30代に入って、自らの体と向き合うようになった、という話をよく耳にしますが、「体の冷えやだるさ」が気になりだしたことがきっかけとなる例が多い気がします。かく言う私もそのひとり。代謝を高めるため体を動かすようになり、体を冷やさない工夫を心がけるようにもなりましたが、なかなか難しいなと感じていることが「食事」です。
生きる基礎を作る料理長野県蓼科の自然耕で野菜を育て、都内では食べ物教室を主宰する料理家・たなかれいこさん。食べ物のちからで体をあたためることを追求し、30年間医者要らずの生活を送っているそうです。
たなかさんの著書『生きるための料理』は、伝えたいことが明確で、小難しくなく、気取りもない。装丁の美しさも見どころのひとつで、たなかさんの料理への姿勢をそのまま映し出したような潔さに目が奪われます。
からだを中からあたため、きれいにする食べもので体をあたためるこことは、難しいことではありません。季節の野菜を知り、伝統的製法の調味料を使うだけです。
料理をしておいしく食べることは楽しみでもありますが、料理をしなくても、食べ物でからだの中からあたためることはできます。
(『生きるための料理』はじめに より引用)
葛、ごぼう、れんこん、にんじん、大根、長ねぎ、さつまいも。特別な食材やむずかしい技術ではなく、体をあたためる旬の食材を使った44のレシピをはじめ、出汁のお話や美味しいご飯の炊き方と保存法などが紹介されています。夏野菜をあたため食材に変えるヒントは目から鱗のような感じです。
おなかがすいたらお腹が空いたら、私は我慢せずに食べます。でも、何を食べるかでその後の心持ちも体調もまったく違うことになってしまうので、空腹のときこそ何を食べるのかの選択が大切です。
(『生きるための料理』おなかがすいたら より引用)
「時間がない時のゆで卵ごはん」、「白湯に醤油で胃腸の調整」、「残業のお供に塩むすび」といった、たなかさんが届けてくれるアイディアは、時間をかけるというよりも意識を変えるという表現がぴったりで、忙しい毎日にもすんなり取り入れられそうです。
[生きるための料理]