うにゅほとの生活2867
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うにゅほとの生活2867

2019-10-15 23:38

    2019年10月15日(火)

    ワインレッドのハーフコートを羽織ったうにゅほが、その場でくるりと回ってみせる。
    「ね、ね、にあう?」
    「似合う似合う。ちょっと大人っぽいな」
    「うへー……」
    浮かべた照れ笑いも、ほんのすこしだけ大人びて見える。
    「でも、あとで行くステーキハウスには着て行かないほうがいいな。肉汁跳ねるから」
    「そだね」
    今日は、うにゅほの誕生日だ。
    このハーフコートは、両親からのプレゼントである。
    「(弟)からは、マフラーだっけ」
    「うん」
    「合わせてみ」
    「はーい」
    プレゼント用の紙袋を開くと、薄手のフリンジマフラーが現れた。
    色は、白寄りのアイボリーだ。
    「どう?」
    マフラーを軽く巻いたうにゅほが、上目遣いでこちらを見やる。
    「なんか、十二月って感じがする」
    「じゅうにがつ?」
    「赤と白で、サンタっぽい」
    「あー」
    「でも、コーデとしては悪くないよ。鏡見てみな」
    うにゅほの肩に手を置き、姿見の前まで押して行く。
    「ほら」
    「ほんとだ、サンタさんぽい」
    「な」
    「いいかんじ!」
    「だろ」
    姿見の前で軽くポーズを取るうにゅほを横目に、クローゼットから小さめの包みを取り出す。
    「はい、俺からのプレゼント」
    「!」
    「開けていいよ」
    「うん!」
    期待にか、すこし慌て気味に、うにゅほが包装を解いていく。
    中から出てきたものは、
    「──さいふだ!」
    シックな花柄の三つ折り財布だった。
    「わー……!」
    「××の財布、無駄に大きいだろ。いつかプレゼントしようと狙ってたんだ」
    「ありがとう!」
    うにゅほが、満面の笑みを浮かべながら、心からのお礼の言葉を述べる。
    これだから、プレゼントのしがいがあるのだ。
    「はながら、かわいいねえ」
    「気に入った?」
    「はい、きにいりました」
    「よかった。子供っぽくも、おばさんくさくもないラインって、けっこう難しくてさ」
    「おかねいーれよ」
    ふんふんと鼻歌を漏らしながら、うにゅほが財布の中身を移していく。
    その様子が、どうしてか微笑ましくて、ずっと眺めていた。
    うにゅほと出会って、八年が経つ。
    「××」
    「んー?」
    「ありがとな」
    「なにが?」
    「いや、いろいろと」
    「……?」
    うにゅほが、首をかしげる。
    わからなくてもいいのだ。
    俺は、うにゅほに救われているのだから。




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