「歩きスマホは何罪か -Pokemon GOの配信を契機に-」
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「歩きスマホは何罪か -Pokemon GOの配信を契機に-」

2016-07-22 14:13
  • 66

※読む前の諸注意※

本記事に使用している条文や解説内容は本記事投稿時点でのものであり、今後の法律改正や判例変更などによって変わる可能性があります。また、内容は慎重に作成しておりますが、本記事の作者は学問の徒であり、間違っている可能性もあります。


論文の練習も兼ねて第5節以外割と真面目に書いてみました。なんや難しそうやな!って人は「1.はじめに」「4.検討」「5.おわりに」そして「注」も読んでみてください。本文を真面目に書いた分、注で遊んでます。


※2016年7月23日:「注」の一部に追記
     7月25日:コメントを一気に返しました。
         短いコメントなど、返しにくいものに関しては申し訳ありませんが、
         返答しておりません。



歩きスマホは何罪か

-Pokémon GOの配信を契機に-


1はじめに

2刑法犯の構造

(1)犯罪成立のプロセス

(2)故意・過失について

3歩きスマホの現状

(1)歩きスマホの危険性

(2)罰則規定の不存在

4検討

5おわりに


あとがき




1.はじめに

 2016年7月6日、米国、豪州、ニュージーランドの3か国にて、株式会社任天堂1)、株式会社ポケモン2)、そしてNiantic Inc.3)の3社が共同で開発を行った「Pokémon GO4)」というスマートフォン向けアプリケーションの配信が開始された。このアプリケーションは、1996年に発売された「ポケットモンスター5)(以下、ポケモン)」という全世界に愛される日本発のゲームの派生作品であり、配信が開始された国々において大反響を生み、ポケモンという作品がユーザーに愛されていることが改めて明らかになった。しかしながら、「Pokémon GO」は大反響と同時に、現代社会において問題となっているいわゆる「歩きスマホ問題」について日本国内での配信を前にその懸念を高めることとなった。(※本稿執筆中、2016年7月22日の午前中に「PokemonGO」が配信された。第3節までは配信前に執筆したものであり、第4節からは配信後に書かれたものとなる。配信後であろうと本稿の意義はあると考え投稿している。)

 「歩きスマホ」とは、名称の通り歩きながらスマートフォンを見たり操作する行為であり、操作時には視野が通常時の20分の1程度になるといわれている6)。操作している本人の転倒や他人への接触による事故などが絶えず、日本だけではなく世界においても社会問題として認識されている。「歩きスマホ」に関しては第3節において詳しく述べるためここでは割愛させていただく。

 「Pokémon GO」というアプリケーションは、現実世界を舞台としているため、実際の世界地図と連携しており、スマートフォンの画面上には自分が立っている周辺の地図が表示される。この地図上にポケモンが出現するようになっており、ユーザーは現れたポケモンを捕獲し、育成し、ジム7)に挑戦し戦いを繰り広げていくというゲームである。また、ゲーム内には「ポケストップ」と呼ばれる特定のポイントがあり、そのポイントへ足を運ぶことによって様々なゲーム内アイテムを入手することができる。その他にも、ポケモンが30分間出現しやすくなる「ルアーモジュール」と呼ばれるゲーム内課金8)アイテムが存在しており、このアイテムを使用して集客を狙う店が続出している9)。「ポケストップ」のポイントは名所旧跡や有名なモニュメントなどに設定されており10)、また、「ルアーモジュール」などのアイテム効果により、現実社会においては観光地への観光客の増加やアイテムを用いた集客などによる経済効果が見込めることだろう。

しかし、このアプリケーションは、スマートフォンの画面上にポケモンが現れるため、日本国内では配信を前に「歩きスマホ」を助長させるのではないかと言われており、現に先行配信が行われた国々では、ユーザーの1人である女性キャスターが「Pokémon GO」に夢中になり生放送に乱入するといった珍事件11)や、「ルアーモジュール」を利用し、ポケモンの捕獲のために集まってきたユーザーを狙う強盗事件12)などの大きな事件に隠れてはいるが、「歩きスマホ」による事故が多発していることが明らかとなっている13)

開発元である株式会社任天堂らは、スマートフォンの画面を見続けなくてもいいように、ポケモンを発見した場合にスマートフォンが振動する機能や、「Pokémon GO Plus」といった同じくスマートフォンを注視しなくてもゲームが楽しめる製品を開発し、販売を予定している14)ことから、「歩きスマホ」対策を講じていることが伺える

本稿の目的は、「Pokémon GO」の配信をきっかけに、配信以前より社会問題となっていた「歩きスマホ」行為の危険性から、該当するおそれのある犯罪を取り上げ、それについて検討を行い、「歩きスマホ」の危険性を改めて周知すると共に、読んで頂いた読者の方々が知らず知らずのうちに犯罪の加害者となることのないように知識を提供することである。よって、通説判例の立場から述べ、学説の争いなどに関しては特に触れないものとする。また、筆者はポケモンが好きであり、「Pokémon GO」にも期待している1人である。前述したように開発元は「歩きスマホ」行為防止のための機能の実装を行っており、「Pokémon GO」アプリケーション自体は本稿を執筆するきっかけになったにすぎず、批判する目的ではないことを示しておきたい。



2.刑法犯の構造

 (1)犯罪成立のプロセス

 「歩きスマホ」行為はどういった犯罪にあたるのだろうか。その事を検討していく前に、犯罪はどういった際に成立するのかをまず明らかにしておく。

 犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で、有責な行為」と一般に定義されている15)。これらの用語を解説すると、「構成要件」とは、法律に規定された行為の類型のことを指し、例えば、「人を殺す」行為について、刑法199条殺人罪であれば条文に「人を殺した者は」と規定されている。殺人罪と傷害致死罪、過失致死罪も結果的には人を死に至らしめているが、殺人罪においては「殺意」を必要とするため「殺意を持って人を殺したという」行為が、傷害致死罪においては「殺意はなかったが、傷害の故意の結果人を死に至らしめたという」行為、過失致死罪においては「殺意も傷害の故意もなく、過失によって人を死に至らしめた」行為が各々の条文の「構成要件」に「該当」することになる。この構成要件に該当した行為には、違法であると推定される機能(違法推定機能)が存在し、法律に規定された禁止行為を行った者は、違法な行為を行ったとされるのである。しかしながら、全ての行為が「違法」とされることではないのは読者の方々もご存じの通りであろう。刑法には「違法性阻却事由」という、犯罪の成立を妨げる条文が存在し、それらは刑法35条から37条に規定されており、他にも「超法規的違法性阻却事由」と呼ばれる刑法上に規定はないものの、違法性を阻却する考え方が存在する。前者はそれぞれ、医者の手術は外形上「傷害」ではあるが、正当な業務行為であれば違法性が阻却されるといった刑法35条「正当行為」、突然の犯罪に対して防衛するためにやむを得ず自身も犯罪行為を行うといった刑法36条「正当防衛」、天災や事故などの危機から避けるためにやむを得ず犯罪行為を行うといった刑法37条「緊急避難」というものがあり、後者には、過去の侵害行為に対して、警察などの救済を待っていては侵害の回復が困難となる場合の「自救行為」、法律の存在によって保護される利益(保護法益)の侵害が極僅かであった等、刑罰を与えるための根拠が乏しい場合の「可罰的違法性」といったもの等が存在する。可罰的違法性についてはいわゆる一厘事件16)をきっかけに、いくつか可罰的違法性の理論に則って判断されたと考えられる判例が数は少ないが存在する。

続けて「有責」という言葉についてであるが、これは犯罪が成立するためには、行われた行為に対して「非難」することができなければならないということであり、「非難」又は「非難の可能性」がない場合は犯罪が成立しないということである。人間は自分の行為に対して、その状況に合わせて多数の選択肢の中からどういった行為を行うか、判断し選択することで実際に行動に移す。この選択肢の中から、他の行為を選択することができたのにも関わらず、あえて違法な行為を行ったからこそ「非難」を行うことができ、刑罰を科すことができるわけである。よって、例えば選択肢が違法行為しか存在しない時には、他行為可能性が無いために、「責任」がないと判断され、犯罪は不成立となるのである。この「有責」の部分にも、有責性推定機能というものが存在する。「責任」がないものであると判断される規定は、刑法上には39条と41条に規定されており、精神疾患や飲酒による病的酩酊状態17)によって行為の是非善悪の判断ができず、またそれに従って行動する能力を欠く場合の「心神喪失」、同じく、14歳未満の少年は、幼いがために行為の是非善悪が判断できず、それに従って行動する能力を欠くとみなされる「刑事未成年」が存在する。刑事未成年に関しては、人格形成が発展途上であることから、刑罰を科すよりも保護処分を行う方が良いだろうといった政策的配慮であるといった観点も存在する。これら法文上に規定されているものを「有責性阻却事由」といい、違法性と同じく有責性に関しても「超法規的有責性阻却事由」というものが存在する。これには、行為者に適法行為を期待できなかった場合の「期待可能性」等が存在する。

このように、犯罪とは、構成要件に該当した行為が、違法であり、行為者を非難することができる場合に成立するのである。


(2)故意・過失について

 人間が行為を行う際の考え方として、「故意」「過失」「不可抗力」というものが考えられる。この「故意」「過失」というものが刑法上犯罪として扱われるものとなる。

 刑法38条1項には、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」とあり、犯罪は原則的には「故意」であることが伺える。しかし、人の生命や身体など重要な利益に対しては、不注意によって結果を惹き起こしたことにつき、例外的に法律に規定することで処罰しているのである。ここに規定されている「罪を犯す意思」が故意であり、「法律に特別の規定がある場合」が、例えば、刑法209条過失傷害であれば条文に「過失により人を傷害した者は」とあり、これが文字通り過失を意味しているのである。

 では、「故意」とは具体的にどういったものであろうか。刑法の解釈論上、「故意」とは、犯罪事実を認識し、それを認容して実際に行為を行うことをいう。平たく言えば、自分の行動がどういった犯罪の結果を生じさせるのかを分かっていながら、それを認めて行動に移す事である。この故意には種類があり、まず、法益侵害結果の発生が確実であると認識・認容しながら行為を行う「確定的故意」と法益侵害結果の発生が不確定な「不確定的故意」に分けられる。そして「不確定的故意」の中に、法益侵害結果の発生は確実だが、どれだけの被害者が発生するか分からない「概括的故意」、2つのうちどちらかに法益侵害結果が発生する「択一的故意」、法益侵害結果の可能性がある場合、結果が発生してもかまわないと思いながら行動する「未必の故意」が含まれる。

 次に、「過失」とはどういうものであろうか。簡単に言うならば、「不注意」によって結果が発生してしまったということである。

 過失犯の成立するプロセスとして、「結果予見義務」「結果予見可能性」「結果回避義務」「結果回避可能性」が存在する。車の運転を例にとって、1つずつ解説していくと、「結果予見義務」とは、自分の運転する車がどういった結果を生じさせるか予見(予想)する義務であり、運転を行っている以上、それは存在しているといえる。「結果予見可能性」とは、小学校の近くを運転する際、飛び出してくる可能性を予見ができる。しかし、高速道路であれば、人が道路上に飛び出てくることは一般的に予見できないだろう。このように、結果が発生する可能性をあらかじめ認識できたかどうかが「結果予見可能性」である。次に、「結果回避義務」であるが、これは運転している以上、事故という結果を回避する義務が存在するだろう。「結果回避可能性」は、ブレーキとハンドルが故障してしまった際は、運転手の行動でどうすることもできないため、結果を回避できないため「結果回避可能性」がないといえる。このように、結果を回避できたかできなかったかの問題が「結果回避可能性」である。

 学説では、これら4つのうちどこに重点を置くか、という争いがあるが、通説判例は「結果回避義務」が重視されている。そして、これらを満たした不注意が、刑法上「過失」をして取り扱われ、過失犯の規定が法律上にあるとき、犯罪となるのである。

 


3.歩きスマホの現状

 (1)「歩きスマホ」の危険性

 インターネットや端末技術の進化により、1980年代には企業向けであったコンピュータやネットワークが、コンピュータの個人普及やスマートフォンの普及によって、今や誰しも利用できる時代となった。しかしながら、スマートフォンの普及によって、ある問題も発生することとなった。第1節においてとりあげた、いわゆる「歩きスマホ」の問題である。

 「歩きスマホ」を行うことで視野が狭まり周辺の道路環境の対応が遅れ、他者と接触したり、歩行時の脚部の運動に変化が起きることで自分自身がつまずきやすくなること18)が科学的に示唆されている。現に、東京消防庁が発表した東京都内での歩きスマホが関係した事故数は、平成22年から平成25年まで増加傾向にあり、平成26年は資料が発表された時点の暫定値ではあるが、平成22年から平成26年までの事故発生数は152件となっている19)。また、MMD研究所は、危険性の意識についての調査を行っており、その調査によると、98.6%が歩きスマホを危険だと認識し、危険だと認識しながらも73.1%(有効回答数が648人であるため、473人)が歩きスマホ行為を行っていることが判明している20)

携帯電話会社は、メディアを通じて注意喚起を行ったり、スマートフォン本体に歩きスマホを行うと警告画面を表示する機能を実装することで、歩きスマホの減少を狙っているが、街行く人たちを眺めてみると未だ数多くの人々が歩きながらスマートフォンを操作している様子が伺える。


 (2)罰則規定の不存在

 現状、日本では「歩きスマホ」行為それ単体についての罰則規定は存在しない。例えば、自動車を運転中のスマホ使用に関しては、道路交通法第71条5の5に、運転中に携帯電話を使用する行為についての罰則を設けており、また、自転車の運転中であっても、道路交通法第71条第6号により、各都道府県の道路交通規則によって運転中のスマートフォンの操作が禁止されている。

 このように、自動車や自転車等に関しては罰則が規定されている。しかしこれらは、自動車や自転車は人身に係る重大な事故を発生させる可能性があるために安全運転を義務付け、それに違反したための罰則である。しかし、「歩きスマホ」行為についてもこれらと同様に重大な事故につながる可能性を含んでいるだろう。

 傘差し運転やイヤホンを付けながらの走行など、自転車運転のマナーが悪いことを発端に、様々な注意喚起が行われていたが改善されず、結果として2015年6月に道路交通法が改正され、自転車の運転に関して新たに罰則が設けられた。「歩きスマホ」に関する法案が提出されたとは今のところ聞いたことはないが、アメリカのニュージャージー州では「歩きスマホ」を禁止する条例が2012年に成立し、罰金刑が科されることになっている21)。「歩きスマホ」行為について、現状罰則規定はないものの、様々な機関の注意喚起が実を結ばず、「歩きスマホ」を行うものが絶えない場合、「歩きスマホ」行為自体を罰する規定が作成されてしまう可能性があるだろう。



4検討

 「歩きスマホ」行為自体を罰する規定が存在しないのは既に述べたとおりだが、「歩きスマホ」行為が結果として犯罪を成立させてしまう場合がある。本節では、第2節において基礎知識として述べた箇所を発展させ、その点についてどのような罪が成立する可能性が存在するか簡単に述べていく。

 まずは故意犯である。「歩きスマホ」を行っている者に他者に故意に侵害を与えようというものはいないだろう。しかし、「ぶつかってしまってもかまわない」と考えて「歩きスマホ」を行っている場合は「未必の故意」という故意が成立してしまう。故意に他者にぶつかる行為は刑法208条暴行罪、それによって傷害の結果を発生させてしまった場合は204条傷害罪、死亡の結果が発生した場合は刑法205条傷害致死罪の罪責を負うこととなってしまう。

 次に過失犯についてである。アンケートによって「歩きスマホ」は危険であると98.6%が認識しているのは既に述べたが、これは他者にぶつかり危害を加えてしまう可能性があるということを「予見(予想)」できているということであろう、つまりは「結果予見可能性」が存在するという事である。結果が発生する可能性があることが分かりうる以上、「結果予見義務」や「結果回避義務」が存在し、また、「歩きスマホ」を行わなければ結果は回避できるため、「結果回避可能性」も存在する。よって、過失は存在すると考えていいだろう。過失によって他者に傷害の結果を発生させてしまった場合には、刑法209条過失傷害罪、死亡の結果が発生すれば刑法210条過失致死罪が成立してしまう。また、結果の予見が非常に簡単な場合は重過失となり、刑法211条重過失致死傷罪が問われることとなるだろう。暴行罪の過失犯は存在せず、ただぶつかってしまっただけでは犯罪とはならないが、転んで怪我をさせてしまった場合等は犯罪となってしまうのであるため、「歩きスマホ」はやはり行わない方がいいだろう。

 ちなみに、刑法209条過失傷害罪は、告訴がなければ裁判とならない親告罪であるが、死亡の結果が発生してしまった場合はそうではない。

 また、「Pokémon GO」特有の問題についても検討しておこう。ポケモンが他人の家や立入禁止の場所に出現してしまった場合である。

 刑法130条には正当な理由なく人の住居や建造物に侵入する建造物等侵入罪、また同じく刑法130条には、要求を受けたにもかかわらずその場所から退去しない不退去罪、軽犯罪法1条第32項には、正当な理由なく入ることを禁じた場所(立入禁止区域等)に侵入する行為が規定されている。

これらはそれぞれ正当な理由がある場合は成立しないが、ポケモンが出現したことは正当な理由になるかと問われると、ならないと考えるのが普通であろう。もちろんその建造物の主人の同意があれば犯罪は成立しないが、「Pokémon GO」に関する注意などを行っている建造物等に行く場合は注意が必要である。

他にも刑法や軽犯罪法内ではなく、刑罰規定が存在する特別法が成立する可能性もある。特別法は多数存在し、全てについて網羅しているわけではないため、本稿では割愛させていただく22)

また、罰則規定の無い、つまりは犯罪ではないが、民事上の判例においては「歩きスマホ」行為を行っていた者に過失を認めた判例が存在する23)。判例は「歩きスマホ」行為を行っていた被害者に対し、自転車が衝突したというものであり、「歩道上を通行する歩行者といえども、周囲の安全を確認しながら通行すべきであることは当然であるし……携帯電話の操作に集中して前方に注意を払うことなく歩行していた原告についても、原告主張事故について何らの責任がないということはできない」と判事されている。ここで注意しなければならないのは、「歩きスマホ」行為を行っていた被害者にも責任があるが、自転車を運転していた加害者側に全く責任がないということではない。本稿は「歩きスマホ」行為に対し注意を喚起するものであるが、罰則規定が存在しない以上「歩きスマホ」行為がすぐになくなるとは限らないだろう。自動車等を運転する者は注意しなければならないのである。もちろん、全ての場合に注意しなければならないというわけではなく、刑法上には「信頼の原則」というものがあり、これは、被害者が信号等、道路上の指示に従って適切な行動を行うことが信頼できる場合、被害者の不適切な行動によって発生した法益侵害について、加害者に過失責任が問われることはないというものである。しかし、こういった一部の例外を除き、自動車等の運転を行っている者に責任が問われるのが原則であるため、「Pokémon GO」の配信された現在、運転者はより注意しなければならないだろう。



5おわりに

 「Pokémon GO」は先行配信された他国で大人気ということから、日本でも人気になる可能性が高い。内閣サイバーセキュリティーセンターなどが注意喚起を行っており24)、影響は非常に大きくなるものと考えられる。

現状歩きスマホ自体の罰則はないが、検討したように刑法犯に抵触する可能性があるため、配信された際はマナーを守ってやりましょう。

さて、第1節において注意書きをしたように、第4節と第5節は配信されたことが分かり急いで筆をとった次第である。急いで書いたため、検討が不十分であることや文体の違い等も見受けられるだろうがご容赦頂きたい。

筆者も「Pokémon GO」を早くやりたいのでこのあたりで筆を置かせていただく。



あとがき

 どうせならポケモントレーナークラブアカウントで遊びたいと思ったんだけど、まだ作れない。悲しい。

 質問等があったらこのブロマガにコメントまたはTwitterアカウント「@Shirono_hiou」宛てにリプを送ってください。

 次は何を書こうか……。


以下、注(括弧内日付最終閲覧日)


1)1947年に設立した京都府に所在を置く日本の企業。それまでもゲーム開発を行っていたが、1983年に家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータの発売をきっかけに国内外において様々なゲームハード、ソフトを発売する。代表作に本稿にて取り上げた「ポケモンシリーズ」を始め、「スーパーマリオシリーズ」、「ゼルダの伝説シリーズ」などがあり、世界中に愛されている企業である。筆者は同社から発売されている「どうぶつの森シリーズ」がお気に入りである。

2)1998年に任天堂、ゲームフリーク、クリーチャーズの共同出資により設立された。その後商号を変更し現在の社名へ。本稿にて取り上げたポケモンに関連する事業を行っている。

3)2010年に設立したアメリカ合衆国の企業。当初はGoogleの傘下にあったが独立し、現在の社名へ変更。

4)コンピュータによって現実空間の情報を書き換える拡張現実(Augmented Reality)という技術を用いたゲーム作品。拡張現実に類似したものに仮想現実(Virtual Reality)というものも存在する。こちらは実際に存在しない作り出された環境を人間の5感を用いて現実に存在するように知覚させる技術である。「かがくの ちからって すげー!!」あとSAOはよ。

5)ポケモンと呼ばれる架空の生物を育成し、戦わせるゲーム。アニメや漫画など多岐にわたるメディアミックスを行い、世界中から愛されている作品である。筆者も子供の頃から楽しんでおり、現在でも新作が出るたびに購入している。

6) 愛知工科大学工学部情報メディア学科小塚一宏教授の研究結果に基づき、検証したものとしてNTTドコモ「全員歩きスマホin渋谷スクランブル交差点-もしもスクランブル交差点を横断する人が全員歩きスマホだったら?-」

https://www.youtube.com/watch?v=3NDuWV9UAvs (2016年7月16日)

7)ポケモンの世界には「ジム」と呼ばれる場所があり、そこに存在する「ジムリーダー」を倒すことがゲームをクリアするための導線に含まれている。ちなみに余談ではあるが、筆者は子供の頃からタマムシジムリーダー「エリカ」とアサギジムリーダー「ミカン」推しである。好みの女性像はこの2人に影響されているといっても過言ではない。HGSSにおける2人のやり取りは萌えた。

8)課金とは、使用料金を課することを意味する単語であり、本来であれば制作側がユーザーに促す行為のことを指すが、オンラインサービスの世界ではユーザー側が任意に支払い購入することを課金と指すことがある。いわば誤用である。ここでは後者の意味合いで記述している。みんなは無課金(生活に「無」理のない「課金」のこと)で楽しもうね。

9)BIGLOBE「「ポケモンGO」でレストランが大繁盛 ポケモンを出現させる課金アイテム「ルアーモジュール」で集客」

http://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0713/blnews_160713_9792827926.html

(2016年7月16日)

10)株式会社ポケモン「『Pokémon GO』の最新情報を公開」http://www.pokemon.co.jp/ex/PokemonGO/160527_01.html (2016年7月16日

11)livedoor NEWS「【ポケモンGOで放送事故】ゲームに夢中の女性キャスター、ポケモンを追って生放送に乱入」http://news.livedoor.com/article/detail/11763670/ (2016年7月16日)

12)産経ニュース「人気過ぎるポケモンGOが世界各地で大騒動 ホロコースト博物館や病院内では遊ばないで、強盗被害も…」

http://www.sankei.com/world/news/160713/wor1607130035-n2.html (2016年7月16日)

13)時事ドットコムニュース「ポケモンゴー、豪でも人気沸騰=歩きスマホ事故が多発」

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071200668&g=int (2016年7月16日)

14)前注10

15)山口厚『刑法総論 第3版』23頁,有斐閣,2016年。

16)大判明治43・10・11刑録16輯1620頁。

17)酩酊(酒酔い)の状態によって「単純酩酊」「複雑酩酊」「病的酩酊」がある。日本で使用されている酩酊の基準は以下のBinderの分類である。

Binder H: uberalkoholisheRauschzust¨ande. Schwiz. Arch NeurolPsychiat 25: 209-228, 36: 17-51, 1935 (影山任佐訳・解説:精神医学 24:855-866, 999-1007, 1125-1140, 1982)

18)徳田良英・新井美咲・羽仁孝之・田村あかね・蓮田聡美・知脇希「スマホ歩行の運動解析」『帝京大学紀要』第27巻,2016年,17頁。

19)東京消防庁「歩きスマホに係る事故に注意!!」

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201503/mobile.html (2016年7月21日)

20)MMD研究所「98.6%が「歩きスマホ」を危ないと思うと回答するも、73.1%が歩きスマホの経験があり」

https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1372.html (2016年7月21日)

21)CBSNUWS「Texting while walking banned in N.J.town」

http://www.cbsnews.com/news/texting-while-walking-banned-in-nj-town/ (2016年7月22日)

22)刑法犯にあたる犯罪行為として、本稿で取り上げなかったが刑法235条窃盗罪等の財産犯罪も考えられる。「ひとのもの とったらどろぼう!」あとはわかるだろう。モンスターボールを投げる対象には注意が必要である。

23)福岡地裁平成26・1・15

24)内閣サイバーセキュリティーセンター「ポケモントレーナーのみんなへおねがい♪」

http://www.nisc.go.jp/active/kihon/pdf/reminder_20160721.pdf (2016年7月22日)




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他56件のコメントを表示
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>>32
日本国憲法第21条第1項をご覧ください。
48ヶ月前
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>>33
そうですね。表現の自由がありますものね
48ヶ月前
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>>34
>>25
私自身も執筆最中に長いと思いました
ですので、最低限読んで欲しい箇所を始めに記述しております
48ヶ月前
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>>35
目には目を歯には歯を、という考え方に近い応報刑論をいうものですね。
しかしながら刑法は刑罰を与えるものですので、罪刑法定主義という、あらかじめ罪や刑罰に関して定めておかねばならないものがあるため、その罰則は厳しいかと思われます
48ヶ月前
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>>36
閲覧ありがとうございます。
その通りでありまして、私自身長いと思ったため、始めに結論に結びつく部分を最低限読んでいただきたい旨を記述しました。
その記述をしっかりと読んでいただけたようで幸いです。
48ヶ月前
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>>37
ご指摘ありがとうございます。文系理系関係なく、指導教授の影響もあるかと思われます。
誰か他人の主張を引用する際は、別の人が言っている事を示すために「いわれている」という表現を使うように言われておりましたが、そちらの方が確かに自然だと私も思ったので、今度聞いてみますw
48ヶ月前
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>>38
時計を見る行為、見物。これらと歩きスマホは「必要性」という観点で異なるかと思います。
車の出荷台数を調べてみたところ、確かに減ってはいますが乗る人がいなくなったわけではありません。
確かに、罰則による罰金刑は国庫に帰属されますが、それは理由ではなく、罰則がないと危険行為の予防ができないためであるということを分かって頂ければ幸いです
48ヶ月前
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>>39
誰が決めて、という点では立法府や条令であれば都道府県でありますが、スピード違反に関して全てが取り締まられているか、を考えればわかるように確かに取り締まりという観点からすると難しいものがあると思います。
しかしながら、本稿で述べた過失による結果犯であれば、少なくとも侵害結果を発生させた方は取り締まることができます。
事前予防というより事後予防に近いですね
48ヶ月前
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>>40
クソゲーかどうかは置いといて。
後段の部分に関しては、民法717条に近い考え方のものがあります。
48ヶ月前
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>>42
>>54
そういう極端な考え方の方がいるのは世の常です…
子供たちには我々大人が模範となるべき姿勢を見せるべきだと思います。ですので、まずは外見は大人の方をどうにかする方が先ですね…
マナーの啓発が無理であれば、規制されて仕方ないかと思います…
48ヶ月前
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