女流落語家・立川こはるさんへのインタビューを通して、いまブームと言われている落語の魅力を紹介する連載。今回は恋のお話です。
いつの世も、男と女は変わらないこれまでに落語を聴いたことがないというひとは、「江戸時代を舞台にしたストーリーに自分を投影できない」という気持ちがあるのかもしれません。でも、落語はただの昔話ではなく、現代に生きる女性でも共感できるポイントがたくさん。
そのひとつが、こはるさんに「なんであんなやつと一緒になったんだい? だって寒いんだもん」という有名な小話を教えてもらったときでした。一緒になった理由を聞かれた女性が、「だって寒いんだもん」とシンプルな理由で答えたというシーンです。
「いろいろ頭の中でごちゃごちゃ考えてしまうと、恋愛しづらいですよね。わたしも30歳を過ぎてから、自分の仕事や相手の親のことを考えたりすると、面倒くさい...って気持ちがあるんです(笑)」
テレビドラマには、『101回目のプロポーズ』の「僕は死にません。あなたが好きだから」や『あすなろ白書』の「俺じゃ、だめか」など、名ゼリフが多数。じつは落語にも、そうした名セリフがあるのです。
「いまは、なんでもマウンティングし過ぎる世界なんですよね。自分もそこに組み込まれて、上に行かなきゃいけないって思っている。だけど、落語に出てくる人たちはみんな自由で、嫌なものは嫌だと自分の感情に素直に生きているんです。実際にいたらダメな人たちですけど、こういうことを言ってくれたらスカッとするなっていうのは、落語の聴き方として大きいと思います」
テレビドラマや映画と同じで、落語の登場人物たちも自分の気持ちを代弁してくれる存在。ただちょっと特殊なのは、男性がつくり、男性が演じる点にあるのですが...。
落語に出てくるダメ男たちドラマやマンガは、脚本家やマンガ家が女性で、同性に向けて書かれた内容も多いので、共感もしやすい。
では、落語における恋愛モノはどうなのかというと、有名な『子別れ』や『芝浜』などに出てくるおかみさんは、なぜそんなダメ亭主を思いやるのか分からないほど、いい人の設定だったりします。
「落語に出てくる女性は、男の人が理想とする、甘やかしてくれる女性像なのかな。わたしは、よっぽどのダメ男好きなんだろうと捉えています(笑)」
と、こはるさん。
でも、そうした登場人物だって、現代に置き換えみれば意外と腑に落ちるもの。「なんでそんな男と付き合っているの?」「別れればいいのに」――「でも、やっぱり好きなの」とか、とか。
色恋を扱った落語ネタは、いわば恋愛コラム。
ちょっと乱暴な定義付けですが、そう思って聴いてみると、意外と悩みを解決する策が見つかるかもしれません。
開催日時:2017年01月25日(水)19:00開演
場所:横浜にぎわい座・のげシャーレ
木戸銭:1,500円
写真/出川光 取材・文/D.O.B
こちらも読まれています・心理カウンセラーに聞いたこれからの女子力 #sponsored
【参照サイト・画像・動画へのアクセスはこちら】