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執着心を、捨てる。モノがあってもしあわせに生きる
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執着心を、捨てる。モノがあってもしあわせに生きる

2016-04-05 23:00
    最近よく聞く「ミニマリズム」という言葉。

    がらんとした部屋に置いてあるのは最小限の家具。クローゼットには10枚ほどの洋服に、何も置いていないキッチン。そんな部屋をイメージするかもしれません。

    ミニマリズムというムーヴメント

    ミニマリズムは、「モノは所有しすぎると、モノの価値で自分自身を定義付けてしまうので、モノを手放そう」というムーヴメント。家に置くのは本当に必要で自分の好きなモノだけにとどめ、シンプルでモノのない暮らしを通して自由を得る、という考えに基づいています。

    アメリカではミニマリズムムーヴメントは既に大きくなってきていて、今年の5月には 『Minimalism』というドキュメンタリー映画が、全米400以上の劇場で公開される予定。

    映画の原作となった本『Everything that Remains』の著者で、アメリカのミニマリストを代表するジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデムスは、ミニマリズムを

    "Minimalism is a tool to rid yourself of life's excess in favor of focusing on what's important - so you can find happiness, fulfillment, and freedom."

    「ミニマリズムは幸せ、満足感、自由を得るために、重要なことに焦点を置くことを大事にし、人生の無駄を省くツールです」

    定義付けています

    日本では、『ぼくたちにもう、モノは必要ない』で本がベストセラーの作家佐々木典士さんや、『なんにもない部屋の暮らし方』という本を書いた漫画家のゆるりまいさんがミニマリズムを提唱していて、彼らの部屋には本当に、モノがありません。

    少ない方が、しあわせ。より自分を見つめることができる。"less is more"(少ない方が、豊か)をスローガンとしたミニマリズムは、すでにブームになっているといえるでしょう。

    もちろん、それはひとつの生き方として魅力的。

    でも、「モノを持たない」ことそのものに執着し始めとしたら、目的がずれてきてしまいます。

    "モノがないこと"に執着してない?

    ミニマリズムやシンプルライフ提唱する人に共通しているのは、元々ものすごい量のモノを所有していた人たちだということ。高級な車や、大きな豪邸、大量のCDや本を所有することで自己満足感を得ていました。その体験を経て、自分自身がアイデンティティをモノに委ねていることに嫌気がさし、ミニマリストになっていったのです。

    モノをたくさん捨てると、たしかに気持ちはすっきりします。でも、モノがない状態を維持することに執着し始めたら、別の苦しみを生み出します。そうなると、たくさんモノがあったときの気持ちとあまり変わらず、本末転倒になります。

    モノの量は、自分の感覚に合ったものさしで決めると、ちょうどいいのではないでしょうか。

    たとえば、もう読み終わった本は手放して、読みたい本は図書館で借りるというのはひとつのライフスタイル。本はすべて電子書籍で読むというのも、ひとつのライフスタイル。私にとって、本は喜びをくれるものなので、本を沢山持っています。ページを自分の手でめくる感触が好きだし、読みたい本は本屋で見つけてすぐ読むことが多いので、本は所有してもいいものと割り切っています。そして、持っている本は何度も読み返すことがあるので、本はあまり捨てません。

    10着以上持っているフランス人もいる

    先日洋服を、あるお店へ買いに行ったときのこと。

    フランスのブランドだったのですが、店員さんと

    「ここの服はデザイン性が高いのでコーディネイトがいっぱいできて長く着られそうでいいですね。さすがフランス人は10着しか服を持たないとか言いますものね」

    と話していたら、おもしろいことを言われました。

    「フランス人は10着しか服を持ってないなんて、嘘ですよ。私、パリに研修行ったときに見ましたが、フランス人は服をいっぱい持ってるし、新しい服も買っては捨てています」

    と。

    ミニマリストは、持っているたくさんの洋服を捨てて、「高くても、すごく質のいいお気に入りをひとつ」買うことにもこだわります。その服さえあれば、安い服をたくさん買わなくて済むし何年も着られる。スティーブ・ジョブズのように繰り返し同じ服をきていても平気、という前提で。

    でも、そのお気に入りの洋服も、所詮モノ。いずれ飽きがくるかどうかは、誰にもわかりません。

    実際そんな気持ちでプラダのバッグを5年前に買ったことがありました。が、なんとなく今はあまり使っていません。買ったときは、素敵! と感じたのですが、その後もっと安くて質のいい、お気に入りのLongchampのバッグが見つかったからです。そのバッグは、1年のうちに使っていない日が10日ほどというくらい、使っています。かといって、プラダのバッグを捨てたいと思いません。それも好きだからです。

    ファッションが好きな人は、新しい靴や服を買うと、とてもテンションがあがります。また、恋をすると、きれいになりたいという気持ちも高まり、新しい服を買いたいと思うし、新しいリップを買ってかわいい髪型にしたい、と感じます。それはそれで素敵なこと。

    無理をしている、と感じたら執着かも

    なにを買うか、何を所有するかは、自分のライフスタイルを基準にして、決めればいいのではないでしょうか。

    ミニマリストの生き方が素敵だと思っても、無理をしていると感じたら、それは自分のライフスタイルとあまり合っていないということ。

    モノが家にあったとしても、片付いた状態を保つのは可能。そして、心を澄ました状態でいるかどうかは自分の次第。モノがないという生き方に自分を当てはめる必要はありません。

    「ほどほど」であれば、なんでもかんでも無理して捨てることないし、増やさないという厳しいルールもいらない。心さえシンプルであれば、モノがある人生を肯定することができるはず。

    image via shutterstock



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    RSSブログ情報:http://www.glitty.jp/2016/04/053714minimalist.html
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