仕事も趣味もあって、1人で生きられる能力があるし1人で生きている。でも結婚したい。そんな独身アラサー「東京でも結婚したい娘」の生態を観察する新連載「でも、結婚したい。」。

独身アラサー女子だらけだよ、東京

東京は「日本で最も独身アラサー女性 が多い都市」だそうです。総務省統計局「国勢調査」(2010年)によれば、東京に住む25~29歳女性の10人に7人、オーバー30歳(30~34 歳)は約2人に1人近くが未婚。これは全国平均と比べて高く、過去の調査と比べてもアラサー独身女子の割合はどんどん高くなっています。

実際、犬が東京を歩けば独身アラサー女子に当たるぐらい、独身アラサー女子は本当に多い。スタートアップでガンガン働いてストックオプションで稼いだあの子も、外資系企業の激務でホテルに缶詰になってもシャンパンを毎日開けているあの子も、シンガポールに赴任して現地の立ち上げを任されているあの子も、博士課程に進んで准教授のポストを見つけたあの子も、全員が独身です。

ひとりで楽しいよ、東京

なぜ東京にこんなに独身アラサー女子が集まるのか?

この問いを考えたとき、まず考えるのは就業率。就業率と未婚率には相関があるので、仕事が他の都市に比べて圧倒的に多い東京では、未婚率が高いと思われます。でもね、それだけじゃない気がする。もっとエモい理由がある気がする。

そんなことを考えていた時、2015年に雑誌「CREA」が出した「ひとり東京ガイド」を思い出しました。あれ、すごく売れて「京都版」まで出たのですよね。それだけ「東京×ひとり×女子」のニーズがあるということだと思う。この特集の見出しは「世界でいちばん面白い街」。たぶんこれがひとつの答えだと思います。

世界でいちばんかどうかは置いといて、東京生まれ東京育ち&飽き性の私がまだ飽きてないってことは、やっぱり面白いんでしょう。東京は古い建物と新しい建物が同居してるし、次々と面白そうなスポットやお店ができるし、ごはんは世界最高水準(いろいろな外国に旅行へ行ったけど、ベースクオリ ティの高さはやはり東京、尋常じゃない)。さらに日本中、世界中からいろいろな人が集まってくるから退屈しない。東京にいればたぶん死ぬまで退屈なんてしなくて済むだろうなーと思います。

「変」と言われないから楽だよ、東京

あと、もうひとつ大事だなと思うのが「適度に知り合いがいて楽しく、適度に異国」なところ。東京って、日本だけじゃなくて世界各地からいろいろな人が集まってくるから、いつも適度に「モブ」でいられるんですよね。私みたいに精神が引きこもりの人間は、この「まぎれこめる感」がすごくありがたい。

地方では、私みたいな「好きなお酒は定量分析と定性分析です☆効率厨☆データとファクトを出して☆ハイスペ男のモラハラ度をチェックチェック☆」みたいな、古き良き「日本女子」像を粉塵爆発させる女の生きる場所は見つけにくいでしょう。日本でよく見られる空気を読む文化や同調文化は私には合わなさすぎるので、「東京」で「外資系企業」というプチ異国だととても生きやすい。「ぱぷりこ」なんてふざけた名前とアイコンでインターネットで好きなことを書きまくり、本体の方は人が流動する東京の中に混ざっているぐらいがちょうどいいのです。

こういう女性は、東京にとても多いと思います。ちょっとずれてても、東京にはなんだかんだ居場所があるし、あとやっぱり独身アラサー女子がいっぱいいることは大きいですよね。「独身アラサー女子」が当たり前すぎるから、悪目立ちせずにちゃんと「モブ」として紛れ込める。


東京は楽しくてラク。でも結婚したい

そんな風に東京で一緒にサバイブしてる女友だちは、仕事と趣味と恋愛に全力でかっこいいし、全国平均年収をぶっちぎりで稼いでいるし、自分の意見や好みをはっきり持っていて、かつ自分と違う意見や文化にも寛容で、一緒にいて気持ちがいいです。

「男性に頼らないと生きていけない」なんてダサいから誰も言わない。皆が好きなことをして、面白い話を持ち寄って、ワイワイやっているから、全然さびしいと感じることがないし「あそこ行ってみない?」の一言で集まれるから超楽しい。

でも、誰かが「結婚したい」と言い出したらやばい。東京アラサー女子にとって「結婚したい」は「ぬこかわいい」「仕事辞めたい」「ハワイ行きたい」と同じ意味だけど、誰かが言い出すと、「だよねー」ってなってもう話が止まらない。

結局いつも答えは出なくて、終電がとっくに過ぎた頃「でも東京は楽だし、うちらひとりでも生きられるし」で落ちつかせるんだけど、いつもいつも「続きは次の飲み会で」を永遠にループ。でも「他の皆も同じだからいっか、まだ大丈夫」。

「でも結婚したい」と独身女子たちが語りあうモチベーションは「仲間がいる安心と共感」です。

「東京でも結婚したい娘」には3つのタイプがいる

アラサー女子たちは「自分は結婚したい」「友だちも自分と同じ」と思っています。だから「皆同じ!」って安心もできるのです、が!実のところ、彼女たちのスタンスは同じようで違っています。周りを見ていて、「独身アラサー女子」にはざっくり分けて6つのタイプがいます。

1.いま結婚したい意思があり、行動している → 婚活女子

2.いま結婚したい意思はあるが、行動していない → 独身女子=でも結婚したい女子

3.今ではなくいつかは結婚したいが、他に優先すべきことがあるので「今は行動しない」という選択をしている → 独身女子

4.今ではなくいつかは結婚したいが、計画がなく、行動もしていない → 独身女子=でも結婚したい女子

5.結婚したいかどうかがわからないし、行動もしていない → 独身女子=でも結婚したい女子

6.結婚するつもりはない → 独身女子

一言で「独身アラサー女子」といっても、人によって結婚の重要性、緊急性、行動、意思表明がかなり違っています。この中で1、3、6は意思決定をしているし行動もしているので分かりやすい。やっかいなのが、2、4、5で、結婚への意思と行動が少ない割に「結婚への憧れ」がある場合。こういう女子が「東京でも結婚したい娘」に進化していくわけです。

「結婚したい」と言い続けられる、優しくて残酷なワンダーランド、東京

東京は楽しく忙しく、アラサー独身女子を受け入れていくれる。仲間もいっぱいいるし、安心感もある。刺激的で飽きないし「結婚したい」を忘れられる時もある。でもこの刺激は残酷だから「結婚したい」を刺激することもあるんですよね。

優しいけれど、残酷。飽きないけれど、時が進まない。「結婚したい」から抜け出せない。独身アラサー女子にとって東京は、アリスインワンダーラインドみたいな場所です。だから東京の独身アラサー女子は楽しそうだけど、時々つらそうに見えるんじゃないんでしょうか。

この連載では、サバイブ能力の高いアラサー独身女子 in TOKYOの「楽しい!でも結婚したい」を集めて紹介していきます。

撮影/出川光



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