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2015/3/1
夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
号外
【Androidの次なる一手と、Googleを悩ませ続ける“頭痛の種”】(※再掲載)
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今や押しも押されもせぬ巨大IT企業となったGoogle。12個のニュースをピックアップし、「すごいGoogle」、「やっぱりGoogle」、「Googleの誤算」、「Googleの弱点」の4つにジャンル分け。強みやポテンシャル、将来的な不安材料などを分析してみた。
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【すごいGoogle】
さっそく“Googleらしい”ニュースが流れてきた。『Google 1日の総検索数は約30億クエリ、1年で1兆超え』(http://goo.gl/Ifsylq)だ。世界のネット人口が約29億人とされている今、ネットを使う人々が1日に1回アクセスしている計算ということになる。これは凄まじい数字と言える。
Googleは元来、検索サービスを通じて“世界中の情報を再整理する”というポリシーを持ってきた。情報の再整理には言葉の壁を取り除くことも含まれており、事実、Chromeの翻訳を使えば「言葉の意味がわかる」程度にまでなっている。これが2014年までのGoogleだった。2015年からは「意味がわかる」からさらに進化し、「コミュニケーションができる」、つまり自然言語にシフトしてきたと感じるのだ。そう、『ほんやくコンニャク実現か、グーグルが同時翻訳アプリを発表』(http://goo.gl/fQu0La)である。Googleは最新のテクノロジーに敏感に反応し提供してきた企業。そういう意味では、空想の存在だった『ほんやくコンニャク』の実現が目前に迫っている可能性はかなり高い。
Googleはテクノロジーを使い、社会に大きく貢献している。その意思は、『グーグルがゲノム解析を支援:自閉症研究などと提携』(http://goo.gl/lSrGcG)と『Googleが世界の海を監視することで「違法漁業」の実態が明らかに!』(http://goo.gl/zmstHR)を見れば一目瞭然。特に先天的な病気の解明には、ゲノム解析がきわめて役立つこと、そしてゲノム解析には巨大なコンピューティングパワーが欠かせないことがわかってきた。その中でGoogleは「世界一のビッグスポンサー」になったわけだ。
違法漁業監視もしかりである。Google Earthは将来的に衛星から受け取ったデータをリアルタイムで表示されるようになるだろう。違法漁業だけでなく、交通情報の入手や違法な森林伐採なども取り締まれることになる。以前は、限られた人間しかアクセスできなかった情報がGoogle Mapsやストリートビューによって誰でも手に入るようになっている。STAP細胞論文の写真盗用を見ぬいたのもネット上の一般人だ。今後は、「関心のある個人」の力がさらに強くなっていくということ。そんな時代の幕開けを意味するニュースである。
あくまで噂レベルだが、テスラに搭載された17インチのタッチスクリーンのOSはAndroidと言われている。実際に使ってみてわかったのは、自動車産業は全世界的にIT音痴ということ。なぜなら、「先進的」といわれるテスラのタッチスクリーンも既存の技術をパッケージしたに過ぎない。加えて、車速や車がいた位置などを「プローブ情報」というが、自動車会社はプローブ情報の共有に閉塞的だったりする。『米グーグル、自動車に直接搭載する「アンドロイド」開発へ』(http://goo.gl/00nTde)というニュースは、その状況を打破する狼煙かもしれない。Androidを搭載するとなれば、プローブ情報の共有は前提だ。しかも、GPSや加速度センサーを応用すればよりリアルな統計データを得ることが可能になる。適正な保険料率を設定することもできるので、『なんとGoogleが自動車保険を販売予定、「保険」業界へ進出か?』(http://goo.gl/TkucY4)という動きにも合点がいく。自動車保険の計算方法すら変えようとしているGoogle。これこそ社会イノベーションだ。
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【やっぱりGoogle】
『グーグル、3.5GHz帯の開放をFCCに働きかけ 安価なネット接続サービス実現が狙い』(http://goo.gl/DSMd5h)という記事があったが、電波解放などの働きかけは、元来通信会社が行ってきたこと。直接的な利益を得ないIT企業は行ってこなかった。つまり、このGoogleの動きは「Googleの影響力」を象徴するような出来事と言える。しかし、電波帯を解放したからといってGoogleは通信サービスに参入するとは思えない。なぜなら、Googleの規模感に合わない“つまらないビジネス”であるからだ。最近では、「Googleは世界征服する気だ」という言葉を耳にする機会も増えてきたが、当のGoogleは世界征服など眼中にはない。一貫して「自社サービスの使い勝手が上がれば、利用者が増え成功する」というスタンス。ビジネスモデルは後回しという考え方だ。
そんなGoogleが乗り出そうとしてるのが「格安スマホ」。先進国で高級スマホの需要が強くなる一方で、途上国では依然として安価なスマホ中心。世界的に市場が二極化しているわけだが、その状態に手を打つために『米グーグル「Android One」、新たに3つのアジア市場への参入を正式表明』(http://goo.gl/n0QEpf)、『Googleの組立スマホ「Project Ara」、プエルトリコで年内発売へ』(http://goo.gl/HkpFS2)を発表したわけだ。普通のメーカーならAndroid Oneのような低価格端末を作って終わりだろう。しかし、組み立て式であれば、極端にいえばカメラすらない端末も販売できるためより低価格にできる。この発想は「さすが」と言わざるを得ない。
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【Googleの弱点】
低価格スマホで途上国市場を狙うGoogle。Googleの強みは「サービスを全世界で展開できる」ことである。それは、IT化が極端に進んでいた日本市場をも飲み込んだ。ところが、1国の人口が10億人を超える中国とインドの場合、話は別だ。国内だけで世界トップレベルの規模を誇るマーケットがあるため、ガラパゴス化でも十分にスケールが保てる。『Gmailが中国全土で使用不能?当局によるネット規制の強化か』(http://goo.gl/63juuJ)という出来事もあったが、中国は過去に対立があり、すでに失ったマーケット。そこでインドなのだが、インドで打った手の様子がどうもおかしい。