「とにかく結婚したい」と未婚バリキャリが言うときは、だいたい3つのパターンにわけられます。

仕事でめちゃくちゃ疲れている。

恋愛でめちゃくちゃ疲れている。

世間と親のプレッシャーでめちゃくちゃ疲れている。

だいたいは上記3つすべてフルコンボなわけです。

収入が安定しない女性が「結婚したい」という場合の多くは「収入の安定」が大きな理由ですが、自分のほかに、あとひとりかふたりは余裕で養える経済力を持つハイスペ女子には、この動機は当てはまりません。

彼女たちが疲れを感じるごとに「結婚したい」という理由のひとつは、「仕事をバリバリやっていたら、いき遅れの女になっていた」というレッテルを貼られることを恐れるから。

「男性より優秀だと結婚しづらいよ」と言われ続ける

「なんでそんなレッテルを恐れてるの? それって、未婚バリキャリ女性にそういう偏見を持っているからじゃないの?」と思うかもしれません。

たしかにその一面もあるでしょう。

しかし、彼女たちは未婚の段階ですでに、レッテルをばんばん貼られまくってきているからです。

このようなレッテル貼りをしてくるのは、まず年上男性、次いで年上女性。彼らは「君のためを思って言ってるんだよ」とアドバイスをしてくる体裁で、さまざまなポイズン言霊をぶん投げてきます。

「そんなに仕事詰めだと、男性に引かれるよ。家事や子育てができないと思われる」

「男性は自分よりできる女性は恋愛対象としては見られないんだ」

「女なのに、そんなに高学歴である必要ある?」

「男はプライドの生き物なんだ。だから相手より下に見せるのが賢い女ってもの」

「君はマインドが男なんだよなー。だから男と張り合ってしまう。でもそれだと結婚相手にはならないね」

彼らが言っていることはだいたい似通っていて「男性は自分より下に見れる女性が好き。でも君の学歴・キャリアは平均男性よりだいぶ優秀だ=下に見られる男性が少ない=結婚しづらい・できない」という論法です。

スルーし続けられず溜まっていく

これは、おそらくある程度のハイスペ女性なら数十回〜数百回は聞いた言葉だと思います。

「オー! なんたる昭和スメル! いまは泣く子も黙る21世紀! 寝言は寝て言え!」とスルーすればいいのですが、何十回も同じことを言われ続けると、人間は「そうなのかな?」と思い始めてしまいがち。

しかも、このようなことを言ってくるのはだいたい自分よりキャリアも人生経験もある年上の男女です。会社の上司や取引先の幹部、社会的地位が高い親族や両親に「こういうものだ」と言われると、「そうなのかな?」と思ってしまう女性は少なくありません。

私の場合、このようなうんコメントを投げてくる存在はハイスペモラハラ父&兄でした。

彼らの言うことを「はいはいハイスペハイスペ、モラハラモラハラ」とすべてスルーする訓練を10代〜20代前半にかけてみっちり積んだため、ほかの人に言われてもそこまでダメージを食らうことはありませんでしたが、モラハラ訓練を受けていないバリキャリ女性はスルーし続けることは、思いのほか難しいです。

「男性より優秀だから結婚しづらそう」と言われる。でも、結婚したい。

上記のような言葉を心のうちに溜めていき、アラサーあたりで思考のダークサイドに一気におちいりがちなのが、「親や先生の言うことを聞いてきた優等生」タイプ、「家族関係が破綻していない、安定したハイスペ父&専業主婦家庭育ち」タイプの女性です。

彼女たちは基本的に、年上の人たちのアドバイスを素直に受け入れるクセがついているため、親や上司から「女性はこういうものだ」と言われると、違和感を覚えても「そういうものなのかな」とまず受けとめようとします。

さらに、ここで恋愛がうまくいかなかったりすると「やっぱりいまの自分ではダメなんだ」「彼らの言うことはやっぱり正しいのかもしれない」と考えて、さまざまな「努力」をし始めます。

「キャリアダウンしたほうがいいのかなって思って。そうしたら会社名を言っても引かれることが少なくなるし、もっとひまを作って婚活したほうがいいのかも。働きすぎると結婚できなくなるの嫌だし。最近、体調を崩しがちだったから、ちょうどいい機会かと思って」

「付き合った人にはとにかく尽くして、家事も子育てもできることをアピールしなくちゃ。でもおかげでプライベートも激務だから寝れてないんだよね」

「昔は、『えー知らないー』って言う女子をバカにしてたんだけど、そういう子がさっさと結婚していくのを見ると、自分が間違ってたのかなって思って。だから最近、知ってることでも知らないふりをしてる」

まわりからの言葉は、アラサーになるとボディブローのように効いてくるので、少なくない数の女性が「だって結婚したいし」と言いながらこれまでの自分とは違った行動をし始めます。

向いているならいい。だが向いてないならやめろ

これまでと違う生きかたを模索する彼女たちの道は、二手に分かれます。

ひとつは、思ったよりもやってみたら向いていてストレスが軽減したタイプ。もうひとつは、向いておらずストレスが増大するタイプ。

前者はなにも問題ないですが、後者は「まわりはできているのに自分はできない」「恋愛に関しては劣等生」「やっぱり私は結婚できないかもしれない」とダークサイドまっしぐら。

私としては、「優秀な女は結婚しづらい」という言説への判断うんぬんよりも前に、「自分に向いている生きかたならとめないけど、向いていないならやめろ」と言いたいです。

多くのハイスペ女子は多かれ少なかれ「この日本ではハイスペ女子へのニーズなんてないのでは? 生きかたを変えなくてはならないのでは?」と悩むものですが、いろいろ見てきて思うのは「居場所による」ということです。

結局のところ「優秀な女は結婚しづらい」という言説の信憑性は、所属する集団によってだいぶ変わります。

古風な社風だったり業界だったりすれば、同世代の未婚男性も似た考えを持っていることが多いので、結果としてハイスペ女性の結婚難易度は上がります。

一方で、外資やテクノロジー業界など欧米寄りの考えを持つ人が集まる業界や集団に所属していれば、「優秀な女は結婚しづらい? へー! まわりには優秀な既婚女性だらけだけど?」で終わりです。

自分の生きかたとまわりの意見が違うなら、所属する集団を変えてみることをおすすめします。

「男性はこういうものだよ」という言葉は、「自分が所属する集団、自分が観測できる範囲内においては、男性にはこのような傾向があるよ」と言っているにすぎません。彼らが言う「男性」はスコープがだいぶ狭いのです。

会社の社風が自分と合わないならさっさと転職。親や親族など関係を断ち切りづらい場合はなるべく物理的距離をとる。このふたつをやるだけで、だいぶ生きやすくなります。

いちど自分の生きかたを見直してみたり、変えてみることは悪いとは思わないし、それで別の生きかたを見つけられるなら素晴らしいです。

ただ、ちょっと変えてみたけどやっぱり合わないのなら、自分がラクになる生きかたを選んだほうがいいと思います。まわりがどうこう言おうと、自分の人生を生きるのは自分だけです。

ならば自分がストレスフリーになる生きかたを優先するほうがずっとハッピーなはず。

優先すべきは、まわりの意見より自分の生きやすさ。そのためなら所属する集団や付き合う相手を変える。すぐに変えられない場合は、物理的距離をとる。メンタルの壁で総未読スルー。

この3つを徹底すると、だいぶ生きやすくなるものです。

撮影(トップ)/田所瑞穂 撮影(2、3、4、5枚目)/出川光 文/ぱぷりこ

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