• うにゅほとの生活3242

    2020-10-26 01:31

    2020年10月25日(日)

    「──…………」
    むくり。
    起床し、スマホで時刻を確認する。
    午後四時半。
    「マジか……」
    眠りに眠り果ててしまった。
    今日は安静にするとうにゅほと約束していたから、構わないと言えば構わないのだが、やはり損をした気分にはなる。
    「おきた?」
    自室の書斎側から、うにゅほがこちらを覗き込む。
    「おはよう……」
    「おはよ」
    「暗い」
    「よじはんだもん……」
    「四時半でも、もうだいぶ暗いんだな」
    「ふゆ、ちかいもんね」
    「冬か……」
    寒いのは、まだいい。
    雪のことを考えると、憂鬱になる。
    「あし、どう?」
    「ん」
    布団から足を出し、足の裏を軽く揉む。
    「特には。明日の歩き仕事、大丈夫そうかな」
    「そか」
    「無理はしないよ」
    「うん、しんじてる」
    「──…………」
    信じてる。
    その言葉は、重く受け止めねばなるまい。
    うにゅほの頬に手を添えて、言う。
    「心配かけて、ごめんな」
    「うん」
    うにゅほが、俺の手に頬擦りをする。
    足をひねっただけなのに、不治の病にでもかかったような気分だ。
    「──……あふ」
    あくびが漏れる。
    「ねむいの?」
    「寝過ぎて眠い。起きるわ」
    「うん」
    図らずも短くなってしまった休日を、ぼんやりと過ごしたのだった。




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  • うにゅほとの生活3241

    2020-10-25 01:54

    2020年10月24日(土)

    風呂から上がり、自室へ戻る。
    「しっぷはるよー」
    「うん」
    「すわってね」
    チェアに腰掛け、うにゅほに右足を差し出す。
    ぐい、ぐい。
    うにゅほの親指が、足の裏を圧迫する。
    「いたい?」
    「痛くない。と言うか、押しても痛くないのは最初からだって」
    「いちおう」
    心配性だなあ。
    「ねつ、なくなったね」
    「そう?」
    「けがしたひ、ねつもってた」
    「そうなんだ……」
    初耳である。
    自分で患部に触れる前にうにゅほに湿布を貼ってもらったから、気付くタイミングがなかったのだ。
    「あさって、あるきしごと?」
    「雨が降らなければ」
    「あめふってほしい……」
    「降ったところで、晴れたら行くけど……」
    「いちにち、あんせいにできる」
    「あー……」
    なるほど。
    「ほんとはさらいしゅうがいいけど、しごとだから」
    「そのぶん、今日と明日は全力で安静にするよ」
    「ぜんりょくで」
    「何もしない勢いで」
    「じゃあ、ベッドからおりたらだめね」
    「トイレも行けないんですが……」
    「しびん」
    「勘弁してください」
    「それくらい、あんせいにしててね」
    「わかった」
    痛みは、もう、ほとんどない。
    だが、治りかけが肝心だ。
    明日は、どこへも行かず、安静に徹しよう。
    それが、心配をかけてしまったうにゅほに対する誠意というものだ。




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  • うにゅほとの生活3240

    2020-10-24 03:13

    2020年10月23日(金)

    「──うん、すこしずつ良くなってる」
    階段の上り下りは、既に苦ではない。
    長時間の歩き仕事に耐え得るかどうか定かではないが、日常生活において支障はあるまい。
    「よかったー……」
    うにゅほが、ほっと息を吐く。
    「心配かけてごめんな」
    「いいよ。けが、しかたないもん」
    優しい。
    「でも、むりしたらだめ。こっちはしかたなくないよ」
    「はい……」
    厳しい。
    厳しいが、やはり優しい。
    「来週、また、歩き仕事があるんだけど……」
    「──…………」
    うにゅほが半眼でこちらを見やる。
    「俺だって安静にしたいけど、仕事だから」
    「うん……」
    「なるべく何日かに分けて、無理はしないようにするからさ」
    「かわってもらえないの……?」
    「人手が足りない」
    「そか……」
    しばし視線をさまよわせたのち、うにゅほがひとつ溜め息をつく。
    「……むりしないでね?」
    「無理はしない。約束する」
    「なら、うん」
    しぶしぶといった様子で、うにゅほが頷いてみせる。
    「ありがとう」
    「しかたないもん……」
    仕事をして生計を立てている以上、ある程度の無理は強いられる。
    動かしがたい事実だ。
    「どにち、あんせいにしないとだめだよ」
    「うん。家で休んでるよ」
    「へやにいてね」
    「なるべく」
    「した、おりちゃだめ」
    「ごはんは……」
    「わたし、もってくるね」
    「それはさすがに──」
    やり過ぎじゃないか、と言おうとして、うにゅほがいたずらっ子の笑みを浮かべていることに気が付いた。
    「じょうだん」
    「本気かと思った……」
    「うへー」
    冗談なんて、珍しい。
    この笑顔を歪ませないように、全力で足を治そうと心に誓うのだった。




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