​​​​▼第613号
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                     2025/03/11

夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
          vol.613
       【アニメ・マンガ業界に迫る「見えない危機」】
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《目次》
01.先週の出来事
02.時事ネタPICKUP15
03.フカボリBiz
04.Q&A
05.ありか、なしか!
06.時事ネタ キュレーション
07.編集後記

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【01.先週の出来事】
社会問題からプライベートな話題、訪れたレストランまで、「先週あったこと」をベースに、夏野剛の頭の中やプライベートを覗いていくコーナーです。
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◆2025/03/03-2025/03/09

 連日のようにトランプ大統領の発言が世界を揺さぶっている。

 関税戦争の件についていえば、自由貿易から後退することで最も被害を受けるのはアメリカ国内の消費者だ。
 だが、その結果はすぐにというより、数年後に実感されるだろう。
 ゆえに、トランプ在任中にどれだけ顕在化するかはわからない。

 まさに民主主義の誤謬がここにある。そして、そのことを熟知するトランプがこの誤謬を利用していることは否めない感がある。
 この一連の動きは、「後世から見た時の評価を気にしなければ大統領は何でもできる」ということを証明しているだろう。

 そして、防衛政策。今回は、これについて述べたい。
 アメリカは長らく“世界の警察官”としての役割を果たしてきた。その背景は、第二次大戦後の冷戦下にある。当時、共産主義・社会主義陣営と民主主義陣営で対立構図ができていた。
 そのなかで「アメリカの軍事力vsソ連の軍事力」の均衡という図式の中で必然的にアメリカが担ってきた役割である。
 80年代にアメリカ経済が一時的に弱まった時にも、アメリカがこの役割を降りることはなかった。

 その後ソ連が崩壊し、共産主義・社会主義の脅威が薄れ、代わって世界中でアメリカの影響力に反感を感じるテロ組織が台頭する。今度はこれらの脅威のコントロールがアメリカの役割になった。その契機となったのが2001年にアルカイダが起こしたアメリカ同時多発テロである。

 今度は中国が軍事力を強化し新たな脅威となっている。とはいえ、中国の脅威は世界的なものというわけではなく、台湾および南シナ海に限定されている。このため軍事的にはまだアメリカの主要なターゲットにはなっていない。