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動画
イメソン くるり 東京
BUMP リリィ
スピッツ 魔法のコトバ
プロット
クッキー☆をやめ自分の好きなオリジナルの音楽で食って行こうとするしりり ギターを持ち出して単身東京へ
路上ライブで少ない客から貰うおひねりや交流の他にはバイトで食いつなぐ日々
ある日常連客の1人と映画の話で盛り上がる、好きな映画の好きなシーンが自己矛盾兄貴と被る もしかして、と思うも口に出せないでいた
しりりがタイトルに面会室を入れた曲を作っておじちゃん含む客に聞かせておじちゃんだけがその魔法の言葉の意味をわかる
それを聞いたおじちゃんがおひねりにメモを混ぜてメモに書いてあるとこにアクセスしたら自己矛盾☆のHD版動画が流れる 爽やかな感じでおわり
ほんへ
東京で一人暮らしをして約一年が過ぎた。
宛先のない手紙を書くようにタバコを吸いながら俺はくるくると振り返る。
思えばだいぶ前のこと、まあ端的に言えば岡山に居られなくなったのだ。
クッキー☆の前に居たジャンルで相当な無茶をした因果が祟り、愛するそれから離れざるを得ない結果になってしまった。
因果応報といえばそれまでだが、だが……
今までのクッキー☆で得た全てのものについて巡らせる。
タバコの灰が携帯灰皿にぽとりと落ちた。
地位。これは別にどうでもいい。名誉。これも割とどうでもいい。再生数。コメント。マイリス。これはある程度欲しい所だ。友人。そう友人だ。
あの人を、置き去りにしてしまった。
別れ際の通話は今でも鮮明に海馬から引き出すことができる
「あなたが居なくなったら、誰を嫉妬して生きていけばいいんですか」
ああ、今思い出しても女々しいの一言につきる! あの人はたまにそういうところがあるから困る。
別に俺1人が界隈から消えたところで世界は何事もなく回っていくのだろうしまた新しい嫉妬先を見つけることだってできるだろう。
そう言ってあっさりと別れた、未練をこれ以上残さぬよう、残されぬように。
実際新しい嫉妬先をあの人が見つけられたのかはわからない。俺はクッキー☆を辞めた。
住み慣れた岡山から離れたのは特定から逃れるためもあるが一つの考えを実行に移す為でもある。
二次創作ではないオリジナルの音楽で生きていこうと決めたのだ。
それは始めのころにぼんやりと思い描いていた夢物語で、いつしかそれは二次創作というものに塗りつぶされていってしまったのだけれど。
俺が本当は何をやりたいのか、自問自答する日々を得てそんな初心を思い出す。
本当にやりたいことを見つけられた、そんな気がした。
東京での一人暮らしはそういいものではない。
最初はめまぐるしく動く街の姿に目を輝かせていたのだけれど一年すれば街すらグレーに染まる。
当然音楽一本で生きていけるほど世間は甘くないのでコンビニバイトと音楽活動の二束の草鞋を履くことになった。
朝早くからコンビニで働き、空いた時間で作曲、動画投稿サイトに音楽投稿、路上ライブという忙しい日々が続く。
ジャンルという名の庇護を受けることがないオリジナル楽曲動画の再生数はクッキー☆音MADの再生数と比べると
雲泥の差で見るたびに俺はため息を一つ二つとつく。
今までが異常だったのだ、これが俺のありのままの姿であり実力。そう思わざるを得なかった。
下北沢での路上ライブも結果は芳しくなく、聞いてくれる酔狂な人物は例外を除いてランダムな数人しかいない。
例外、そう、例外の話。 ここ最近俺に固定ファンがついた。
一人の男性が俺の曲を気に入り話しかけてくれたのだ。
「あなたの曲をもっと聞きたいです」と。
俺は売り込み用の名刺をその男性に渡す、それにはアーティスト名と動画投稿サイトでのマイページと俺のメルアドが記してある。
その男性とは何回か路上ライブをくりかえす内にチマチマと言葉を交わすようになった。
「あの映画のあのシーンが特に好きで……」
「ああ、あの映画なら友人におすすめされて見たことがあります、面白いですよね。あのシーン俺も好きです」
あの人が薦めてくれた感慨深い映画を語る。不思議なことに好きなシーンまであの人と一緒で顔には出さないが少し驚いた。
そういえば東京近郊に住んでるとか言ってたな……
もしやという疑問が頭に浮かんだが問いただす気にはなれなかった。
「主張は作品で語ってなんぼだよ」
そうですね。そうすることにします。
「これまで聞いてくれてありがとうございます、次は昨日できたばかりの新曲『午後8時、面会室で』です」
面会室、その言葉を口に出した瞬間その男性は目を丸くした。
『午後8時、面会室で』は3分のインストの中に俺の今までの想いを詰め込んだ爆弾みたいな曲だ。
それが聴いてくれる人に伝わるのか伝わらないのかは別にどうでもいい! 作品ってそういう物だろ?
ギターをかき鳴らす、3分を永遠に感じる。
最後のフレーズを鳴らし終え曲が終わる。パチパチパチというまばらな拍手が最初に聞こえた。
しかし、ワンテンポ遅れて例の男性が感極まった顔で手を叩く音が聞こえた。
ライブの終了を告げる、申し訳程度に置いてあるおひねり置きに一枚の丸めたメモが置かれていた。あの男のものだ。
家に帰る途中で中身を確認する。そのメモにはyoutubeのアドレスが一つだけ。
慌ててスマホにURLを打ち込む。そこにはこう書かれていた。
【HD版】魔理沙とアリスの自己矛盾☆
なるほど、あの人らしい告白だ。
終わり
イメソン くるり 東京
BUMP リリィ
スピッツ 魔法のコトバ
プロット
クッキー☆をやめ自分の好きなオリジナルの音楽で食って行こうとするしりり ギターを持ち出して単身東京へ
路上ライブで少ない客から貰うおひねりや交流の他にはバイトで食いつなぐ日々
ある日常連客の1人と映画の話で盛り上がる、好きな映画の好きなシーンが自己矛盾兄貴と被る もしかして、と思うも口に出せないでいた
しりりがタイトルに面会室を入れた曲を作っておじちゃん含む客に聞かせておじちゃんだけがその魔法の言葉の意味をわかる
それを聞いたおじちゃんがおひねりにメモを混ぜてメモに書いてあるとこにアクセスしたら自己矛盾☆のHD版動画が流れる 爽やかな感じでおわり
ほんへ
東京で一人暮らしをして約一年が過ぎた。
宛先のない手紙を書くようにタバコを吸いながら俺はくるくると振り返る。
思えばだいぶ前のこと、まあ端的に言えば岡山に居られなくなったのだ。
クッキー☆の前に居たジャンルで相当な無茶をした因果が祟り、愛するそれから離れざるを得ない結果になってしまった。
因果応報といえばそれまでだが、だが……
今までのクッキー☆で得た全てのものについて巡らせる。
タバコの灰が携帯灰皿にぽとりと落ちた。
地位。これは別にどうでもいい。名誉。これも割とどうでもいい。再生数。コメント。マイリス。これはある程度欲しい所だ。友人。そう友人だ。
あの人を、置き去りにしてしまった。
別れ際の通話は今でも鮮明に海馬から引き出すことができる
「あなたが居なくなったら、誰を嫉妬して生きていけばいいんですか」
ああ、今思い出しても女々しいの一言につきる! あの人はたまにそういうところがあるから困る。
別に俺1人が界隈から消えたところで世界は何事もなく回っていくのだろうしまた新しい嫉妬先を見つけることだってできるだろう。
そう言ってあっさりと別れた、未練をこれ以上残さぬよう、残されぬように。
実際新しい嫉妬先をあの人が見つけられたのかはわからない。俺はクッキー☆を辞めた。
住み慣れた岡山から離れたのは特定から逃れるためもあるが一つの考えを実行に移す為でもある。
二次創作ではないオリジナルの音楽で生きていこうと決めたのだ。
それは始めのころにぼんやりと思い描いていた夢物語で、いつしかそれは二次創作というものに塗りつぶされていってしまったのだけれど。
俺が本当は何をやりたいのか、自問自答する日々を得てそんな初心を思い出す。
本当にやりたいことを見つけられた、そんな気がした。
東京での一人暮らしはそういいものではない。
最初はめまぐるしく動く街の姿に目を輝かせていたのだけれど一年すれば街すらグレーに染まる。
当然音楽一本で生きていけるほど世間は甘くないのでコンビニバイトと音楽活動の二束の草鞋を履くことになった。
朝早くからコンビニで働き、空いた時間で作曲、動画投稿サイトに音楽投稿、路上ライブという忙しい日々が続く。
ジャンルという名の庇護を受けることがないオリジナル楽曲動画の再生数はクッキー☆音MADの再生数と比べると
雲泥の差で見るたびに俺はため息を一つ二つとつく。
今までが異常だったのだ、これが俺のありのままの姿であり実力。そう思わざるを得なかった。
下北沢での路上ライブも結果は芳しくなく、聞いてくれる酔狂な人物は例外を除いてランダムな数人しかいない。
例外、そう、例外の話。 ここ最近俺に固定ファンがついた。
一人の男性が俺の曲を気に入り話しかけてくれたのだ。
「あなたの曲をもっと聞きたいです」と。
俺は売り込み用の名刺をその男性に渡す、それにはアーティスト名と動画投稿サイトでのマイページと俺のメルアドが記してある。
その男性とは何回か路上ライブをくりかえす内にチマチマと言葉を交わすようになった。
「あの映画のあのシーンが特に好きで……」
「ああ、あの映画なら友人におすすめされて見たことがあります、面白いですよね。あのシーン俺も好きです」
あの人が薦めてくれた感慨深い映画を語る。不思議なことに好きなシーンまであの人と一緒で顔には出さないが少し驚いた。
そういえば東京近郊に住んでるとか言ってたな……
もしやという疑問が頭に浮かんだが問いただす気にはなれなかった。
「主張は作品で語ってなんぼだよ」
そうですね。そうすることにします。
「これまで聞いてくれてありがとうございます、次は昨日できたばかりの新曲『午後8時、面会室で』です」
面会室、その言葉を口に出した瞬間その男性は目を丸くした。
『午後8時、面会室で』は3分のインストの中に俺の今までの想いを詰め込んだ爆弾みたいな曲だ。
それが聴いてくれる人に伝わるのか伝わらないのかは別にどうでもいい! 作品ってそういう物だろ?
ギターをかき鳴らす、3分を永遠に感じる。
最後のフレーズを鳴らし終え曲が終わる。パチパチパチというまばらな拍手が最初に聞こえた。
しかし、ワンテンポ遅れて例の男性が感極まった顔で手を叩く音が聞こえた。
ライブの終了を告げる、申し訳程度に置いてあるおひねり置きに一枚の丸めたメモが置かれていた。あの男のものだ。
家に帰る途中で中身を確認する。そのメモにはyoutubeのアドレスが一つだけ。
慌ててスマホにURLを打ち込む。そこにはこう書かれていた。
【HD版】魔理沙とアリスの自己矛盾☆
なるほど、あの人らしい告白だ。
終わり
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