なんとこの映画、頭の中の「感情たち」が主人公というからビックリ! ピクサー長編アニメーション20周年を記念した作品で、監督は『モンスターズ・インク』のピート・ドクターが務めています。
もうひとりの主人公が、11歳の女の子・ライリー。彼女の頭の中には「ヨロコビ」「カナシミ」「ムカムカ」「イカリ」「ビビリ」という感情たちが住んでいます。ライリーの感情はこの5人にコントロールされているんです。
ある日、生まれ育ったミネソタから引っ越さなければならなくなったライリーは、心が不安定な状態に......。ついに涙があふれて止まらなくなってしまいます。
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■頭の中を冒険する独創的なストーリー
そのころ頭の中では、ヨロコビとカナシミが感情たちが住んでいる司令部の外へ放り出される事件が発生していました。迷子になった2人は、急いで司令部へ戻るべく走り回ります。
そこで出会ったのが、ライリーの成長過程でできた「性格の島」や「思い出保管場所」、そして幼い頃よく遊んだ「空想の友だち」。
感情をキャラクターにするという発想自体、かなりユニークですが、頭の内部を豊かな色彩で表現したアニメーションに、もうドキドキが止まりません。「頭の中の世界はこんなにも広いんだ!」という感動とともに、人間の心の複雑さ、奥深さに驚かされました。
私の頭の中はどうなっているのかな?なんて妄想も膨らみます。
■悲しい気持ちを表に出すのって大切
実は、ライリーが生まれたそのとき、司令部にいたのはヨロコビだけでした。成長するにつれ感情メンバーは増え、物語の始まる11歳の時点では、全部で5人になっています。
ヨロコビ以外は「負」の感情である点が興味深いところ。生きていると、喜びの感情が大きかったからこそ、余計に悲しくなるという経験に、いつか必ず出会います。
ライリーにとってミネソタは、家族や友だちと楽しい思い出をいっぱい作ってきた場所。だからこそ、突然の別れが悲しかったーー。「喜び」と「悲しみ」は切り離すことのできない感情でした。
必要なのは、素直な気持ちをママやパパに伝えることだったのです。
私自身、歳を重ねるほどに、気持ちを素直に表現するのが難しくなってきたように感じます。本当はムッとしてるのに気にしていない顔をしたり、不安を隠してポジティブなことだけ考えようと無理をしたり......。
感情に振り回されてはダメだけれど、無視するのもまた問題なんですよね。この映画を通して、心に生まれた感情を、そのまま認めて受けとめる大切さを教えられました。
■色んな感情があっていいし、色んな人がいていい
司令部では、いつも元気なヨロコビとは正反対に、暗くおとなしいカナシミはのけ者のように扱われ、居場所がありません。それではカナシミはいらない存在なのか、というとそれも違います。
イカリだって時には役に立つし、ムカムカもビビリも安全のために欠かせない。しかも皆それぞれに違った魅力があるんです。
これは感情たちに限らず、人間社会にも言えること。色んなタイプの人がいていいんだよ、というメッセージに、心がじんわり暖かくなりました。
またライリーだけでなく、ママやパパの頭の中にも注目! パパに幻滅したママの頭に元カレの記憶がふとよぎるとか、CMソングが頭から離れない、といった誰にでも「あるある」な現象が、感情目線でギャグ要素たっぷりに描かれています。
大人の女性が笑えて泣ける、ディズニー/ピクサー最新作。あなたの中に存在する感情にも、ほっと優しい光を当ててくれるかもしれません。
映画『インサイド・ヘッド』
公開情報:7月18日(土)全国ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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