• ボカロ動画とボカロ小説

    2013-08-06 19:151



    ボカロ小説の盛り上がりみたいなコラムが投稿されていた。
    じぶんでも何か書いてみることにした。


    ボカロ動画というのはプレゼン資料としてものすごーく優秀である。

    こういう環境で、こういう人物が、こういうテーマに沿ってこんな展開を期待させますよ、というのが平均して4分程で一望できる。

    だらだらと伸びることなく整理された、必ず数分間で終了するプレゼン(しかも心地よいBGM付)が、視聴者に向かって直接行われる。
    Vocaloidというモノ云わぬ強力なセレブを仲間に少人数で製作される、作家のエゴが濃密に残ったフレッシュな資料である。イラスト付き。

    今までは企業の会議室で偉そうなオッサン(※1)相手に行われていたプレゼンがこちらを向いている、と喜んだ視聴者はSNS等で作品を口コミする。
    音楽業界なんていう華々しいスペースに俺達は一生リーチすることはない、と思い込んでいたオタク絵師達は必死に応援イラストを描く。(※2)

    そんな微生物達の代謝に後押しされ高評価(再生数)を納めた作品はプロの手により様々な形で流通され、同人の頒布物と違い地方の子供が地元の商店でも手に取る事が可能になる。
    熱烈なファンにとっては御神体としての効果もあるためキーホルダーなど各種グッズが付録される。

    んでコンテンツの行き先としてまずは小説ってのが今のボカロの流行らしい。


    最近のライトノベルの『俺の●●が●●したい』みたいなタイトルのフォーマット化から伺い知れるのは、ある程度タイトルで内容が予想できる本が求められているからだ、と言われている。


    今、7割程の小中学生が習い事に忙しいと聞いた。
    時間的に余裕の無い現代っ子にとって「読んでみたら思っていた内容と違っていました」というタイムロスは我々が思っている以上に重いのだ。
    彼らにとって「読後どういう気持ちにさせられるかわかったもんじゃない」本を長時間かけて読む暇があれば卵を炊飯器で加熱しましたみたいな動画を観て翌日学校で騒ぎ即忘れたほうが幾分かマシなのだ。(※3)

    その点、ボカロ小説は平均して4分程の動画でテーマ性に関してのプレゼンが受けられる。

    物語の終盤であったりもしくは観劇後であったりと、後に内容を一望すればテーマが浮かび上がってくるという、ジジイ共に馴染みの深い作劇とは間逆である。

    ボカロ小説を読む時はシナリオに乗ってどう気持ち良くなるかを先に把握した上で、安心して貴重な時間を投資できるのである。外す可能性も低く、予想以上であればめっけもん。
    ファミリーレストランでカレー味の物が食べたくてカレーを頼むのと何も変わらない、シンプルな理屈だ。

    ミクは大体こういう奴、レンは・・・等のスターシステムによるお約束もここに貢献している。


    何故小説なのか?
    コミカライズに比べても演出を終始するのに必要なバジェットが小さいからっていうのもあるんだろうけど。

    歌詞のヒントから物語を脳内で補完していった先で答え合わせを行うには、同じくある程度脳内で補完する小説こそ食い合わせが良いように思える。

    プロによる圧倒的な映像でなく、文章を読み脳内で再構成されるイメージは、ボカロ曲を聴きその歌詞から思い浮かべたイメージと対等の質量にある。

    例え異なる解答だっとしても、力で捻じ伏せられたというフィーリングにはならない。

    結果、読後に適度な安心感が与えられる。


    言うまでもなく初音ミクを代表としたVocaloidは大人気のシンボルである。
    だったらキャラクターだけ引っ張って物語を作ればいいようなもんでもある。そういった作品もある。

    でもそれほど話題にならない。

    前述したプレゼンによるテーマの予習復習が無いことを今のボカロ小説としては美徳とされてないからと思われる。
    (ほとんどのボカロに公式ストーリーが存在しないため、キャラクターのみでは答え合わせの仕組みは使えない)

    こう書いてみるとデメリットばかりに見えるが、ヒット曲じゃないと小説にならないという壁(30万再生ぐらい)を取り除いていけば色々と面白い事は出来る仕組なのかな。


    色々言ってはみたものの。

    悪ノで初めて小説を読んだって子供がけっこう多いそうで。

    小説で語られる世界の広大さは他のメディアとは比べ物になりません。俺の知る限り。
    ボカロ小説をきっかけに本読みの習慣がつくのは人生にとってすごく幸せな事だと思います。

    …ってこのコラム読んでるであろうオッサン共には全く意味の無い説教だな!!




    おわり。






    ※1 完全に勝手な想像です。
    ※2 完全に勝手な想像です。
    ※3 完全に勝手な想像です。ほんとすみません。


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  • ボカロ界隈とうたたP

    2013-01-31 20:323

    こんにちは。
    なぎみそです。
    Vocaloidを取り巻く界隈でイラストとか描いてます。


    ブロマガに登録してみたので、折角ながらボカロの事でも書いてみようと思う。


    どうですかね、最近。
    黎明期から参加している人は飽きてきたんじゃないでしょうか。

    正直俺も新鮮さみたいのはもう感じてなくて、どちらかというと優れた楽曲コンテンツを10年先も生き残れるように熟成させよう、させたい、といった活動にシフトしてたりします。

    …してました。


    うたたPさんについて語ろう。

    ニコ動上でのデビューはミクの発売後1ヶ月の2007年10月。
    トランスを主体としたトラックを中心に活動を始めている。

    当時はネタソングやカバーの投稿が多く、サウンドデザインを煮詰めた作品はまだまだ少なかったように思える。
    その中で発表されたストラトスフィアは多くのテクノ童貞の心を掴み、ヒットした。

    それに加え特徴的だったのは、ガチトランスの裏側でネタ動画を作るといった活動も熱心に行っていた事で、更にそこでトークロイドとしての制御スキルも上げている。

    作家は基本コミュ障といった理由から一人でコツコツと作られる作品が多い中、ピアプロ内での多人数コラボも積極的に行っている。

    ボカロ特有のコラボ社会の中で実にバランスのよい作家といえる。


    しかしストラトスフィア以降、幸福安心委員会のヒットまで約5年、長きに渡り殿堂入り(動画再生数が10万を超えること)に恵まれない事になる。

    何故か? J-POP的に「カラオケで歌える」曲が伸びる潮流になったからなのか?わからない。
    ※ボカロオリジナル曲以外の作品、ストラトスフィアのリミックス作品は除く


    5年は長い。

    再生数は気になるものである。
    投稿者はより多くの人に作品を知ってもらうべく、ネットワーク上に作品を置くのである。

    更にファンとしては作家の動画が伸びないと不安になる。
    大丈夫なのか? (オリジナル曲の投稿を)飽きてやめてしまうのではないのか?

    そんなファンの心配をよそに。マイペースなのか、うたたさんはペースを崩さず淡々とオリジナル曲、MAD動画、ストラトスフィアのファンのためにリミックスを投稿していく。


    そして『こちら、幸福安心委員会です。』の大ヒット。


    一見「ニコ動向け」を狙ったセンセーショナルな作品に見えるがそうではない。
    トークロイド、ユーモアの要素、サウンドデザイン、コラボ、その全てがうたたさんのこれまでの活動の延長線にある。独自のスタンスの結晶とも言える。


    このヒットを見て、目から鱗が落ちた。
    ボカロ界隈にはまだマイペースな創作が受け入れられる土壌が残っている。

    楽しければいいのだ!


    「ニコ動向け」に作風を変えていく(ように見える)作家も見受けられる中、スタンスを崩すどころか幸福安心委員会における「エレクトリック演説」という作風を編み出し、ストラトスフィアがそうであったようにファンとこの新シリーズを育てていこうという氏をこれからも応援したい。




    (加えてhammer2へのご参加ありがとうございました)

    最後にうたたさんの中でも俺イチオシの曲を紹介します。

    これ、昔作った和風コンピ「花」に入れたかったんだけどorangeさんに「多分無理」っていわれて諦めたんだよねw