「女としての魅力がないってわかってたけど、やっぱりつらい」
ときたま、このような相談をもらいます。
彼女たちはオクテだったり、職場が女性ばかりで男性との接点が少なかったり、仕事が忙しく恋愛に興味がなかったりと、なんらかの理由で恋愛経験があまりなく、アラサーになって「結婚したい」と思い立ち、婚活や恋活を始めています。
「私、男性からの需要がないんです」彼女たちが言う「男性からの需要がない」とはどういうことでしょうか。
「合コンや飲み会に行ってみたけど、男性からLINEを聞かれることなんてないし、あったとしても『またみんなで飲みましょうねー』っていう社交辞令で終わり。デートに誘われなくて、自分は男性からの需要がないってことを思い知ってつらい」
「バーに行けば出会えるって聞いたから行ってみたけど、誰からも声をかけられなかった。ナンパ街も行ってみたけど、やっぱり誰からも声をかけられなかったし...ナンパすらされないってことはやっぱり需要がないってことなんだよね...」
「これまで一度も男性から告白されたことがないんです。出会いを求めて飲み会に行ってみても、男性からとくに話しかけられるわけでもないし」
話を聞いてみると「出会いの場に行ってみたけれど、男性から声をかけられない」「連絡先を聞かれない」「デートに誘われない」「告白されたことがない」という意味で「男性からの需要がない」と言っていることが多い様子。
「やっぱりこんな地味な容姿じゃ誰からも相手にされないんですね」
「ブスだってわかってたけど、やっぱりダメだった」
「自分に自信がないから、どうしても積極的になれない」
さらにほぼ9割の確率で「女としての自信がない」「女としての魅力がない」という言葉が続きます。
私はナンパすらされない、需要のない女。でも、結婚したい。「結婚したがってる男性がいっぱいいる婚活パーティに行けば、女として見てもらえるのでは」
「バーに行けば、声をかけられるのでは」
「婚活アプリなら、20代の女なら申し込みが殺到するっていうし」
「さすがにナンパ街に行けばどうにかなるのでは」
彼女たちはこのような期待を胸に、勇気を振り絞って出会いの場に行ってはみるものの、期待していたようには声をかけられず、連絡先を聞かれず、デートに誘われず、告白されないので「やっぱり私は女としての魅力がないんだ」「男性からの需要がないんだ」「ナンパ街なのに誰からも声をかけられないなんて、それぐらいひどいんだ」と傷ついてしまう、というループにはまっています。
「待ってればアクションされる」という前提がずれている彼女たちは「出会いの場で声をかけられない」「連絡先を聞かれない」「口説かれない」=「女としての魅力がない」「男性からの需要がない」と判断していますが、いくつかの問題を混同しているように見えます。
まず、「待っていても何もなかった」=「自分には魅力がない」という展開の飛躍ぶりです。
彼女たちが語る「需要がない」は、だいたい「男性から何もアクションされない」という相手のアクションのみにフォーカスしており、自分がどう動いたか、自分の言動に対してどういう反応が返ってきたのか、という「コミュニケーションのやり取り」がまったく見えません。
ですが一般的にモテる女子は、相手を褒めたり、声をかけたり、誘ったり、相手に期待を持たせる言動をしてみたりと、自らも積極的に動き、「自分と相手のアクションの相互作用」をよく観察し、コントロールしています。
「男性からのアクション待ちです!」と地蔵のように「我不動なり」の精神を貫いても、「男女総受け身」の現代において、よほど若くて目立つかかわいいかでなければ、男性からどんどん声をかけられることなどあまりありません。
恋愛に限らず人間関係は「お互いに刺激を与えて応答しあうコミュニケーション」が基本です。
彼女たちは女性同士の会話なら普通にこなせるのですが、恋愛に関しては「女は受け身であるべき」という思い込み、「自信がないから自分から動きたくない」という恐怖、「男性から口説いてくるだろう」という期待から、男性と会った時に「待ち」の姿勢を貫きます。
「コミュニケーションへの参加度」が低いために関係がなかなか発展しないのですが、それを「自分には魅力がない」という自信のなさへ爆速でつなげてしまっています。
「男性からの需要=性的需要」でいいの?さらに言えば、彼女たちが言う「男性からの需要」は、「みずから女性にガツガツ声をかける、肉食男子からの需要」です。
とくにナンパスポットやバー、婚活アプリなど、チャラい出会いの場で声をかけられるのは「かわいい女」「若い女」「ヤレそうな女」です。
「ガツガツしてヤリたがりの男」から声をかけられたいなら、相応の格好や化粧をして容姿を磨くか、「ヤレそうな雰囲気」を出す必要があるのですが、彼女たちはそういったことをしていないし、そもそも「ガツガツ系の男とマッチングしたいのか」「ヤレそうと思われたいのか」という前提に立ち返る必要があります。
そこらへんを聞いてみるとほぼ100%「チャラい人なんか無理」「誠実なお付き合いがしたいです」「モテとか無理なので、自然体で付き合える人がいいです」というお答え。
なのに、自分が求めているわけでもない「ガツガツ系男子」からのモテ・性的需要がない=男性からの需要がない=女としての価値がない、と嘆いています。
「言いよってくる男の数=自分の価値」じゃない彼女たちが向き合うべき課題は、「女としての魅力がない」ことでも「男性からの需要がない」ことでもなく、「自分がどのような男性と付き合いたいか」「ターゲットとなる男性がいる出会いの場にちゃんと出向いているか」「自分からアクションを取っているか」という戦略がまるでないこと、「女の価値=男性から口説かれること」という価値観で自らを苦しめていることです。
当然ながら、一度もナンパされたことがなくても、バーで声をかけられなくても、告白されたことがなくても、幸せに恋愛して結婚している人はたくさんいます。
そういう女性たちは「言いよってくる男性の数=男性からの需要=自分の価値」とは考えていないからです。
「女としての価値」「女としての需要」として「男性からのアプローチ数」をKPIにしてしまうと、究極的には「なるべく告白してくる男の数を増やすためにモテ服とモテテクを駆使する」「とりあえずヤレそうな雰囲気を醸し出して数を稼ぐ」という方向に向かわざるをえません。
本当にそういう恋愛がしたいの? ってことです。
もし違うなら、「言いよってくる男の数=自分の価値」という考えはきっぱり捨てて、「自分が望むパートナーシップとは何か」を考えることにリソースを使う方がずっとコスパがいいし心もクリーンに保てます。
自信がないから怖い、自分から動きたくない、相手から行動してほしい、という気持ちはよくわかります。
でも、中途半端にひよって自分が望んでないことをして、成果が出ないからといって傷つき自信を失うなんて、無意味なダメダメループすぎます。
婚活や恋活においては、みんなが思っている以上に、自分の思い込みや「女はこうでなくてはならない」という「呪縛」が自分を傷つけていることがよくあります。
「私は男性からの需要がない」と悩むことがあったら「自分を傷つけているものは何か」を考えるために、いちど立ち止まってほしいと思います。
撮影/田所瑞穂
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