うにゅほとの生活1640
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うにゅほとの生活1640

2016-05-27 23:39

    2016年5月27日(金)

    「……?」
    うにゅほが俺の手元を覗き込む。
    「◯◯、なにのんでるの?」
    「ワイン」
    「ふつうのコップ……」
    「ワイングラス、片付けちゃったから」
    「あー」
    うんうんと頷く。
    「ワイン、ふつうのコップでのんでいいの?」
    「駄目ってことないと思うけど」
    「そなんだ」
    「セイコーマートの500円ワインだし」
    「たかいワイン、だめなの?」
    「気分的に、ものすごくもったいないことしてる気はするよな」
    「うん」
    「高いからって必ずしも美味しいわけではないけどさ」
    「そなの?」
    「これは、持論になるんだが──」
    残り僅かなワインを飲み下し、言葉を続ける。
    「値段が高くなればなるほど、満足度の上がり幅が少なくなる」
    「?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    「千円のワインしか飲んだことない人が一万円のワインを口にしたら、たぶん美味しいって思うよな」
    「たぶん……」
    「一万円のワインしか飲んだことない人が十万円のワインを口にしたら、どうだ?」
    「おいしいって、おもうとおもう」
    「十万円のワインしか飲んだことない人が、百万円のワインを飲んだら?」
    「おいしい……」
    「このあたりから怪しくなってくると思うんだよな」
    「……?」
    「美味しいって感覚には限界値があると仮定しようか」
    「はい」
    「マズいと美味しいの差は明確だけど、〈すごく美味しい〉と〈ものすごく美味しい〉って、もはや好みの問題だと思うんだよ」
    「ふんふん」
    「だから──」
    ふと我に返る。
    「……なにを言いたかったんだっけ」
    着地点を決めずにだらだらと言いたいことを垂れ流してしまった気がする。
    「まあ、あれだ」
    「うん」
    「俺は、安いワインでいいや」
    「そか」
    高いワインに手を出して、舌が肥えてしまっては困る。
    節制、節制。




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