別に恋愛第一主義! というわけではないし、ショックのあまりに仕事が手につかないというわけでもない。
それでもやっぱり一緒に過ごしてきた人との別れは寂しい。
そんな心を癒しに向かったのは、初夏の京都。
長い歴史を誇る貴船神社。水占いの結果は...初夏の京都を満喫するために使ったのが、JR東海が提案している旅行プラン「京都 青もみじ・御朱印めぐり」。
オリジナル特典として「バス&えいでん 鞍馬・貴船日帰りきっぷ」がついてきたので、せっかくだからと、貴船神社へ行ってみることにした。
鴨川の水源地にあたる場所に建っている貴船神社。創建されたのは約1,300年以上も前のこと。本宮(ほんぐう)、結社(ゆいのやしろ)、奥宮(おくみや)の3つから成り立っている。
入り口でお迎えしてくれるのは、さわやかな青もみじたち。
朱色の灯篭が並ぶ階段を登っていくと、水の神様・高龗神(たかおかみのかみ)が祀られている本宮が目に飛び込んでくる。
まるで水の神様が示しあわせたように、本宮に到着した途端に雨が止んだ。雨上がりの澄んだ空気のなかで、青もみじがより鮮やかに映える。
本宮社殿前にあるのは、貴船山からこんこんと湧き出る御神水の池。
ここでは、水占いをすることができる。自分が選んだ水占いを池に浮かべると、恋愛、出産、病気などの運勢が浮き出てくる、というもの。
何も書かれていなかった紙に文字が浮き出てくるなんて、なんだか幻想的。そして、乾くとまた文字が消えてしまうというところも儚くて素敵だ。
水占いの結果は、なんと大吉。恋愛は「思わず早くととのう 安心せよ」とのこと。恋愛はしばらくいいや...なんて考えていたけど、案外すぐに次の恋は始まるのかも。なんてね。
和泉式部も訪れたえんむすびの神様。絵馬に願いを込める本宮を後にして、次に向かったのは「中宮(なかみや)」と呼ばれている結社。ここには、えんむすびの神様・磐長姫命(いわながひめのみこと)が祀られている。
貴船神社宮司である高井和大(たかい・かずひろ)さんの話によれば、平安時代の女流歌人・和泉式部がこの中宮に参詣したところ、ほかの女性に心変わりしていた夫との関係が再び円満に戻ったのだそう。
いまでこそ歩きやすいように整備されているけど、当時はきっとただの山道だっただろうし、十分な灯りもなくて夜なんて真っ暗だったはず。
そんな険しい道を超えてでも夫の心を取り戻そうとしていたなんて...和泉式部の気持ちの強さが想像できた。
中宮では絵馬を書くことができる。
初夏にぴったりの青もみじの形をした絵馬もあったけど、私が選んだのは和泉式部が描かれた絵馬。
彼女のまわりにはホタルが飛んでいる。これは、和泉式部が貴船神社を参詣したときに詠んだ「もの思へば 沢の蛍も 我が身より あくがれいづる 魂かとぞ見る」という和歌がもとになったもの。
切ない恋心を秘めた彼女の絵の裏で、私はまだ見ぬ恋の相手とのしあわせを願った。
ただただ静か。東京での生活が遠い世界のことみたいに思えた最後に訪れたのは、航海の安全を守る船玉神(ふなだまのかみ)としての信仰も厚い高龗神(たかおかみのかみ)が祀られている奥宮。
青々とした緑のなかにひっそりと佇む奥宮本殿は、本宮や結社と比べて小さめな印象を受ける。それでも、貴船神社の始まりの地であるこの場所は、ただ立っているだけで神聖な気持ちにさせられた。
しっとりと湿気を帯びた空気。しずくがしたたる青々とした木々。そして、なによりも印象的なのが、都会の喧騒とは真逆と言っていいほどの静けさ。いつも騒がしい東京での生活が、遠い世界のことみたい。
自分をとり囲む自然たちをぼんやりと眺めていると、1,300年という年月からしてみたら、1回の失恋なんてどうってことないな、と思えてくる。
彼と別れて以来、理由はわからないままなんとなくモヤモヤしていたけど、だんだんと気分がすっきりしてきた。
失恋は寂しいことだけど、別にこれで人生が終わるわけじゃないし、自分がダメになるわけでもない。
なんだか気持ちがいっきに前を向いて、明日からもがんばれそうな気が湧いてきた。
撮影(トップ、2、3、4枚目)/内山めぐみ 取材・文/浦田昆
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