中学生に教える簿記
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中学生に教える簿記

2015-12-15 00:04
    普段は公認会計士の勉強をしながら家庭教師のバイトをしております。
    そんな職業柄、覚えた知識を人に見せることに生きがいを感じてしまうんですね。
    ちょっと簿記を始める人に道しるべを残しておこうかと思います。
    専門家のチェックなどを受けていないので、正確さを保証できません。
    それでもよければ見てください。

    【仕訳(しわけ)とは】
    簿記には難しい言葉がいっぱいです。
    減価償却(げんかしょうきゃく)・振替仕訳(ふりかえしわけ)・精算表・貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)・損益計算書(そんえきけいさんしょ)などなど。
    参考書を読むと、初学者向けの教材でも最初から「資産とは?」「負債とは?」などと、定義を厳密に教える参考書があります。やる気が無くなりますね。

    初学者の簿記で一番大事なのは「仕訳を正確にできること」だと考えます。
    コレで簿記3級合格までは進めると考えます。それほど重要なことなのです
    (二級の工業簿記は仕訳を覚えただけでは大変かなと)
    じゃあ仕訳ってなんでしょう?習うより慣れろ、こんな感じです。

    普通預金100円をおろして、現金にした場合
    現金 100円 / 普通預金 100円

    1000円の商品を売り上げて、現金を受け取った場合
    現金 1000円 / 売上 1000円

    100円の自動車(安っ!)を現金で購入した場合
    車両運搬具 100円 / 現金 100円

    こんな形で一行の左と右に何か書いていく作業です。
    左を「借方(かりかた)」右を「貸方(かしかた)」といいます。借方と「借りる方」という言葉はほぼ関係ありません。ただの名称と思いましょう。

    まずは仕訳を正確にできるようになってください。
    説明のために用語を勉強しておきます。

    【科目(かもく)とは】
    仕訳における項目の名前のことです。仕訳は必ず
    科目 金額 / 科目 金額
    という形を取ります。
    困ったことに、外部にお見せする書類には必ず決められた科目を用いないといけません。
    お金 100円 / Aさんから借りた 100円
    というような仕訳は許されず、
    現金 100円 / 借入金 100円
    と書かなければなりません。
    ですので、簿記を使う人は科目をある程度暗記していないといけません。
    まぁ、使っていたら覚えるものですよ。

    簿記の検定試験で有名なものに日商簿記というのがあります。
    1~4級まであります。4級は簡単すぎて存在を知らない人が多いです。
    まずはそんな4級で覚えなければならない科目を見ていきましょうか。

    【日商簿記4級で必要な科目】
    「現金」「普通預金」「当座預金(とうざよきん)」「売掛金(うりかけきん)」「買掛金(かいかけきん)」「貸付金(かしつけきん)」「借入金(かりいれきん)」「建物」「土地」「車両運搬具」「受取手数料」「受取利息」「給料」「広告宣伝費」「旅費交通費」「通信費」「消耗品費」「水道光熱費」「支払家賃」「支払地代」「雑費」「支払利息」「資本金」「商品」「商品売買益」

    多いですね。数えたら25種類ありました。それでも大丈夫です。仕訳をしてれば覚えます。
    「当座預金」「売掛金」「買掛金」などはなじみの無い方だと大変なのかもしれませんね。

    ※注意
    日商簿記4級では一般的によく使われる(三分法)「売上」を用いずにマイナーな「商品売買益」(分記法)を用いるようです。日商簿記3級からは三分法になりますので、分記法に慣れ過ぎるのも考えものです。私は日商簿記3級から入った身なのですが、日商簿記1級で急に分記法が登場し、驚きました。

    それじゃあちょっと仕訳をできるようになってもらいましょうか。

    【仕訳のルール:科目は左か右か?】
    それぞれの科目には決められた方向(左or右)があるのです。
    現金ならば左、借入金ならば右となっています。これは丸暗記ではありません。資産・負債・資本・収益・費用の区別を理解すれば必ず理解できます。ですがまずは仕訳を理解しましょう。

    例:現金(資産)の場合
    現金が増えるときは左です。減るときは右です。
    資産になるのは「現金」「普通預金」「当座預金」「売掛金」「建物」「土地」「車両運搬具」「商品」「貸付金」です。現金同等物や売ったら現金になるものですね。

    例:借入金(負債)の場合
    借入金が増えるときは右です。減るときは左です。
    負債になるのは「買掛金」「借入金」です。このレベルでは、負債の意味とほぼ同様に考えて良いと思います。借金ですね。

    例:資本金(資本)の場合
    資本金が増えるときは右です。減るときは左です。
    資本になるのは(このレベルでは)「資本金」のみです。あとで解説します。

    例:受取利息(収益)の場合
    受取利息が増えるときは右です。減るときは左です。
    収益になるのは「受取手数料」「受取利息」「商品売買益」です。
    利益・費用に関しては日本語を素直に読めば分類できると思います。

    例:広告宣伝費(費用)の場合
    広告宣伝費が増えるときは左です。減るときは右です。
    費用になるのは「給料」「広告宣伝費」「旅費交通費」「通信費」「消耗品費」「水道光熱費」「支払家賃」「支払地代」「雑費」「支払利息」です。
    利益・費用に関しては日本語を素直に読めば分類できると思います。

    ※ちなみに
    簿記は会社の取引を記載していくものなので、社員に払う「給料」は費用です。

    資産・費用の場合は、左で増えます。右で減ります。
    負債・資本・収益の場合は、右で増えます、左で減ります。
    後で必ず理解できますので、あとで見なおしてください。

    このようにルールを決めておくと、取引を仕訳の形で残すことが出来ます。

    例:通信費500円を現金で支払った
    通信費 500円 / 現金 500円
    通信費(費用)が発生したので、通信費は増えます。その一方で現金を対価として支払ったのですから、現金(資産)は減ります。左右がピタリと埋まったのがわかるでしょうか?必ずそうなります。もっと見ていきましょう。

    例:現金500円を借りた
    現金 500円 / 借入金 500円
    借入金(負債)が発生したので、借入金は増えます。右ですね。(利息は無視しました)
    また、手元の現金(資産)が増えたので左です。じゃあ返す場合はどうでしょう?

    例:借りていた500円を普通預金で支払った
    借入金 500円 / 普通預金 500円
    返済により、借入金(負債)は減少します。左です。
    その分普通預金(資産)が減りました。右です。
    振込手数料は無視しました。

    例:受取手数料300円を現金で得た
    現金 300円 / 受取手数料 300円
    受取手数料(収益)が発生して増えますので右です。
    現金が増えたので左です。

    例:自動車を700円で購入した。支払は現金一括払いをした。
    車両運搬具 700円 / 現金 700円
    自動車は「車両運搬具」という科目になります。資産です。「車両購入費」なんてのは無いんですね。自動車を得たので、増えまして、左になります。
    現金を払い、減りまして、右になります。

    以上の仕訳を一旦並べてみることにします。
    通信費 500円 / 現金 500円
    現金 500円 / 借入金 500円
    借入金 500円 / 普通預金 500円
    現金 300円 / 受取手数料 300円
    車両運搬具 700円 / 現金 700円

    この表を見て、分かることがあります。
    現金に着目しましょうか、現金の左の合計は800円、右の合計は1200円となります。
    現金(資産)は左の場合増えた、右の場合減ったということになりますので、通算で800円増えて、1200円減ったということになります。結果400円減ったことになりますね。
    こんな風に、仕訳の記録を開始したときから仕訳の記録を終えたときまでの各科目の金額の変化量を計算ですぐに把握することができるのです。

    各科目の合計を左と右に分けて表示します。空白は0円です。
    800円 現金 1200円
        普通預金 500円
    700円 車両運搬具
    500円 借入金 500円
        受取手数料 300円
    500円 通信費 

    各科目の左右を消して、差引額のみを表示します。
        現金 400円
        普通預金 500円
    700円 車両運搬具
        借入金 0円
        受取手数料 300円
    500円 通信費 

    この表をみるだけで、「現金は400円減ったんだな」「借入金の変動は無いな」などの情報をつかむことが出来ます。これが企業の家計簿たる簿記です。

    【仕訳のルール:複数科目の同時仕訳】
    さきほどは簡単な仕訳をしました。少しだけ発展します。
    仕訳は取引を記載するものなのですが、1つの仕訳に複数の項目が同時に現れることがあります(というかそれが普通)。言葉で言うと難しいですね。例を見てみます。

    例:借入金300円を利息を含め現金で支払った、利息は3円発生していた
    借入金 300円 / 現金 303円
    支払利息 3円 /

    現金は303円減りました。右ですね。借入金は300円分減ったので、左です。
    差額の3円は支払った利息なので支払利息(費用)となります。
    支払利息は発生していますので、左です。
    このように、1つの仕訳に複数の科目が入ることもあります。
    それでも1つの仕訳全体をみると、左右の金額は303円で一致していることに注意してください。必ず一致します。

    【馴染みのない科目:売掛金・買掛金・雑費・資本金】
    (売掛金・買掛金)
    日本の企業の取引の特徴なのですが、「ツケ」払いが非常に多いんです。
    こういった「ツケ」を管理するために「売掛金」「買掛金」があります。
    売掛金(資産)は、相手がツケ払いをして、支払を猶予してやっている金額です。
    将来的に同額の金銭をもらえるのですから、資産になります。
    買掛金(負債)は、自分がツケ払いをして支払を待たせてもらっている金額です。
    将来的に支払わなければならないので、負債になります。
    問題文では「100円の商品を掛けで購入した」「500円の商品を掛けで売り渡した」という表記になります。

    (雑費)
    費用ならなんでもありの項目です。
    支払家賃・水道光熱費などの費用は理論的には全て雑費に含めても良いのですが、それでは取引を記録している意味が薄くなるので、雑費は最大限使わないようにするのが基本です。
    雑費を持ちいらなければならない仕訳はほぼ存在しないのですが、現金過不足の場合など科目名を把握できなければ雑費を使うしかありません。
    ちなみに、収益の場合は「雑益(ざつえき)」を用います。

    (資本金)
    日商簿記4級では唯一の資本の分類となります。
    企業を作る場合は、最初に社長さん(あと株主など)が自分のお金を出して建物や商品や従業員の雇入れを行います。社長さんのお金は会社のお金とは区別しますので、このように社長さんが企業のために出資した額を「資本金」として入れておくのです。
    これって言葉の意味として負債ではありませんよね?
    ちょっと例を考えます。

    例:現金100万円を出資して会社を立ち上げた。
    現金 100万円 / 資本金 100万円

    このようにして、社長のサイフと企業のサイフを(計算上)分けるわけですね。
    社長さんは他に出資者のいない会社であっても、あくまで会社とは別の存在です。

    三時間ほどの現実逃避で書き上げました。コメントあれば続きます。
    質問などもあったら答えられる限りで答えます。どれだけ初歩的なものでも構いません。
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