあります。それがグルグルと見回せる360度映像では、AさんとBさんが全く別のところを見ているなんてことが容易に起こり得ます。ですから、特定の事象について簡潔に説明するのにはやや不向きな媒体だと思います。
    しかし、事象の起きた背景や雰囲気という漠然としたものを理解するのには向いていると感じます。撮影者の意図によって狭められた情報ではなく、ありのままその場にいるような体験が可能です。また通常編集によって切り落とされる多くの情報の中から、各人が全く別の解釈での情報を拾い上げるかもしれません。
    例えば、よく「インドで駆け落ちした男女の嫁の方を親族が撲殺」みたいなニュースが流れると、日本ではインド人が暴力的になったとかどんな僻地だって反応がありますが、現地の町を歩き人と話してみれば、いかに大人の女性が出歩いていないかとか、人前で交際している姿を晒すことが奇異に映るかとか、土地や身分や職業が縛られたカースト社会から急激な発展とグローバル化とITの普及によってそれが揺らぎつつ、価値観が世代間でかけ離れてしまう様子が伝わってきます。
    その場所に行き、現地の人に聞き込みをしていく、そういう取材過程の360度映像があれば、まるで現地で取材に同行したような体験も可能ではないかと思います。中東の紛争、アフリカの貧困、中国の公害、言葉にすると頭の中にすっぽり収まってしまい何とも小さく感じてしまいますが、実際に体験するように見ることで、もっと大きな違和感をもって受け止められるのではないかと思います。
    新聞のような論理的な情報のバックグラウンドを補完するのには、非常に有効な組み合わせなのではないかと思います。

    日本でもやってよ朝日新聞あたりやれるでしょ!
    さて、バーチャルリアリティによるニュース配信にメリットがあるというのは伝わったかと思います。では日本で実際にどこかやってはくれないでしょうか。今や360度撮影可能なカメラは手のひらサイズ。取材が記者とカメラマンの2人体制なら一脚スタンド一本で片手間でも扱えます。
    日本は単民族国家で価値観や環境もずいぶん画一的なので、特別体験的な情報の必要性って薄いんじゃないかという見方もあるでしょうが、個人的にバーチャルリアリティを利用して欲しかった日本国内や日本に大きく関わる今年のニュースをピックアップしてみました。

    ・常磐道全線開通(福島の避難区域を通り、線量計が多数設置)
    ・淡路5人殺害事件(非常に小さな集落で起きた、やや特殊な感がある)
    ・海底の戦艦「武蔵」発見(ダイビング風の映像が見たい)
    ・首相官邸無人機落下事件(空中からどのようにアクセスするのかドローン360度撮影を)
    ・池袋の公園に放射性物質(子供も遊ぶ普通の公園から高放射線の物体)
    ・箱根山の火山活動活発化(噴煙をアップで派手に映すだけでは恐怖しか得られないので)
    ・東海道新幹線火災事件(新幹線内で放火された場合の乗客視点)
    ・調布小型機墜落(一般の住宅地への墜落。全国にこういうところはたくさんある)
    ・鬼怒川の堤防決壊(浸水被害にあった地域の様子)
    ・安保法制に対する国会前デモ(実際何万人か分からないが、群衆の中で何が見えるのか)

    この辺は中にはいって360度で見ることで、大きく理解が変わってくるんじゃないかと思います。いかがでしょうか。
    これ以外にも多くのニュースを360度で補完していくとなると、ニュースリリース等を記事化するのが中心の新聞社では難しいものです。その点、調査報道を行うための記者を多く抱えている朝日新聞あたりがリソース的に高い可能性があるのではないかと。全国紙ですし日本は世界的にも新聞購読率が飛び抜けて高い。部数的にもNYタイムズの7倍くらいあります。デジタル版はハードルが高い契約内容なのでおそらく現状20万契約程度かと思いますが(紙が強すぎる)、今のボリューム顧客である団塊世代が字が読めなくなる頃に向けて、デジタル分野を推進するのは悪くないんじゃないでしょうか。

    というわけで、ニュースとバーチャルリアリティに関するあれこれでした。
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