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週刊『夏野総研』号外【クオリティはガラケー以下!? ドコモ版「ガラホ」が“どうしようもない”ワケ(※再掲載)】
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週刊『夏野総研』号外【クオリティはガラケー以下!? ドコモ版「ガラホ」が“どうしようもない”ワケ(※再掲載)】

2015-06-10 15:00
    ▼号外
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          夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
                    号外
    【クオリティはガラケー以下!? ドコモ版「ガラホ」が“どうしようもない”ワケ(※再掲載)】
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    [今月のGoogle]

     この1~2か月の間に報道されたGoogle関連のニュースを15個ピックアップ。そして、「すごいGoogle」「やっぱりGoogle」「Googleの弱点」「Googleの誤算」の4つのジャンルに分け解説していく。

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    【すごいGoogle】

     かねてより噂されていたGoogleの“MVNO事業”への参入。4月22日に「Project Fi」というプロジェクト名とその内容が明らかになった。『Google、北米でMVNOに参入―通話とIMが月20ドル、データが1GB10ドル』(http://goo.gl/57ihCB)。月額20ドルの基本プランとデータ通信が1GBあたり10ドル。現在は、アメリカ国内で『Nexus 6』のみ利用できるとのことだが、今後、対応デバイスや地域は確実に広がっていくだろう。
     そして、このMVNOは将来的にGoogleの基幹ビジネスになる可能性があると言える。今、世界中の通信キャリアは巨額の利益をたたき出し、マーケティング費用やオペレーションコストが高いにもかかわらず、利益率は20%を超えている。この分野にGoogleが参入するとどのような変化が起きるだろうか? Googleのビジネスモデルは「広告収入」。故に、MVNOで大きな利益を出す必要はなく、大幅な値下げが可能となる。これによって起こりえるのは、MVNOの爆発的な普及、そして通信キャリアの「最後の砦」とも言える通信トラフィック収入の著しい減少だ。つまり、世界中の通信キャリアが完全に土管化していくであろう。

     Googleが参入する通信ビジネスで、もう1つ注目のプロジェクトが存在する。成層圏のインターネット気球を利用した『グーグル「Project Loon」、「iOS」デバイスにもネット接続を提供へ』(http://goo.gl/yZiLmi)だ。気球による通信は安定性が高い。このため、通信環境が整っていない発展途上国へもインターネットアクセスを提供することが可能となる。
     そして、検索エンジンなどの自社サービスにアクセスするユーザーが増加することとなり、Googleのビジネスはさらに拡大。これと同時に、今まで各国の許認可制度によって守られていた通信キャリアのビジネスを骨抜きにしてしまう。MVNOで通信キャリアのビジネスを侵食し、インターネット気球によってキャリアのビジネスを骨抜きにするGoogle。10年後には間違いなく、通信キャリアの巨大な脅威になっているだろう。

     これ以外にも、以前から熱い視線を集めているプロジェクトの一つが、Googleが手がける自動運転カー。先日、これに関して、『Googleの自動運転カー、公道での270万キロ走行で11件の“もらい事故”』( http://goo.gl/QWi165 )という報道があった。走行距離270万kmで事故はわずか11件。かつ、そのすべてがもらい事故という言葉が示すのは、何と言っても自動運転の性能の良さだろう。

     一方で、Googleはバッテリーの分野にも目をつけている。『米グーグルがバッテリー技術を自社で開発中 応用分野はウエアラブル、医療、通信など広範』( http://goo.gl/M5lP3j )。家庭用大型バッテリーを発表したTESLAしかり、彼らは「バッテリーが世界のエネルギー事情を変えること」を十分に理解し実行している。そんななか、日本国内に目を向けると大手自動車メーカーは水素を利用した燃料電池車に注力。規制で守られ続ける日本では一定の普及が進むかもしれないが、将来的に世界の自動車業界を牽引していくのは過去の自動車産業の延長線上でモノを考えていないGoogleやTESLAのような企業になっていくだろう。

     そんなTESLAはGoogleに身売り寸前だったそうだ。『グーグルに身売り寸前だったテスラ―新刊本が暴露』( http://goo.gl/Cebjfa )。この話題が示すのは、Googleが「シリコンバレーのガーディアン(守護人)」として貢献していること。Googleはイノベーティブな技術やサービスに対する投資を惜しまない。これは、間違いなくシリコンバレーにおいてイノベーションの好循環の原動力になっている。革新的なサービスや技術を開発する起業家には、「経営が失敗してもGoogleが最後の最後に助けてくれるかもしれない」と思っている人もいるはずだ。

     一方で、Google出身者が次なるイノベーションや大きなプロジェクトの仕掛け人にもなっている。Yahoo!のCEOであるメリッサ・マイヤー氏やソフトバンクの孫社長が後継者に使命したニケシュ・アローラ氏もGoogleが排出した人材。『孫社長、“後継者”に元Google幹部アローラ氏を指名「世界のソフトバンクに」 海外ネット企業に集中投資へ』( http://goo.gl/JWjkAy )。Googleは創業17年もかかわらず、世界中の企業に対して人材供給源にもなっている。『ウーバー、グーグルの広報責任者を引き抜き』( http://goo.gl/NZmYYC )。これは「すごい企業」ということの何よりの証だろう。


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    【やっぱりGoogle】

     人材確保でいえば、『グーグル:東大で「青田買い」AI技術流出に日本危機感』( http://goo.gl/WAZNee )というニュースもあった。優秀な人材を積極的に採用し、より良い仕事ができる環境を整備することがGoogle自体の好循環の源になっている。これを本国アメリカのみならず世界中で行っているのだ。この動きに対し、日本では「青田買い」といった批判もあるようだが、的外れも甚だしい。Googleが優秀な人材を独占しているわけではないのだから、日本の企業が積極的に採用すればよいではないか。

     Googleのビジョンといえば「インターネット上の情報を再整理すること」であったが、『Googleがオンライン3D博物館を公開。古代の呪具から鰐の頭骨まで数百点を高精度3Dスキャン』( http://goo.gl/euur3I )というニュースを見ていると、これまでのビジョンを越えてしまったように思える。それはつまり、インターネット上に存在しないものは自らアップロードし整理しているのだ。

     多くの人が「Google対Apple」という構図を描きがちであるが両者のビジネスモデルは異なり、GoogleはAndroidを提供しているものの、AppleやiOSを直接的に敵視していない。『Google、初のApple Watchアプリ「ニュース&天気情報」を公開』( http://goo.gl/y6UJuP )というニュースでもわかるように、経営判断はフラットな目線であり、自社にとって利益があると見込めば、積極的にサービスやアプリを提供している。

    「提供」とえいば、YouTubeに関して、『YouTube×時代劇 東映、太秦映画村の本格セットをクリエイターに無料公開』( http://goo.gl/O6pizy )というニュース。日本では六本木にあるスタジオ「YouTube Space」など、個人で用意するには負担が大きすぎる機材や環境を提供し、一般人でも気軽に動画を作れるようにするという、こういったアプローチは他の企業にはなかなかできないことだろう。


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    【Googleの弱点】

     YouTubeの話題を続けよう。『YouTubeが広告を非表示にできる月額制プランを正式発表』( http://goo.gl/oCJHtE )とあるように、噂されていた月額制プランが正式に発表された。しかし、広告収入モデルであり、ユーザーは無料でサービスを利用できるという、Googleのビジネスモデルと正反対のビジネスと言える。正直なところ、「小手先のビジネス」だと感じてしまう。ニコニコ動画も有料プランを導入しているが、多くのユーザーが「広告が非表示になるから」という理由で課金しているわけではないように、YouTubeが本格的に月額制プランを展開するのであれば、広告非表示以外の付加価値を高めることに注力すべきだと考えている。

     同じような例で、『Google、レストランの検索結果ページから関連する食料品デリバリーの申し込みを可能に』( http://goo.gl/YwvmOy )という発表にも矛盾を感じる。
     
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