うにゅほとの生活2781
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うにゅほとの生活2781

2019-07-20 00:12

    2019年7月19日(金)

    「◯◯ー」
    「うん?」
    「これ、でてきた」
    うにゅほが差し出したのは、見覚えのあるボイスレコーダーだった。
    亡くなった父方の祖母との最後の一年を記録したものだ。
    「おばあちゃんのこえききたいけど、でんちない……」
    「あー」
    ボイスレコーダーを受け取り、スライド式のUSB端子を伸ばす。
    「全部、パソコンに取り込んじゃおう。データ飛ぶの怖いし」
    「おねがいします」
    ボイスレコーダーをPCに接続し、すべての音声データをHDDにコピーする。
    「よし、と」
    「こえ、きける?」
    「再生してみようか」
    「うん」
    耳掛けイヤホンをうにゅほとシェアし、適当なファイルを再生する。
    流れ出したのは、祖母と両親との病室での会話だった。
    「──…………」
    「──……」
    無言で聞き入る。
    三年ぶりに聞く祖母の声は、細く、いまにも灯火が消えてしまいそうだ。
    乗り越えたと思っていた。
    何も感じないと思っていた。
    だが、改めて聞くと、すこしだけ胸が苦しくなった。
    俺ですら、この体たらくなのだ。
    「──う、ふぶ……」
    隣を見る。
    うにゅほが、涙で頬をべしょべしょに濡らしていた。
    「あー」
    「ひッ、うぶ、うええ……」
    再生を止め、ティッシュでうにゅほの目元を拭う。
    そして、
    「ほれ」
    うにゅほの頭を掻き抱くように、強く抱き締めた。
    「懐かしいな」
    「うん……」
    「今度、また聞こうな」
    「──…………」
    こくり。
    「よし」
    頭を軽く撫でてやる。
    声を聞いた瞬間に泣き出してしまうのでは、内容どころではない。
    祖母の声を収めた音声データは、しばらく封印しておこう。




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