プロゲーマーライセンスと対応ゲームタイトルに関する懸念
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プロゲーマーライセンスと対応ゲームタイトルに関する懸念

2017-12-14 19:44

    ※読む前の諸注意※

     本記事に使用している条文や解説内容は本記事投稿時点でのものであり、今後の法律改正や判例変更などによって変わる可能性があります。また、内容は慎重に作成しておりますが、本記事の作者は学問の徒であり、間違っている可能性もあります。




     初めに、筆者は本件に関し大いに賛成の立場である。


     日本にはプロゲーマーが少なく、eスポーツ後進国と呼ばれている。

     それには日本の文化、ゲームに対する考え方などが影響していると考えられるが、法的な問題が存在するのも一つの理由だろう。


    今回はこの法的問題と先日公開された「プロゲーマーへのライセンス発行」と「ライセンス付与のタイトル」について(http://tokaigi.jp/2018/list/ , http://mainichi.jp/articles/20171214/k00/00e/040/296000c)、何が問題となるかを周知する為に筆を取った次第である。


    1.法的問題とは

     まず、プロゲーマーが少ない理由の一つとして考えられる法的問題について知っていただきたい。

     問題となる法律は以下の通りである。

    ・刑法185条賭博罪

    ・風営法

    ・景品表示法

     以上の法律が影響しているため、日本ではゲームの大会が行われにくく、結果としてプロゲーマーとして活動していても日本国内では賞金を稼げない。そのためプロゲーマーが少ない要因の一つとなっているのではないかと考える。


    (1) 賭博罪

     賭博罪とは、刑法第185条に規定されており、その条文は「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」といったものである。

     ここでいう賭博とは、「偶然の勝敗により、財物または財産上の利益の得喪を争う」ものである。「偶然の勝敗」とは、「当事者が予想できないこと」であり、例えば対戦ゲームであれば「スマブラなどのステージギミック」や「ぷよぷよのぷよの色」、「PUBGのアイテム出現・縮小エリア」などがわかりやすいのではないかと思う。また、この「偶然の勝敗」は、当事者の技量に差があったとしても、偶然の影響を受けることがある以上成立する(大判大4・10・16)。

     「得喪」とは、「得」と「損」の意味合いであり、どちらかが勝って「得」をした際、負けた方が「損」をすることである。

     「一時の娯楽に供する物」とは、例えばジュースやお菓子を賭けた場合のことである。しかし、金銭はその性質上、1円であっても一時の娯楽に供する物ではない。

     さて、一通り賭博罪について説明したが、eスポーツ発展への障害物としては小さいものである。問題となる可能性がある場合は、外国などで行われている大会の様な参加費を賞金に充てるような場合であって、スポンサーが賞金を提供する場合には賭博罪は問題とならない。


    (2) 風営法

     風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といい、業種例としては「ゲームセンター」「パチンコ屋」が挙げられる。ゲーム大会の運営において、ゲームセンターが大会を主催する場合にこの法律が問題となる。しかしながらこちらも大きな問題はなく、参加費を無料とすればよい。ただし、風営法第23条第4項によって、賞金を出すことができない為、生業としてのプロゲーマーを生むことの障害となっているだろう。


    (3) 景品表示法

     今回の件について一番大きな問題となるのが、この「景品表示法」である。景品表示法は「公正な市場の競争」や「消費者の選択」を保護するための法律であり、大きく「表示規制」と「景品規制」の二つについて規定している。景品表示法によってソシャゲにおけるコンプガチャが規制されたことは記憶に新しいだろう。

     さて、問題となるのは「景品規制」規定の方である。ここでいう景品とは、①顧客を誘引するための手段として②取引に付随して提供する③経済上の利益であり、ゲーム大会に当てはめると「自社の商品で遊んでもらうために大会を行って賞金を与えるもの」となる。この賞金についても規定があり、景品の限度額は複数の会社によって共同で行われるもの(共同懸賞)は最大30万円、一社単独で行われるもの(一般懸賞)においては最大10万円となる。ただし、商品の購入やサービス利用を必要としない誰でも参加できるもの(オープン懸賞)においては上限が存在しない。

     オープン懸賞であれば賞金の上限額が定められていないため、日本においてもプロゲーマーが職業として成立するかもしれない。しかし、問題となるのが「商品の購入やサービス利用を必要としない」点である。ゲームソフトを買わずに、またはサービスを利用せずにそのゲームの大会で優勝できるだろうか。法的には抜け穴として考えられるこの部分であるが、裁判所がどう判断するかが問題となる。


    2.本件に関する問題

     1において何故プロゲーマーが日本で増えないのか、法的問題からその要因になっている可能性を述べた。次に本件に関する問題について、具体的な詳細はまだ提供されていないため細かい判断はできないが、問題となる可能性を簡単に述べさせていただく。

     日本eスポーツ協会が掲載した記事(http://jespa.org/information/1109)では、一般にソシャゲと呼ばれるタイトルが2つ含まれている。これらのタイトルは課金をすることによって強いモンスターを得る事ができるタイトルであるため、勝つためには課金が必要となる蓋然性があり、そうなると景品表示法に違反してしまう可能性がある。これらのゲームを筆者はプレイをしたことがないため詳しくは分からないが、戦闘・対戦システムによっては公正な対戦を行うことができるかもしれない。しかし、「法的判断を行うのは誰か」と考えた時に本件の問題点は明らかになるだろう。


    3.終わりに

     まぁ、一介の大学院生より実務を経験している企業の法務部の方がちゃんと考えてると思うので、杞憂に終わってくれるのが一番いいんですけどね。eスポーツやプロゲーマーの発展のため頑張ってくれることを期待してます。

     最後記事書くことに疲れてきて投げやりになったけれども、こういう理由で日本じゃプロゲーマーが少ないんじゃよ&いきなり課金ゲーをライセンス対象にすると何か問題があったときに今後認められるまでのことを考えるとやばいんじゃないの?って記事でした。


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