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  • うにゅほとの生活3575

    2021-09-24 03:0810時間前

    2021年9月23日(木)

    「あ゙ー……」
    ごろん、ごろん。
    ベッドの上で転がる。
    何もやる気が起きないのだった。
    「あー……」
    ごろん、ごろん。
    隣のベッドで、うにゅほが転がっている。
    何もやる気が起きないのであろう。
    「どこにも行く気しないし……」
    「うん……」
    「どうにもやる気が起きないし……」
    「うん……」
    「……寝るかー」
    眼鏡を外し、アイマスクを手に取る。
    「ね」
    「うん?」
    「そっち、いっていい?」
    「いいよ」
    ぽん、ぽん。
    ベッドの端に寄り、自分の隣を叩く。
    「うへー……」
    うにゅほが、いそいそと、俺のベッドに乗り込んでくる。
    「いっしょにねるの、ひさびさ」
    「そうだっけ」
    「そうだよ」
    「腕枕する?」
    「うで、いたくなるしょ」
    「それは、まあ」
    「だから、いいよ」
    「そっか」
    うにゅほが、俺の隣でまるくなる。
    それを守るように軽く抱き締め、目を閉じた。
    懐がぽかぽかする。
    うにゅほの匂いが鼻をくすぐる。
    腕に触れた髪の毛が、絹糸のように滑らかで心地良い。
    この子は、抱いて眠るために存在しているのかもしれない。
    そんな益体もないことを考える。
    「──……すぅ」
    うにゅほが、すぐに寝息を立てる。
    俺は、うにゅほの温もりを感じたまま、しばらくのあいだ眠れずにいた。




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    異世界は選択の連続である ~自称村人A、押し付けられた選択肢に抗いヒーローを目指す~
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  • うにゅほとの生活3574

    2021-09-23 00:42

    2021年9月22日(水)

    「──…………」
    チーン。
    脳内で仏具の鈴が鳴る。
    口から魂がこんにちはしそうな気分だった。
    「◯◯……?」
    うにゅほが、心配そうに俺の顔を覗き込む。
    「……ああ、いや、ちょっとあって」
    「ちょっと?」
    「実は──」
    事情を話す。
    未確定な事柄が多いため、詳細は割愛する。
    ただ、決して良い話ではないことだけ付記しておく。
    「……それ、ほんと?」
    うにゅほの顔が青ざめていく。
    「まだ、わからない。ただ、そうなるかもしれない。覚悟だけしておいて」
    「うん……」
    「──…………」
    「──……」
    チーン。
    うにゅほの脳内でも、さぞ美しく仏具の鈴が響いていることだろう。
    「……はぁー……」
    ひとつ、大きく溜め息をつき、顔を上げる。
    「落ち込んでても仕方ない。何か、こう、気分が上がることをしよう」
    「そだ、ね……」
    「ほら」
    ショックから抜けきれていないうにゅほを、膝の上に無理矢理座らせる。
    「わ」
    ぎゅー。
    うにゅほの腰に腕を回しながら、告げる。
    「動画見よう、動画。××、マウス操作して」
    「わたしが?」
    「俺、××を抱き締めるので忙しいから」
    「そか」
    くすりと笑い、うにゅほがマウスに手を伸ばした。
    「なにみよう」
    「癒されたい……」
    「いぬ?」
    「猫でもいいぞ」
    「ねこ」
    「アライグマでもいい」
    「なんでもいいんだ」
    「なんでもいいよ」
    しばしのあいだ、おもしろアニマル動画にふたり仲良く見入るのだった。
    なるようにしか、ならないものだ。




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  • うにゅほとの生活3573

    2021-09-22 01:412

    2021年9月21日(火)

    「読書、してねえー……」
    「──…………」
    うにゅほが、俺の手元に視線を向ける。
    漫画があった。
    「……いや、わかるぞ。何が言いたいかはわかる」
    うにゅほを制し、告げる。
    「漫画は読書に入らない、とは思わない。俺が言いたいのは"読書体験"なんだ」
    「?」
    「ほら、最近は既読の本か、追ってるシリーズの新刊くらいしか読んでないだろ」
    「うん」
    「新しい物語に心奪われる、新鮮な読書体験。先へ先へと夢中になって読みふけることが、最近はないなって」
    「あー」
    うにゅほが、うんうんと頷く。
    「あたらしいの、かってないもんね」
    「小説なんて数年買ってないよ。読んでるのは、前に読んだことあるやつだけだ」
    「つついやすたか、とか」
    「まだ小説書いてるのかな、あの人」
    とっくに八十を越えている気がするけれど。
    「しらべてみる?」
    「そうするか」
    調べてみた。
    「……今年の二月に短編集出てる」
    「なんさいだっけ」
    「御年八十六歳、だって」
    「すごい……」
    「年齢的に、最後かもしれないな。買っておくか」
    「そうしましょう」
    Amazonでポチり、うにゅほへと向き直る。
    「なんかこう、新しいものを取り入れるのにエネルギーが必要と言うか……」
    「エネルギー?」
    「今のだって、筒井康隆の新刊だから買ったわけだろ。まったく知らない作家の、まったく知らない作品じゃない」
    「そだね」
    「なんだろうな、億劫なんだ。気持ちわかってくれる?」
    「うーと……」
    しばし思案し、
    「……ちょっと、わからない、かも」
    「そっか」
    「ごめんね……」
    「謝ることじゃないよ」
    新しいことに心躍らせるのは、心が健康な証拠だ。
    うにゅほには、そうあってほしい。
    そんなことを思った。




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