アメリカ大統領選挙からもう一週間経ちますが、ドナルド・トランプ大統領誕生のショックはまだまだ続いています。
一部のトランプ支持者は、差別的行動に対してお墨付きを受けたかのようにヘイトスピーチを激化させています。
一方でトランプの大統領就任に対する抗議活動もあちこちで起きていて、けが人や逮捕者まで出ています。
安全ピンを身につけることで意思表示でもそんな激しい形ではなく、もっとさりげない意思表示方法も広がっています。
それが、安全ピンを身に着けること。
野放しの差別感情を恐れているマイノリティの人たちに、「自分は安全ですよ」と示す意図があります。
Today... and until people I know and love can feel safe again #safetypin pic.twitter.com/c7jphNYhQf
-- BeTheChange (@honoraye) 2016年11月11日
TwitterやInstagramを見ると、「#safetypin」のハッシュタグで、安全ピンを身に着けた画像がたくさん出てきます。
多様なマイノリティへのメッセージDeborah Whitakerさん(@deborah.whitaker.33)が投稿した写真 - 2016 11月 14 10:30午前 PST
ひとくちに「マイノリティ」といっても、そこにはさまざまな人が含まれます。
まず、他人事のように書いていますが、トランプにとっては女性も差別対象です。
また、トランプはイスラム教徒や外国からの移民、LGBTコミュニティ、障がい者など、健康な白人男性以外のほとんどの人に、何かしら矛先を向けてきました。
そんな人物が大統領に選ばれたことで、差別意識の強い層が公然と差別的行動や嫌がらせをするようになっています。
そうした被害を受けている人、これから被害を受けるのではないかと不安に感じている人に対して「私は安全な存在ですよ」と意思表示するのが安全ピンなんです。
始まりはTwitterだったこの安全ピン、元々はイギリスのEU離脱の国民投票、いわゆる「Brexit」後に、Allisonと名乗るTwitterユーザーの女性が始めた運動でした。
彼女はCNNに対し、その意図をこう語っていました。
「ヒジャブを着けた女性がバスに乗って、空席を見つけたとします。空席の隣には、安全ピンを着けた人が座っています。そうすればその女性は、その人が彼女に手出しをしないことがわかるんです」
Ready to be your #SafetyPin on the bus,in streets,wherever you are,my fellow foreign-born friends ❤️#LoveOverFear pic.twitter.com/4wqzMCHs2N
-- Dancing Psychiatrist (@Lollindialogue) 2016年6月29日
安全ピンは、そんな日常の風景から考えだされたものだったんです。
日本には関係ない?日本でこういうことを実践すると「日本には関係ないのに」「海外のマネ、かっこつけ」などなどと批判する人が必ず現れますが、共感した人はぜひ思い切ってやってみてほしいです。
日本には関係ない、本当にそうなんでしょうか?
日本でももう長年、ヘイトスピーチが問題になっているし、たとえば公共の場での妊婦さんや子ども連れに対する批判も、もはや一種のヘイトになっている気がします。
LGBTは問題にもならないほど、「普通」からかけ離れたものとして扱われています。
海外の安全ピンブームは、日本のなかの分断に気づき、それを埋める良い機会にできるかもしれません。
[The Cut]
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